a 読解マラソン集 5番 魚の顔にはえらが ku3
 さかなかおにはえらがあります。さかなが水の中で呼吸こきゅうができるのは、このえらのおかげです。
 人間にんげんはい使っつか からだの中に酸素さんそ取り込みと こ ます。いき吸い込むす こ ときに酸素さんそ取り入れと い 吐くは ときに二酸化炭素にさんかたんそ捨てす ています。これをはい呼吸こきゅう呼びよ ます。それに対して たい  さかなはえらを使いつか ます。これをえら呼吸こきゅう呼びよ ます。
 水の中にはたくさんの酸素さんそがとけていますが、目で見ることはできません。砂場すなば使うつか ふるいがありますが、ふるいをえらだと想像そうぞうしてみます。そして、石は酸素さんそ砂粒すなつぶは水です。砂場すなばすなをふるいにかけると、ふるいの上には石だけがのこって砂粒すなつぶはサラサラとこぼれ落ち   お ます。さかなは口から水を飲み込みの こ 、えらから吐き出しは だ ていますが、えらというふるいで酸素さんそだけをからだの中に取り込むと こ のです。えらが酸素さんそ選んえら でいるわけです。
 しかし、えらが取り込めると こ  酸素さんそは、水の中にとけているものだけです。空気の中からは取り込めと こ ません。ですから、さかなは水のそとでは呼吸こきゅうができません。
 水の中の酸素さんそが足りなくなると、さかな水面すいめんに出て口をぱくぱくさせることがあります。これは、空気を吸っす ているのではなく、水面すいめん近くちか の水に空気を混ぜま 吸っす ているのです。
 人間にんげんも、お母さん かあ  のおなかにいる一ヶ月かげつ目のころにエラのようなものがあります。これは、むかし人間にんげんが水の中にいる生物せいぶつだったころの名残りなご だと言わい れています。

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a 読解マラソン集 6番 雨が落下するスピードは ku3
 雨が落下らっかするスピードは雨粒あまつぶの大きさによって変化へんかします。
 霧雨きりさめとよばれるきりのように小さな雨粒あまつぶ直径ちょっけいは、〇・五ミリメートル以下いかです。この大きさで雨のスピードは、秒速びょうそくニメートルです。時速じそくにするとおよそ七キロメートルです。
 ごく普通ふつうの雨は、直径ちょっけいニミリメートルくらいだといわれています。この大きさでは秒速びょうそく七メートルになります。時速じそくにすると、およそニ十五キロメートルで、気持ちよくきも   自転車じてんしゃをこいでいるくらいのスピードです。
 からだ当たるあ  痛いいた 感じるかん  ほどの大粒おおつぶの雨、たとえばなつの夕立などの雨になると、雨粒あまつぶ直径ちょっけいは五ミリメートル以上いじょうにもなります。この大粒おおつぶの雨では、秒速びょうそくは十メートル。時速じそくでは三十六キロメートルになるのです。
 雨に比べるくら  とハラハラと踊るおど ように舞い降りま お てくるゆきは、もっとゆっくり落ちお てきます。ゆきも、雨と同様どうよう様々さまざまな大きさがありますが、だいたい秒速びょうそくで五十センチから一・五メートルです。
 かみなりとともにふることが多いおお ものにひょうがありますが、このひょう驚くおどろ べきスピードでふってくるのです。直径ちょっけい五センチのひょう秒速びょうそく三十メートル以上いじょう時速じそくにして計算けいさんすると時速じそく一〇八キロメートル以上いじょうということです。これは高速こうそく道路どうろ走るはし 自動車じどうしゃのスピードぐらいですから、車のボンネットがへこんだり、農作物のうさくもつ被害ひがいをもたらしたりすることもあるのです。標的ひょうてきになったらたまりません。
 雨粒あまつぶ落ちお てくるときは、細長いほそなが かたちでも丸いまる かたちでもありません。あんパンやメロンパンのように、上が丸くまる て下が平らたい かたちです。しかし、あまり速くはや 落ちお てくるので、人間にんげんの目には雨がせんのようなかたち降っふ ているように見えるのです。
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 「雨が降ろふ うがやり降ろふ うが」というのは、「どんなときでも」という意味いみ言葉ことばですが、本当にほんとう やり降っふ てきたらどのくらいのスピードになるのでしょうか。そんな実験じっけんはあまりやりたくありませんね。
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a 読解マラソン集 7番 ◎夜空を明るく照らす ku3
 夜空よぞら明るくあか  照らすて  丸いまる 月。むかしから、月にはウサギがいて、おもちをついていると言わい れています。確かたし に、月の模様もようをよく見ると、きね持っも たウサギがおもちをついているように見えます。しかし、月に住んす でいるのはウサギだけではないようです。きたヨーロッパでは、月の模様もようを、本を読むよ おばあさんや水を運ぶはこ 男女に重ね合わかさ あ せています。さらに、みなみヨーロッパでは、大きなはさみを持っも たカニ、ひがしヨーロッパでは横向きよこむ 女性じょせい、アラビアではほえているライオン、カナダではバケツを運ぶはこ 少女しょうじょなど、同じおな 模様もようでもくにによってとらえかたはさまざまです。 
 では、どうして月には模様もようがあるのでしょうか。それは、月にはクレーターやうみなどがあり、地球ちきゅうから見ると、クレーターは白っぽく、うみ黒っぽくくろ   見えるためです。このうみ部分ぶぶんがウサギになったり、カニになったり、ライオンになったりするのです。うみ言っい ても、地球ちきゅううみのように水があるわけではなく、濃いこ いろ玄武岩げんぶがんでおおわれた平原へいげんとなっています。月のうみは、月の地表ちひょうの十六パーセントを占めし 、そのほとんどが月のおもて呼ばよ れる地球ちきゅう向いむ ているがわにあります。ですから、地球ちきゅう住むす わたしたちは、その模様もよう楽しむたの  ことができるのです。まるで、月がこちらを向いむ て、わたしたちにつきあってくれーたーかのようです。
 月は地球ちきゅうよりも小さいために重力じゅうりょくも小さく、大気をつなぎとめておくことができません。地球ちきゅう落ちお てくる石のほとんどは、地球ちきゅうの大気との摩擦まさつ燃え尽きも つ てしまいますが、月には大気がないので石がそのままぶつかります。石がぶつかったあとも、月の模様もようとなっています。
 ガリレオは、初めてはじ  望遠鏡ぼうえんきょうで月のクレーターを見たとき、「青眼せいがんをちりばめたクジャクののようだ」と言っい たそうです。望遠鏡ぼうえんきょうで見る月には、肉眼にくがんで見るのとはまた違っちが 感動かんどうがあります。望遠鏡ぼうえんきょう
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のなかったむかしの人たちが月を見て想像そうぞうをふくらませたように、ときには、夜空よぞらを見上げて自由じゆう空想くうそう広げひろ てみるのもおもしろいものです。
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a 読解マラソン集 8番 奈津は幼いころから ku3
 奈津なつ幼いおさな ころからとても利発りはつで、本を読むよ ことや文を書くか ことが大好きだいす な女の子でした。ひとたび本を読みよ 始めるはじ  と、友達ともだち遊びあそ 誘っさそ ても全くまった 応じおう ません。なぜなら、友達ともだち遊ぶあそ より本を読むよ ほうがずっと楽しいたの  のです。一さつの本を読みよ 終わるお  と、もう一度  いちどはじめからなん繰り返しく かえ 味わうあじ  ように読むよ のです。まるで本の世界せかい入り込んはい こ でしまったかのように熱中ねっちゅうしてしまうのでした。
 そんな奈津なつは、学校でも大変たいへん熱心ねっしん勉強べんきょう取り組みと く ました。あまりに熱心ねっしんなので、先生も驚いおどろ てしまうほどです。学ぶことが楽しくたの  仕方しかたがないのです。すなが水を吸うす ように勉強べんきょう理解りかいしていくのですから、成績せいせき大変たいへん優秀ゆうしゅうでした。
 ところがある日、思いがけないおも     ことが起こりお  ました。女の子はいえ手伝いてつだ 針仕事はりしごとをしたほうが役に立つやく た のだから、学校はやめるようにと、お母さん かあ  言うい のです。
 そのころは、学校へ通うかよ ことは恵まれめぐ  家庭かていの子だけが持つも 特権とっけんでした。普通ふつう家庭かていでは、家計かけいの足しにするために働くはたら ことが、学校で勉強べんきょうすることよりも優先ゆうせんされていました。東京とうきょう限っかぎ てみても、女の子の半数はんすう以上いじょうが小学校に通えかよ なかったのです。学校へ行けい ない子たちは、いえお母さん かあ  手伝いてつだ をしたり、小さなおとうといもうと世話せわをして働きはたら ました。
 奈津なつは、その時代じだいの女の子たちと同じおな ように、学校をやめました。しかし、勉強べんきょうに対する たい  熱いあつ 思いおも 一向にいっこう 冷めさ ません。冷めるさ  どころか、ますます大きく、強くつよ なってくるのでした。本が読みよ たくてたまらない奈津なつは、こっそりとくら入り込みはい こ 暗がりくら  の中、小まどから差し込むさ こ ひかりをたよりに、本を読みふけるよ    ようになりました。
 いまから百二十年ほどまえ明治めいじ時代じだいはなしです。奈津なつはのちに樋口ひぐち一葉いちようという名前なまえ作家さっかになり、「たけくらべ」「にごりえ」といった名作めいさく残しのこ ました。

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