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読解マラソン集 5番 アリの世界 ke3
小さなアリの世界は、不思議です。一つの巣の中のアリたちは、おたがいが仲間であることをにおいでたしかめあいます。巣の外で出会ったときも、おたがいの触角がふれあっただけで仲間だということがわかるので、食べ物をわけあたえたり、協力してものを運んだりします。
はたらきアリは、おどろくほど大きなものを運んでいることがあります。アリはたいへんな力持ちで、自分のからだの二倍ぐらいの重さのものなら持ち上げることができますし、十倍の重さのものでも引きずって運ぶことができます。大きすぎて一匹で運べないものは、仲間といっしょに運んだり、その場で小さくちぎって少しずつ運んだりします。
仲間どうしはおたがいに協力しますが、巣がちがえばみんな敵です。ちがう巣のアリどうしが出会うと、ものすごいたたかいになることがあります。じょうぶな大あごや、おしりの先からでる蟻酸という毒を武器にたたかいます。
世界には、かわったアリがいます。おそろしいのは、アフリカにすんでいるサスライアリです。サスライアリの通ったあとは、食べられるものは何一つ残りません。サスライアリの群れは、たとえニシキヘビだろうと、あっという間に骨だけにしてしまいます。
北アメリカやメキシコ北部に住むミツツボアリは、はたらきアリの中におなかが異常にふくらむものがいます。ほかのはたらきアリが集めた蜜をおなかにたくわえ、蜜の入れものの役目をしながら、巣の天井からじっとぶらさがっているのです。はたらきアリはおなかが空くと、おなかに蜜をたくわえたアリの頭をたたき、はき出される蜜をなめます。おなかに蜜をたくわえたアリは、まるで生きている食糧倉庫です。
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「蜜、ありますか。」
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
「ぼくにも、ください。」
「もう、ありません。」
「ありー。」
言葉の森長文作成委員会(κ)
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読解マラソン集 6番 リスの冬眠 ke3
動物は、体温の調節ができるかどうかで、大きく二つに分けることができます。一つは、カエルやヘビ、トカゲ、多くの昆虫など、自分では体温の調節ができない動物です。これらの動物を変温動物と言います。つまり、外が寒くなってくると、自分の体の温度もいっしょに下がるのです。このような動物は、寒さの厳しい冬には、暖かい地面の中や木の穴の中で、死んだように眠って過ごします。
もう一つは、自分で体温を一定に保てる動物です。人間もそうですし、鳥や哺乳類はすべて、この恒温動物の仲間です。恒温動物は、定温動物とも言います。私たちは、冬に外の気温が〇度近くまで下がっても、体温はいつもと同じままです。
人間は、冬になるとエアコンをつけるなどして暖房しますが、森にいる動物たちは、そうはいきません。冬になると、エサも少なくなります。そこで、リスやヤマネ、コウモリなどは、やはり冬眠するのです。
しかし、恒温動物の冬眠は、死んだように眠り続ける変温動物の冬眠とは少し違います。リスなどは、冬眠に入ると体温を下げ始め、体の働きを最小限にして眠ります。この間、エサは食べませんが、息だけはしています。気温が低くなっても、死なない程度の体温調節は行われているのです。また、二週間くらいごとに目覚めがあります。この時、リスの体温は上がり、秋のうちに巣に蓄えておいたエサを食べたり、おしっこをしたりしますが、すぐにまた体温が下がって冬眠状態になります。これを冬の間くり返しながら、春を待っているのです。
みなさんも、寒い冬の朝、「ああ、リスみたいに冬眠して、冬の間眠ってすごしたいなあ」と思うことがあるかもしれません。でも、そうしたら、クリスマスのケーキも、バレンタインのチョコも、食べられません。人間は、暖かい服や暖房を発明して、寒い冬の間も夏と同じように活動できるようになったのです。リスも、
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本当は冬眠などしないで、クリスマスくらいは、リースを飾って楽しみたいなあと思っているかもしれません。
言葉の森長文作成委員会(τ)
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読解マラソン集 7番 日食 ke3
いつも空に円く見える太陽が欠けて見えることがあります。地球は太陽の周りを回っています。その地球の周りを月が回っています。地球と太陽の間に月が入ると、月がじゃまになって太陽が見えなくなります。これを日食といいます。太陽は光を放っているので、月がじゃまをしている部分は月の影になり、地球からは見えないということになります。月が太陽を完全に隠してしまうことを皆既日食といい、一部を隠すことを部分日食といいます。地球上に映る月の影は一つの県ぐらいの大きさなので、一回の日食で皆既日食が見られる地域は限られます。これを見ようと海外まで出かける人もいるくらいです。
月と太陽では、地球から見た見かけの大きさはあまり違いがありません。実際は地球から太陽までの距離は、地球から月までの距離の四百倍もありますが、太陽が月の四百倍の大きさであるため、地球からの見かけの大きさはあまり変わらないのです。しかし、よく測ってみると、月も太陽も見える大きさが少しずつ変化します。これは月や太陽が動くことによって、地球の観測地点からの距離が変わるからです。月の方が大きいときは、太陽全体を隠しきって皆既日食が起こります。太陽の方が大きいときは、太陽の方がはみ出して、金環日食となります。
日食の仕組みが分からなかった古代には、不吉なことが起こる前兆だと考える人も多かったようです。皆既日食を見た昔の人は、太陽がすっかり見えなくなってしまうのですから、さぞ怪奇な現象だと思ったことでしょう。
昔の暦は太陰暦といい、月の満ち欠けを一ヶ月として作られていました。現在の暦は太陽暦といい、地球が太陽の周りを回る周期を元に作られています。天体の動きは、私たちの生活にも利用されているのです。
言葉の森長文作成委員会(ν)
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読解マラソン集 8番 シマウマ ke3
シマウマの体の模様は、まるで横断歩道のようです。横断歩道の模様はとても目立つので、シマウマの白と黒の模様も、草原の中で目立ってしまい、肉食獣に簡単に見つかってしまうのではないかと思うかもしれません。しかし、そんなことはありません。
アフリカの日差しは強烈です。昼間、太陽がぎらぎらと照りつけて大地が熱くなると、かげろうが立ちのぼります。シマウマの住んでいるサバンナ地帯は、広くなだらかな丘のところどころに、背の低い木の茂みや、背丈の高い草むらがあります。ゆらゆらするかげろうの中で、シマウマの姿はちょうど木や草にまぎれて、見えにくくなります。あのシマ模様は、ライオンやハイエナの嗅覚がとどかないところにいるかぎり、身を守るのにとても都合がよいのです。このように、身体を見えにくくさせる色のことを、保護色と呼びます。
シマウマが、なぜ横断歩道のような模様をしているかについて、もう一つ説があります。それは、サシバエ(刺しバエ)から身を守るためという説です。アフリカには、ツェツェバエという大きなハエがいて、アブのように人や動物を刺します。ツェツェバエという名前は、ボツワナの言葉で「牛を倒してしまうハエ」という意味です。ハエにとっては、栄えある名前かもしれません。人間がこのハエに刺されると、体の中に病原体が入って、ときには命を落とすこともあります。
ツェツェバエの目から見ると、シマウマのシマ模様は見えにくいらしく、シマウマのまわりにたかるハエは、ほかの動物と比べてぐんと少ないのです。
ところで、シマウマのしま模様は、一頭ずつすべて異なっています。人間の指紋には一つも同じものがありませんが、シマウマの模様もちょうどそれと似ています。私たち人間から見ると、どれも同じように見える模様ですが、一つとして同じものがありません。
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さて、しまのつく動物は、ほかにもいます。シマリス、シマダイ、シマヘビ、島田君。それは人間です。
言葉の森長文作成委員会(κ)
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問題
ke-02-4 問題1
問1 読解マラソン集5番「アリの世界」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 同じ種類のアリは、どんなときでも仲間だが、違う種類のアリは、敵どうしである。
B アリは、自分と同じぐらいの重さのものなら、楽に持ち上げることができる。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答1
ke-02-4 問題2
問2 読解マラソン集5番「アリの世界」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A アリは、自分と同じぐらいの大きさのものなら、重くても楽に持ち上げることができる。
B サスライアリの通ったあとは、ニシキヘビだろうと皮だけになってしまう。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答2
ke-02-4 問題3
問3 読解マラソン集6番「リスの冬眠」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A カエルやヘビは、冬になるとえさが少なくなるので、冬眠する。
B 冬になって気温が〇度近くになっても、人間の体温は夏のころと同じである。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答3
ke-02-4 問題4
問4 読解マラソン集6番「リスの冬眠」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A リスは、冬眠に入ると、自分の体温も下げる。
B リスは、冬眠の間も、たまに起きてえさを食べる。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答4
ke-02-4 問題5
問5 読解マラソン集7番「日食」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 地球と月の間に太陽が入り、月が見えなくなることを月食という。
B 皆既日食になると、地球全体が月の影にすっぽりおおわれてしまう。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答5
ke-02-4 問題6
問6 読解マラソン集7番「日食」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A 月は太陽よりも小さいが、地球の近くにあるので、太陽と同じぐらいの大きさに見える。
B 昔の暦は、月の動きをもとにして作られていた。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答6
ke-02-4 問題7
問7 読解マラソン集8番「シマウマ」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A シマウマの縞模様は、横断歩道をもとにして作られている。
B シマウマの縞模様を見ると、同じ家族は同じ模様をしている。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答7
ke-02-4 問題8
問8 読解マラソン集8番「シマウマ」を読んで次の問題に答えましょう。
○と×との組み合わせが合っているものの数字を書きなさい。
A ツェツェバエは、牛を倒すハエなので、シマウマを刺すことはあまりない。
B ツェツェバエは、ハエなのに、アブのように人や動物を刺す。
1 A○ B○ 2 A○ B× 3 A× B○ 4 A× B×
解答8