a 読解マラソン集 9番 ジャガイモは、ナスやトマト、ピーマンなどと ta3
 ジャガイモは、ナスやトマト、ピーマンなどと同じナス科の植物です。だからみんな花がにています。
 ところで、植物は近いなかまどうしだと接ぎ木つ きをして育てることができます。接ぎ木つ きとはくきくきをつなぎあわせる植物の外科手術しゅじゅつのことです。
 たとえば地上部にトマトの実、地下部にジャガイモのいもをつくることも接ぎ木つ きをすればできます。ジャガイモのくきにトマトを接ぐつ のです。
 でも、ぎゃくにしてしまったらどうなるでしょう。トマトのくきにジャガイモを接ぐつ のです。ざんねんながら地上にトマト、地下にジャガイモはできません。
 そのかわり、地上部の葉のつけねのえだがふくらんで、そこに小さないもができます。土の中のいもと形や色こそちがいますが、やっぱりいもです。
 このようにジャガイモは、もともと地下のえだにいもをつくる性質せいしつがあるので、地上部がほかの植物でも、地下部がジャガイモであれば、地下にいもができます。でも、地下がほかの植物だと、地下に栄養分えいようぶんを送ることができず、かわりに地上部にいもをつくってしまうのです。
 接ぎ木つ きをしないジャガイモでも、なんらかの理由で地下に栄養分えいようぶんをはこべなくなると、地上部にいもをつくることがあります。

鈴木すずき公治まさはる「ジャガイモ」)
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a 読解マラソン集 10番 秋になると、草や木の実が ta3
 秋になると、草や木の実がいっせいに色づきはじめます。色づいたのは、中のたねが、じゅくした合図です。
 でも、このような実はそのまま土の上におちても芽ばえめ  ません。それは、たねをつつんでいる皮や肉が、芽ばえめ  をとめるはたらきをしているからです。たねを芽ばえめ  させるためには、まず実の皮や肉をすっかりとりのぞかなければなりません。その役目をしてくれるのが野鳥たちです。
 あざやかな色の実をみつけて、野鳥がついばみにきます。このとき鳥は、たねもいっしょにのみこんでしまい、とびさっていきます。
 鳥にたべられた草や木の実は、皮や肉がの中でとけてしまいます。でも、たねだけはかたいからのおかげで消化されずに、ふんといっしょにおとされ、やがてそこで芽ばえるめ   のです。
 つまり、たねは鳥といっしょに、それだけ遠くまで旅をしたことになるわけです。
 エノキやクヌギの木に寄生きせい生活するヤドリギは、秋、まるい実をたくさんつけます。実はとてもねばねばしていて、鳥にたべられても、ねばる力をうしないません。ふんといっしょにおとされたたねは、木のえだなどにくっついて芽ばえめ  ます。

埴沙萠はにしゃぼう「たねのゆくえ」)
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a 読解マラソン集 11番 野鳥観察の第一歩は ta3
 野鳥観察かんさつの第一歩は野鳥を見つけることです。これはあたりまえのことですが、じつはなかなかむずかしいことでもあるのです。
 きみたちの友だちにも、野鳥きの人が一人はいるはずです。ちょっと聞いてみてください。「このあたりにはどのような野鳥がすんでいるの?」って。
 そこがたとえ大都会でも「スズメ、ムクドリはもちろん、キジバト、ヒヨドリ、ハシブトガラス、カワラヒワ、シジュウカラなどは一年中いるし、そうそう、今年はヒヨドリがうちの庭でづくりしたよ」というような答が返ってくるでしょう。
 「そんな野鳥知らないや」なんて言わないでください。だれでも一度は見かけているはずです。ところが、残念ざんねんなことに見過ごしみす  てしまったり、気がつかないでいることが多いのです。
 どうして見過ごしみす  てしまうのでしょう。原因げんいんの一つは、観察眼かんさつがんがないためです。観察眼かんさつがんというのは、視力しりょく良いよ とか悪いとかいうことではありません。ものごとを見ぬく力のことです。
 探偵たんてい小説しょうせつに登場する名探偵たんていを思い出してください。えらそうにいばる刑事けいじ尻目しりめに、次つぎと証拠しょうこをさがし出し、犯人はんにん捕えるとら  探偵たんていのことをです。刑事けいじ探偵たんていも同じものを見、聞いていますが、名探偵たんてい刑事けいじにくらべ、より多くのことを発見するのです。この発見する力が観察眼かんさつがんなのです。

(海野和男「自然しぜん観察かんさつ十二カ月」)
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a 読解マラソン集 12番 カバは、昼間はほとんど ta3
 カバは、昼間はほとんど、水の中にいます。水の中で、昼寝ひるねをしたり、のんびりしたりして、じっとしていることが多いのです。
 それで、いつも水の中にいると思われるのですが、カバは、太陽がしずむころになると、水からでて、りくにあがります。そして夜中に、えさの草を食べ、朝になって太陽がのぼると、また、川の水の中に、はいります。
 カバの皮膚ひふは、ほかの動物よりも、うすくできているので、昼間、りくにいると、からだの中の水分がでていってしまいます。そのままほうっておくと、からだがかわいてしまって、死んでしまいますから、なるべく水の中にいるようにしているのです。
 また、カバは、体重が二千五百キロから四千キログラムもあるので、水の中のほうが、からだがかるくなり、らくなのです。
 カバの目や耳、鼻は、顔の上のほうにあります。そのため、水の中にいても、目や、耳、鼻のあなだけを、水面からだすことができます。
 ですから、水の中にいても鼻で呼吸こきゅうできますし、あやしいものが近づけば、そのけはいを感じることができます。きけんを感じると、カバは、さっともぐります。
 水の中にもぐるときは、鼻や耳のあなをとじます。

久道ひさみち健三けんぞう「科学なぜどうして」)
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