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歴史を学ぶ意義
アジサイ の広場
○○○○ あう
 明治維新の意義は19世紀末に登場した進化論とスペンサーの社会論と結びつ
いて適者生存を人種にまで拡大させ、当時の技術力がその正当性を立証するこ
とになった近代進化論を打ち砕いたことである。北里柴三郎が第1回のノーベル
医学賞にノミネートしている。また日露戦争のが植民地開放の種になった点、
イギリスが日本人を見下していながら現実には同盟を結ばなくてはならなかっ
たほどの原動力となったのは明治維新である。
 
 数年前の長野冬季オリンピックで表彰台の上に立った際帽子をとらなかった
日本人選手がいた。このことについて遠まわしながら非難していた国会議員が
いたことを覚えている。確かに日本の国旗に対してそこまで敬意を払えという
のは、もう時代遅れなことなのかもしれない。しかし、表彰式で掲揚される外
国の国旗に対して帽子を取ることによって敬意を払うことは国際的な常識と言
っても良い。その点ではこの日本人選手は帽子をとるべきだったと思う。
 
 終戦直後からアメリカ合衆国の指導の下、日本の様々な制度が改革された。
極端に偏った歴史観を修正する点では大きな意義はあったが、逆に自国に対し
てプライドを持たないような価値観を日本人に植え付けてしまったことも事実
と言えるだろう。日本では戦争時代のナショナリズムの反動で「国際」という言
葉が強調されるが、自国に対してプライドを持てない国民が外国に対して敬意
を払えるとはとても思えない。前に述べた日本人選手の行動はその典型例とい
えるであろう。
 
 本当の意味で国際化するためにも日本の歴史観を見直してもいいのではない
だろうか。私が言いたいのは、日本が犯した過去の過ちを教科書から抹消する
ことによって隠蔽しようとかそういうことではない。過去のアジアに対して犯
した過ちを反省することと自国を否定することは別の話である。今まで軽視し
てきた日本の文化をもう一度見なおすことによって、アイデンティティーをも
う一度見なおしそれを世界に積極的にアピールすることは国際関係を重視する
こととは矛盾することではないと思う。
 
 確かに、日本人は原理主義になりがちであるという悪い癖がある。太平洋戦
争の時は極端なナショナリズムに走り自国にも他国にも大きな損害をもたらし
た。日本国に対してプライドを持つということは一歩間違えれば戦前に逆戻り
する恐れもある。また、今まで日本がプライドにこだわることによって、他国
の良い要素を取入れようとしないということがなかったことは評価に値すると
思う。しかし世界の上層部に位置する以上、もはや外国の真似をするだけでは
なく、自国としてのアイデンティティーを確立し世界を牽引しなくてはならな
い。そのためにも自国をただ否定するのではなく、「日本人とは何か」というこ
とを見なおしても良い時期なのではないだろうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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