ジェリー・ダレルは
動物が
大好きな男の子でした。ある日、
家に
お客様が
来ました。ジェリーのお
兄さんは、
お客様のたばこに火をつけてあげようとして、テーブルの上にあったマッチの
箱をあけました。
次の
瞬間、お
兄さんも
お客様も
大声をあげて
逃げ出しました。マッチ
箱に入っていたのは、マッチではなくて、生きたサソリの
親子だったのです。きっとジェリーのしわざだな、とお
兄さんはおこりながらも、あきらめました。
大人になったとき、ジェリーはこう
言いました。
「これが
私の
持った
最初の
動物園でした。サソリの
親子の入ったマッチ
箱が。」
さて、サソリの
親子を
手始めとして、ジェリーはどんどん
動物を
集めました。
大体は二
階の
自分の
部屋で
飼っていたので、そこが
次の「ジェリーの
動物園」になりました。ジェリーの
お父さんは早くに
亡くなっていて、
家族は
お母さんと大きいお
兄さんが二人、
若いお
姉さんが一人いました。みんな、「ジェリーの
動物園」の
動物たちがふえていくことには、
文句を
言いましたが、ひとたびジェリーが
新しい動物を
持って
帰ると、みんなもかわいいと
喜んで、
飼うのを
許してしまうのでした。
大人になるとジェリーは、
動物園に
送るためのめずらしい
動物をアフリカまで
行ってつかまえる
仕事を
始めました。ところが、いざ
動物園に
送られることになると、ジェリーはがっかりしました。せっかく
仲良くなった
動物たちと
別れなければいけないばかりか、
動物園では
飼い方もわからず、ひどい
生活をさせるようになったところもあったからでした。その上アフリカでは、
人間によって
動物たちが
住むところをなくしたり、ぜいたくをするために
殺されたりしてほろんでいっていることを、ジェリーは
知りました。∵
そこで、ジェリーは、
自分の
動物園を
作ることにしました。それは、
絶滅しかけた
動物を
保護し、
増やし、それから
生まれ故郷に
返す動物園でした。さらに、
生まれ故郷の人々に、どんなに
動物が
大切かを
教育し、
動物たちが
住めるように
自然をよみがえらせる
仕事もする
動物園でした。ジェリーはその「
夢の
動物園」を
作るお金を
集めるために、
今までの
経験をおもしろく本に
書いて
売ったり、いろいろなところで
話をして
寄付をもらったりしました。
ついに
動物園の
計画は
実現しました。ジャージー
野生動物保護動物園です。
世界中からその
動物園に
協力し、
勉強する人たちが
集まってきました。
動物園の二十五
周年記念のとき、ジェリーは
動物園で
働く人たちから、すばらしいプレゼントをもらって、
大声をあげました。それは、
銀のマッチ
箱に入った、金でできたサソリの
親子の
人形でした。
誰もが、ジェリーの「
最初の
動物園」のことを
知っていたのでした。
さて、
昔、
食堂で
逃げ出してみんなを
驚かせたニシキヘビは、
その後どうなったのでしょう。
実は、
本当に驚いたのはヘビの
方で、つかまえられたヘビはおりの中で、「ヘー、ビっくりした。」と
言っていたそうです。
言葉の森
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