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この山の幽霊 エンジュ の広場
むむら あめお 小5

 花の絵を描き始める時、心は紙のように真白でありたいと思っている。同じ種類の花でもよく見ると、一つ一つが人間の顔が違うように、それぞれの表情
を持っているからである。 いくら見なれた花でも「この花はこういう形をしているんだ」などと先入観をもって描き始めると、花にソッポを向かれてしま うことがある。しかし、私自身、「あいつは、ああいうやつなんだ」とほんのわずかしか知らないうちに決めつけてしまうことが、なんと多いのだろう。花 の色が一日にして変化するのだから、まして心を持っている人を見るとき、自分のわずかな秤で決めつけてしまうのなんて全く間違っていると思う。  

 僕は先入観を使って、「あいつは悪い」だとか「あの人は怖い」などと決め付けたことは、あまりないと思う。逆に、「あの人はいい人だ」だとか、「あ
の人は優しい」などと先入観で決め付けたら、まったく違っていた、という経験はたくさんあったと思う。  

 しかし、1回だけ「あいつは嫌なやつだ」と決め付けたことが有った。
 

 2年生の頃、席替えの日に僕は休んでしまった。Yさんという人がいたのだが、その人はクラス全体から嫌な人よばわりされていた。その日の席替えは、
どうやら自由だったので、クラスの人は、誰もYさんの隣を希望する人はいなかったらしく唯一休んでいた僕がYさんの隣になったと言う訳だ。ここまでは 僕もYさんの事は「イヤ」だったわけだが、隣になって1日、2日と、月日が過ぎて行く内に  

 「あ、Yさんって決して良い人ではないけど嫌な人でもないんだな」
 

 という事が分かった。
 

 話は変わってしまうが、先入観というものは、人間を変えてしまうことが有るように僕は思う。日曜日午後7時58分から日本テレビ系列で放送している


「特命リサーチ2000X(エックス)」という番組で先入観についてリサーチ(調べる)していた。逗子の小坪トンネルをある人が車を走らせているとフロン
トガラスに上から幽霊が落ちて来たということなのだが・・・。この小坪トンネルというのは幽霊が出るというので有名なのだ。科学的に考えると、フロン トガラスの角度が約45度で後ろの方から光がくるとガラスに運転手の顔が映り、幽霊が落ちてきたのと勘違いをしたのだ。しかしここまでの説明だと先入 観の説明とまったく無縁だが、この小坪トンネルには幽霊が出る、という先入観がないと、幽霊と間違えるために必ず必要なのだ。また、この事をリサーチ するときに、ある実験をしていた。それは、ある風景を撮った写真を10人の人間に、何も言わずに見せた。その実験台の人10人全員が「ごく普通の写真 だ」と答えた。次に別の10人に同じ風景画を見せた。見せるときに  

 「この山にはまいとし多くの観光客がくるがまいとし行方不明の人や死者が出る。という何とも有りっこないデタラメを教えた。しかし、ほとんどの人が、
 

 「逆さまにしたら人の顔に見える」や
 

 「ここにひとのかおがみえる」などということを言っていた。つまり先入観が有るか無いかでまったく違うのだ。
 

 僕が言った「人間を変える」というのは、幽霊なんていない、と思っていた人が、今の実験を受けて、人格が凄く変わった等ということなのだ。
 

 
                                   
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