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読解マラソン集 5番 強い骨 se3
骨と言うと、理科室にある人骨の模型を思い出す人もいるでしょう。人間の体は、さまざまな形や大きさの骨が数多く集まって、骨格を作っています。骨はたいへん丈夫なもので、たとえば、頭蓋骨は平らな骨がドーム状に組み合わさってできていて、脳を守るヘルメットのような役割をしています。また、肋骨はかごのような形をしていて、肺や心臓などの内臓を守っています。
骨と骨がつながっている部分は、どうなっているのでしょう。ただ単に、接着剤でくっつけたように組み合わさっていたら、骨は自由に動きません。しかし、私たちは手や足を自由に動かすことができます。骨どうしが動きやすいようにつながっているところを関節といいます。ひざや指の関節は、ドアの蝶番のような形をしています。肩や股関節などは、丸いくぼみに球の形をした骨がはまっており、あらゆる方向に動かすことができます。関節の骨と骨が接している部分は、摩擦を減らすために軟骨組織におおわれている上、滑液という液体が潤滑油がわりに骨を囲んでいます。つまり、機械に油をさしてすべりやすくするのと同じで、なめらかに動くように工夫されているのです。
骨は、つねに新しい細胞と入れ替わっています。破骨細胞がどんどん骨を壊す一方で、骨芽細胞はせっせと新しい骨を作ります。骨折しても、しばらくすると元どおりに骨がつながるのは、この破骨細胞と骨芽細胞が骨の修理屋の役目をするからです。
壊される骨と新しく作られる骨のバランスが取れていれば、骨はずっと同じ状態を保つことができますが、作られる骨のほうが少なくなると、骨に空洞がふえて軽くなり、骨折しやすくなります。この状態を、骨粗しょう症といいます。
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カルシウムは、骨を新しく作るために大切な栄養素です。またカルシウムは、心臓をうまく動かすためにも、筋肉に力を発揮させるためにも、欠かせないものです。カルシウムが不足すると、イライラしやすくなることも知られています。骨は、カルシウムを貯蓄する銀行のような役目もしており、あまったカルシウムは骨に蓄えられますが、足りなくなると骨から引き出されて使われてしまいます。ですから、食事の量を減らして無理にダイエットをすると、カルシウム不足になって、骨が折れやすくなる危険があります。
骨を強くするために、もう一つ大事なことがあります。それは、運動をして骨に適度な刺激を与えることです。宇宙旅行から帰ってきた飛行士たちは、地球にいるときよりも、骨がもろくなっているそうです。宇宙空間は無重力なので、人間はふわふわと浮いていることができます。地球にいるときのように、力を入れて歩く必要もありません。そのため、骨に刺激を与えることが極端に少なくなり、骨が弱くなってしまうのです。
バランスよく食べて適度な運動をすれば、骨の健康を保つことができます。カルシウムは、小魚や乳製品にたくさん含まれているので、好ききらいをせずしっかり食べて、運動をして、骨を強くしましょう。骨は、使えば使うほど丈夫になるのです。
そうでしょう。骨さん。
「ほうねえ。」
言葉の森長文作成委員会(κ)
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読解マラソン集 6番 クマとの共生 se3
最近、人里におりてきたクマによる被害が、ニュースでもときどき報道されています。クマの生息地に近い住宅では、自宅の玄関先にクマがいた、などということもあるようです。キノコ狩りに山に入った人が襲われたりするので、クマは凶暴でこわい動物だと思われています。しかし、はたして本当にそうなのでしょうか。
現在日本には、北海道に住むヒグマと本州に住むツキノワグマの二種類がいます。ヒグマの方がツキノワグマよりも大型です。ツキノワグマの体重が、人間の大人一人分か二人分ぐらいなのに対して、ヒグマのオスの体重は、ツキノワグマの二倍から三倍にもなります。クマの動きは意外にすばやく、ツキノワグマでも時速四十キロメートルくらいで走れるそうですから、ゆっくりめに走っている自動車くらいの速さは出ることになります。しかも、木登りも得意ですから、追いかけられたら、まず逃げられません。爪は鋭く、きばもあります。確かに、敵に回すと、こわい動物のようです。
ふだん、山で木の実や虫、小動物などを食べているクマは、かなり警戒心が強いので、自分から人間に近づいてくることはありません。どちらかというと、人間を恐れていて、できれば出会いたくないと思っているのです。ですから、クマと出会わないようにするためには、クマよけの鈴やラジオなど、大きな音を出すものを持って歩くとよいと言われています。クマの方に、先に逃げてもらうのです。
それでも、クマが人里におりてくることがあります。秋、冬ごもりの前にたくさんの食べ物を必要としているときと、春、冬ごもりから目覚めてお腹をすかせているときが多いようです。人里には、人間の出した生ゴミが置かれていることがあります。また、果物畑や畑には、おいしそうな食べ物がたくさんあります。庭先の柿の木につられてくることもあるようです。
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人里に来ることは、クマにとっても人間にとっても望ましいことではありません。人に出くわしたクマが人に危害を加えてしまったり、逆にクマが追われて鉄砲で撃たれて殺されてしまったりすることもあります。しかし、クマを撃ち殺すだけでは、問題の解決にはなりません。クマがこんなに人里におりてくるようになったのはなぜか。その原因を調査して、対策をとらなければならないのです。
クマが人里におりてくるようになったのには、いくつかの原因が考えられます。クマのすみかの山が人間の開発で荒らされ、クマの食べ物が少なくなっているという説があります。あるいは逆に、山の食べ物がたくさんあるのでクマが増えているからだという説もあります。そして、人里に行けばおいしい食べ物がたくさんあると、クマが知ってしまったことも、大きな原因と考えられています。
では、解決法にはどんなものがあるでしょうか。今、さまざまな団体が、クマの生活を調査し、クマと人間がどちらもうまくやっていけるように、いろいろな方法を試しています。
もともと、クマたちが住んでいたところへ後から入ってきて、山を切りひらき、町を作ったのは人間です。本当のことを言うと、クマもくまっているのです。人間はもっとクマの気持ちをくまなければならないのかもしれません。「みなさんのすみかの近くにおじゃましてごめんなさい。でも、あまり私たちの方へはおりてこないでほしいのです。その代わり、毎年お歳暮に、たっぷりのハチミツを贈りますから、どうぞ食べてください」などという「大人の付き合い」が、クマともできるとよいのでしょう。
言葉の森長文作成委員会(τ)
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読解マラソン集 7番 赤ちゃんの音の世界 se3
生まれたての赤ちゃんも、耳は聞こえます。しかし、赤ちゃんは、自分の耳にひびいてくるものが何かは、まったくわかりません。
たとえば、ドアが「バタン」としまる音がします。赤ちゃんにはその音は聞こえますが、それが「ドア」が「しまった」ときの音ということはわかりません。「ドア」というものをまだ知らないからです。
赤ちゃんに世界がどう聞こえるかについては、さまざまな研究がされてきました。
赤ちゃんの耳に聞こえるものは、赤ちゃんの頭の中で、いつまでもこだまのようにひびいています。生まれて一ヶ月の赤ちゃんの耳の中は、あちこちでお寺のかねがなりひびいているような、こだまだらけの音の世界です。その中から、少しずつ、いろいろな音を聞き分けられるようになります。ですから、赤ちゃんは、はっきり、ゆっくりしゃべってくれる声がすきです。
大人たちが、赤ちゃんにいっしょうけんめい話しかけるとき、よく赤ちゃんことばを使います。いつもより、高い大きい声で、ことばをやさしくして、みじかくくぎりながら話しかけます。たとえば、
「ごはんは、おいしかったですか? たくさん食べられていいこですね。」
と話しかけるより、
「まんま、おいしい? いっぱい、たべたね。いいこ、いいこ。」
と言ってあげます。赤ちゃんにとっては、このような話しかけ方のほうが親切なのです。
赤ちゃんは、ゆっくりはっきりしゃべってくれると、ぼんやりしたこだまのひびきの中からことばを聞きわけることができます。生まれて四ヶ月くらいになると、大人どうしの会話より、赤ちゃんことばで話しかけてくれるほうをあきらかに聞きたがるようになります。ぼんやりしたこだまより、はっきり聞こえてくる音をつかまえるほうがおもしろいし、安心するからです。
ところで、赤ちゃんの耳には、大人のまねできない能力もあります。
赤ちゃんは、世界中で話されているどんなことばの音も聞き分けることができます。たとえば、日本人はよく英語で「L」と
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「R」の発音が区別できないと言われます。フランス人は、「ハヒフヘホ」という音が出せません。そのほかにも、「ダヂヅデド」という音が出せない国など、国によってさまざまなことばがあります。しかし、赤ちゃんは、そのすべての音を聞き分けられます。赤ちゃんは外国語の天才といえるかもしれません。
赤ちゃんのときはだれでも、世界中のことばを聞きわけることができ、声に出すこともできていたというわけです。けれども、赤ちゃんはそのうちに、自分のまわりでよく使われていることばの音だけを聞き取るようになってきます。
赤ちゃんのころには、「東京特許許可局」や「蛙ぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ」なども、すらすら言えたのかもしれません。
言葉の森長文作成委員会(λ)
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読解マラソン集 8番 人類の祖先 se3
約六千五百万年前に恐竜が絶滅すると、哺乳類が急速に繁栄しはじめました。最初の哺乳類は、今のネズミに似ていました。哺乳類は、体温を一定に保つしくみを体の中に持っていたので、いろいろな環境で暮らすことができ、多くの種類に分かれていきました。
アフリカでは、サルの仲間である霊長類が、さまざまな進化をしていきました。その中でも、森の中で暮らしていた霊長類が、私たち人類の祖先だと言われています。彼らは、果物などを食べて、一日のほとんどを木の上で過ごしていました。木の上は食料がたくさんあり、猛獣から身を守るのにも都合がよく、暮らしやすい場所だったと考えられます。
森の木の上に住んでいた霊長類が、どのようにして人類の祖先に進化したのでしょう。これについては、次のような説があります。
ちょうどこのころ、火山が活発に活動し、大きな地震が起こり、アフリカ大陸を南北に貫く「アフリカ大地溝帯」が形成されました。富士山よりも標高の高い、長い山脈ができたことによって、その東側はだんだん乾燥し、もともとジャングルだった場所が草原に変わっていきました。
草原で生きていくために、霊長類は木から下りなくてはなりませんでした。豊かな森と比べると、草原は食料が少ない上、猛獣にも見つかりやすく、おそわれる危険がありました。獲物をつかまえたり、敵をいち早く見つけて逃げるためには、より遠くを見渡す必要があったのでしょう。草原で生活を始めた霊長類は、二本足で立って歩き始めました。これが人類の祖先です。
直立二足歩行を始めたことで、人類の祖先は、ほかのサルとは明らかに違う道を歩み始めました。彼らは、自由になった前足を
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手として使うことができるようになりました。今から三百万年前の猿人、アウストラロピテクスは、石器を使っていました。これが道具の始まりです。また、約五十万年前の原人は、火を使って生活していたことがわかっています。その後に出現した旧人のネアンデルタール人は、死者を埋葬する習慣がありました。
約四万年前に生活していた新人のクロマニヨン人は、現在の人類とほとんど変わらない姿をしていました。彼らはすでに言葉を話し、協力して狩りや漁をして暮らしていたのです。クロマニヨン人は、ナイフ、刀などの石器や、美しく彫刻された骨格器を作り、槍や弓矢を発明して集団で狩りを行なっていました。わなをしかけることで、マンモスやシカなどの巨大な獲物もつかまえることができました。彼らの暮らしていた洞くつには、今も、狩りの成功を祈って描いたと思われる動物の絵が残っています。
このように、アフリカ大地溝帯の東側の厳しい環境が、人類の祖先を生み出しましたが、西側ではどうだったのでしょうか。食料が豊富なジャングルの中で暮らしてきた霊長類は、現在まであまり変わらない姿を保ってきました。これが、ゴリラ、チンパンジー、ボノボなどの、人類と最も似かよった生物とされている類人猿です。
人間は木から下りることによって、サルと分かれました。しかし、今でも昔の時代が懐かしくなることがあります。公園の木を見るとふと登りたくなったり、木の上でキャッキャッと叫んでみたくなったりするのはそのためです。
言葉の森長文作成委員会(κ)
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問題
se-02-4 問題1
問1 読解マラソン集5番「強い骨」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A ひざや指の関節は、ドアの蝶番のような形をしているので、どんな方向にでも動かすことができる。
B 骨と骨が接している部分は、潤滑油の役割をする液体が骨を囲んでいる。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答1
se-02-4 問題2
問2 読解マラソン集5番「強い骨」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 骨は、カルシウムを貯蔵することができる。
B カルシウム不足になるとイライラしやすくなる。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答2
se-02-4 問題3
問3 読解マラソン集6番「クマとの共生」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A クマは、人間を恐れてはいないが、大きな音を出すものを怖がる。
B クマは、夏と冬には、春や秋と比べて人里におりてくることが少ない。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答3
se-02-4 問題4
問4 読解マラソン集6番「クマとの共生」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A クマが人里におりてくるのは、おいしい食べ物があると思うからだ。
B クマは、ふだん山で木の実や虫、小動物などを食べている。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答4
se-02-4 問題5
問5 読解マラソン集7番「赤ちゃんの音の世界」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 赤ちゃんは、早口で明るくしゃべってくれる声が好きである。
B 生まれたての赤ちゃんは、耳は聞こえないが、音は聞こえる。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答5
se-02-4 問題6
問6 読解マラソン集7番「赤ちゃんの音の世界」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 赤ちゃんは、大人どうしの会話よりも、赤ちゃんことばで話しかけられる方を好む。
B 赤ちゃんは、世界中で話されているどんな言葉の音も聞き分けている。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答6
se-02-4 問題7
問7 読解マラソン集8番「人類の祖先」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A もともとジャングルだった場所が草原になったため、人類の祖先は二本足で歩き始めた。
B ジャングルの中で二本足で歩こうとした霊長類は、人類のもう一つの祖先となった。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答7
se-02-4 問題8
問8 読解マラソン集8番「人類の祖先」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 食糧の豊富なジャングルの中では、霊長類の姿はあまり変化しなかった。
B サルにとって、木の上は、食糧はあまりないが、猛獣から身を守るのに都合がよい場所だった。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答8