a 読解マラソン集 1番 世界一小さい犬 ki3
 なんでもコンパクトがもてはやされるこのごろですが、犬の世界せかい例外れいがいではありません。品種ひんしゅ改良かいりょう結果けっか、たくさんの犬が小型こがたされ、今やいま 世界中せかいじゅう飼わか れています。つまり、コンパクトな犬はそのほとんどが人工じんこうてき作り出さつく だ れたものなのです。
 しかし、天然てんねん小型犬こがたけんもいます。チワワです。えさだいもかからず、場所ばしょもとらず、小さいのに勇敢ゆうかんなこの犬は、ペットとして大変たいへん人気があります。
 チワワの出身しゅっしんはメキシコで、意外いがいにも南国なんごくの生まれなのです。
 実はじつ この犬は、もともとテチチという名前なまえ知らし れていました。チワワと呼ばよ れるようになったのは十九世紀せいきの中ごろです。メキシコに旅行りょこうしたアメリカ人が、メキシコのチワワしゅうでこの小さい犬を見つけ、何匹なんびき持ち帰りも かえ ました。そして、土地とち名前なまえからチワワと命名めいめいしたのです。同じおな ころ、メキシコのおきさきさまがヨーロッパ旅行りょこうお供 ともにこの犬を連れつ 行っい たため、チワワは世界せかいてき有名ゆうめいになりました。
 チワワは人間にんげん大好きだいす です。人間にんげんとの接触せっしょく多いおお ほど元気げんき育つそだ 言わい れています。
 しかし、注意ちゅうい必要ひつようです。この犬の大きさからすると、ベッドやソファは高所こうしょですから、高いたか ところから無造作むぞうさ飛び降りと お 骨折こっせつしてしまうことがあります。また、消化しょうか器官きかんが小さい上にカロリーを早く消費しょうひするため、血糖けっとうが下がりやすいのもチワワの特徴とくちょうです。ですから、少量しょうりょうのえさをたびたび与えあた てやる必要ひつようがあります。
 震えるふる  のはこの犬の特徴とくちょうです。寒いさむ ときだけでなく、興奮こうふんしたときや心配しんぱいなとき、不満ふまんがあるとき、こわがっているときなどに震えふる ます。
 小さいけれど大きな存在そんざいかん持つも チワワ。もしメキシコへ旅行りょこうすることがあったなら、「こんにチワ、ワたしのくにへようこそ」と歓迎かんげいしてくれるかもしれません。

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「チワワって、おでんに入れるとおいしいんだよね。」
「それは、チクワ。」

 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(Μ)
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a 読解マラソン集 2番 地球を棒で測った人 ki3
 スカートやズボンを買うか ときは、まずウエストのサイズを確かめたし  ます。では、地球ちきゅうのウエスト、つまり円周えんしゅうはどうやって測るはか のでしょう。
 現代げんだい科学かがくしゃたちは、メジャーの代わりか  人工じんこう衛星えいせい使いつか ます。北極ほっきょく南極なんきょく通るとお 二つの衛星えいせいで、地球ちきゅうそとがわから測るはか のです。そのようにして算出さんしゅつされた数値すうちは、やくまん八千キロメートル。大変たいへんなウエストサイズです。
 しかし、いまからおよそ二千二百年まえ、すでに地球ちきゅう測っはか た人がいたのです。エラトステネスは、ギリシャの数学すうがくしゃ天文学者てんもんがくしゃでもありました。かれ時代じだいには人工じんこう衛星えいせいなどないので、地球ちきゅう丸いまる ことさえ知らし ない人がたくさんいました。もちろん、地球ちきゅう測るはか ことのできるほど長いなが 巻尺まきじゃくもありません。エラトステネスが使っつか たのは、一本のぼうきれでした。
 エジプトのシエネという都市としにいたときのことです。エラトステネスは、一年でいちばん昼間ひるま長いなが 夏至げし正午しょうごに、太陽たいよう真上まうえ来るく ことに気づきました。太陽たいようひかりかげ作らつく ずに井戸いどそこまで届いとど ていたからです。しかし、そこからきたに八百五十キロメートルほどったところにあるアレクサンドリアでは、同じおな 夏至げしの日の正午しょうごかげが見えたのです。そこで、エラトステネスはあることを思いつきおも   ます。
 かれはまず、アレクサンドリアにまっすぐなぼうを立てました。正午しょうごにそのぼう作るつく かげ観察かんさつするためです。かげ角度かくど測っはか たところ、垂直すいちょく方向ほうこうに対して たい  七・二でした。エラトステネスは地球ちきゅう丸いまる ことと円周えんしゅう全体ぜんたいが三百六十であることを知っし ていました。三百六十を七・二で割るわ と五十ですから、ぼう角度かくど七・二円周えんしゅうの五十分のぶん 一になります。ということは、シエネとアレクサンドリアのあいだ距離きょりも、地球ちきゅう円周えんしゅうの五十分のぶん 一と等しいひと  はずです。そこで二つの町の距離きょりを五十ばいし、地球ちきゅう円周えんしゅうは、やくまんキロメートルから
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まん六千キロメートルだという結論けつろん達したっ たのです。それは、驚くおどろ ほど正確せいかく数値すうちでした。

「エラトステネスさん、ぼう測るはか なんて、いつ思いついおも   たんですか。」
「ぼうっとしているときにね。」

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a 読解マラソン集 3番 食べられる花 ki3
 お腹 なかがすいたら花屋はなやさんに入る、という人はいません。「花より団子だんご」のことわざに見られるとおり、花は見るものであり食べるた  ものではない、というのが普通ふつう考え方かんが かたです。しかし世の中よ なかには、目やはなだけでなく、したまで楽しまたの  せてくれる花が数多くかずおお あるのです。
 例えばたと  、バラは、美しいうつく  だけではなく食用しょくようにもなります。花びらの根元ねもと苦味にがみがあるので取り除きと のぞ ます。また、花の中心ちゅうしん食べた ません。バラの花びらをチーズやナッツるい合わせあ  てサラダにしたり、刻んきざ だものをスパゲッティにふりかけたりするとおいしいのだそうです。バラを使っつか て、アイスクリームや飲み物の もの風味ふうみ添えるそ  こともできます。
 また、野菜やさいの花も食用しょくようになります。カボチャの花は、すでに十六世紀せいきごろから南北なんぼくアメリカで食卓しょくたくのぼっていました。しかし、いくらおいしいからといっても、花を全部ぜんぶ食べた てしまうとカボチャのができなくなってしまいます。ですから、雌花めばな残しのこ 雄花おばなだけを食べるた  のです。
 レモンやオレンジなど柑橘かんきつけいの花は、飲み物の ものに入れたりデザートに添えそ たりすると、風味ふうみ引き立ちひ た ます。はるになると、菜の花な はな八百屋やおやさんの店頭てんとう並びなら ます。フキノトウやイチジクも、食べるた  ところは花の部分ぶぶんです。

「花さん。食べた られたときの気持ちきも はどうですか。」
「はあ、なんというか。」
「やはり、見てもらったほうがうれしいでしょう。」
「はあ、なんといっても。」
「花さんは、きれいですからね。」
「はあ、なにしろ。」
「もっと驚くおどろ ようなことを言っい てください。」
「ハッ!、なあんてね。」

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a 読解マラソン集 4番 微生物の働き ki3
 かつお節   ぶし、みそ、納豆なっとう漬物つけもの、パン、チーズ、乳酸菌にゅうさんきん飲料いんりょう、ビール、ワイン。これらのおいしさの共通きょうつうてんは、独得どくとく風味ふうみです。その共通きょうつう風味ふうみをもたらしている秘密ひみつは、どれもが発酵はっこう食品しょくひんだということにあります。
 同じおな 発酵はっこう食品しょくひんでも、発酵はっこう行うおこな 微生物びせいぶつのちがいによって、いくつかのグループに分けるわ  ことができます。一つ目は、かつお節   ぶしのように、おもにカビの作用さようによるものです。二つ目は、納豆なっとう乳酸菌にゅうさんきん飲料いんりょう、チーズのように、おも細菌さいきん作用さようによるものです。三つ目は、ビール、ワイン、パンのように、おも酵母こうぼ作用さようによるものです。そして、みそ、しょうゆ、漬物つけもののように、三つの作用さよう重なり合っかさ  あ て生まれるものもあります。
 このように、目に見えない微生物びせいぶつは、生育せいいくするときに周りまわ 材料ざいりょう分解ぶんかいして、消化しょうかしやすく変化へんかさせたり、独得どくとくのおいしい風味ふうみ与えあた たりします。ところが、微生物びせいぶつには反対はんたい働きはたら もあって、材料ざいりょう分解ぶんかいするときに食中毒しょくちゅうどくをひきおこす有害ゆうがい物質ぶっしつ作っつく たり、悪臭あくしゅう放つはな 不快ふかい物質ぶっしつを作ったりすることもあります。これを、わたしたちは腐敗ふはい表現ひょうげんしています。
 地球ちきゅう上のあらゆるところに生育せいいくする微生物びせいぶつは、忍者にんじゃのように目には見えませんが、わたしたちの暮らしく  深くふか 関わっかか  てきました。わたしたちが健康けんこう環境かんきょうにやさしい生き方い かたをするためにも、微生物びせいぶつとの共存きょうぞんがこれからいっそう大切たいせつになってくるでしょう。
「カビさんが役に立っやく た ているなんて、初めてはじ  知りし ました。」
「そうカビ。」
細菌さいきんさんも、がんばっているんですね。」
最近さいきんだけどね。」
酵母こうぼさんも、たまに失敗しっぱいすることがあるんですか。」
「コウボうもふで誤りあやま 言うい ぐらいだから。」

 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(μ)
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