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読解マラソン集 1番 アライグマ ke3
アライグマは、なんでも洗ってしまう動物です。食べ物であろうとなかろうと、身のまわりにあるどんなものも、前足を器用に使って、ざぶりと水にくぐらせてごしごしと念入りに洗います。アライグマが洗わないのは、自分の体ぐらいです。前足は水の中に入れるくせに、水浴びは大きらいなのです。だから、きれい好きに見えて、本当はきれい好きではないのかもしれません。何でも洗うという行動も、きれいにするためではなく、遊びの一種だと言われています。
アライグマが、一生懸命に何かを洗っているすがたは、たいへんかわいらしいものです。昔、「あらいぐまラスカル」というアニメが放映され、日本人の頭の中に、アライグマはかわいらしい動物であるというイメージが定着しました。多くの人が、ペットとして飼ってみたいと思ったのです。そこで、もともと北アメリカにすんでいたアライグマが、ペット用に数多く輸入されました。
しかし、野生のアライグマは、イヌやネコとはまったくちがいました。小さいころは、人間になつくのですが、大人になるとあつかい方が難しくなります。野生の動物は、自然の中で生きていくために、ある程度獰猛な性質を持っています。アライグマは、気の荒い、ペットに適した動物ではなかったのです。そこで、困った飼い主がアライグマをこっそり捨ててしまうこともありました。捨てられたアライグマは野生化して、畑の農作物を食べあらし、被害が出ました。
しかし、畑をあらすアライグマが悪いのでしょうか。野生の動物がいちばん幸せに暮らせるのは、もともと住んでいた場所です。遠くはなれた日本に連れて来られたアライグマは、新しい環境で必死に生きていただけなのです。
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あつかいに困って捨ててしまう人がいる一方で、アライグマの生態を勉強して、責任を持って飼ってくれる里親を探す活動をしている人たちもいます。私たちは、もっと動物のことを勉強して、動物と人間がおたがいに幸せに暮らせるようにしていかなければならないのでしょう。
「ところで、アライグマさん、本当に獰猛なんですか。」
「どうもう、なあんちゃって。」
「いや、そうじゃなくて。」
言葉の森長文作成委員会(κ)
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読解マラソン集 2番 カエルの冬眠 ke3
1夏の間、あんなにたくさん見かけたカエルは、冬にはまったく見かけなくなります。カメやヘビも、冬の間は見かけません。しかし、また春になると、姿を現すようになります。2カエルにしてもヘビにしても、あんなに毛がなくてつるつるの体では、さぞ冬には寒いことでしょう。それに、冬の間は、エサにする虫などの生きものもとても少なくなります。3それでは、こういう生物たちは、寒い冬をどうやってすごしているのでしょう。
じつは、カエルやカメやヘビなどは、冬の間、冬眠といって、地面の中や池の底、木の穴など、比較的暖かそうで安全な場所にかくれて寝ているのです。4カエルやヘビは変温動物といって、外の気温が下がってくると、自分の体温も同じように下がってしまいます。だから、冬になって気温が下がって活動できなくなると、冬眠してしまうのです。
5この冬眠の間は、体の中に蓄えたエネルギーを使って生きていますから、エサを食べる必要がありません。息さえしなくても大丈夫なものもいるといいますから驚きます。6息もせずに生きられるとはちょっと生意気ですね。こうして、まるで死んだように眠り続け、カエルのいなくなった世界は静まりかえるのです。
7春になり、外が暖かくなってくると、眠っているカエルたちの体もいっしょに温まり、体温が上がってきます。すると、カエルたちの体は再び活動を始め、「ああ、おなかがすいたなあ」と、外に出てきます。8そのころには、エサたちも冬眠から目覚めたり、新しく生まれたりしてたくさんいるので、おなかいっぱい食事をすることができます。
「眠れる森の美女」という、魔法使いに眠らされたお姫様の話があります。9お姫様は王子様のキスで長い眠りから目覚めますが、「眠れる森のカエルたち」にとっては、春の暖かい太陽が、まるで
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「王子様のキス」のように思えることでしょう。カエルたちは、太陽の暖かさで次々と我に返るのです。0
言葉の森長文作成委員会(τ)
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読解マラソン集 3番 昆虫の擬態 ke3
昆虫は、いつも危険にさらされています。空から舞い降りてきた鳥のくちばしに一瞬のうちにはさまれてしまったり、不意に伸びてきたカエルの舌に巻き取られてしまったり、昆虫は、いつも敵に狙われています。そのために、昆虫は、敵から身を守るための工夫をするようになりました。その一つが擬態です。擬態とは、自分の姿を、自分以外の生物や周囲の色や形に似せることによって、敵の目をくらます方法のことです。
擬態には、大きく分けると二つの種類があります。一つは、周りの植物などに似せて、敵に見つからないようにする方法です。木の枝にそっくりのシャクトリムシやナナフシがこの例です。鳥だけではなく、人間が見ても、すっかりだまされてしまいます。木の枝が落ちてきたと思って拾い上げたら、それが動き出したのでびっくりしたという経験がある人もいるでしょう。この種類には、ほかにも、その名のとおり枯れ葉に化けるカレハガや木の皮に化けるキノカワガ、花に化けるハナカマキリなどがいます。
もう一つの種類は、周りにいる危険な虫などに似せて、敵を寄せつけないようにする方法です。ハチに似ているアブやスズメガなどがこの例です。また、悪臭を発するマサギマダラに化けるカバシタアゲハやキボシアゲハなどもいます。敵に襲われそうになると、鳥の目玉のような羽を見せたり、毒々しい色をして敵を脅かしたりする昆虫もいます。
擬態の目的は、他の動物から身を守ることだけとは限りません。カマキリは、葉の色と同じ色をしているので、獲物に気づかれずに狩りをすることができます。葉っぱだと思って近づいてきた虫は、すぐさまカマキリのカマに捕えられてしまいます。カマキリの前で金切り声を上げても後の祭り。これっきりというわけです。
言葉の森長文作成委員会(Λ)
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読解マラソン集 4番 世界の食べ物 ke3
日本の主食は、お米です。日本と同じように、お米を主食とする国は多く、インド、中国、東南アジアの諸国などがあります。お米は、粒のままで食べる場合が多く、水で炊いてご飯にしたり、多めの水で炊いておかゆにしたり、蒸しておこわにしたり、蒸したあとついておもちにしたりするなど、さまざまな食べ方があります。また、炊いたお米をいためてたべる焼き飯や、いためてから炊くピラフやパエリヤなどもよく知られています。
世界には、お米以外の主食もあります。代表的なものは小麦です。小麦は、アメリカ、インドなどで多く生産され、食べ方は、粉にしてから食べることが多く、ねって焼いたり、めんにしてゆでる方法がほとんどです。パンやスパゲッティは、小麦から作られます。中国で食べられている饅頭も、ねった小麦粉を丸めて蒸したものです。日本でおなじみの肉まんも、饅頭の一種です。
トウモロコシは、米、小麦に並んで、世界三大穀物の一つと言われています。メキシコでは、トウモロコシの粉で作った生地をうすくのばして焼いたトルティーヤが主食です。そのほか、トウモロコシを粉がゆにしたり、蒸したりして食べます。
世界には、それぞれの国の気候、風土によっていろいろな食べ物があります。寒くて作物を栽培できない北極近くに住むイヌイットは、カリブーやアザラシの肉を主食としています。昔のイヌイットはアザラシなどの肉を生で食べて、ビタミンCが足りなくなるのを防いでいました。もっとも、氷の上で肉を焼いて食べていたら、氷が溶けて海に落ちてしまうという理由もあったかもしれません。
北極を探検したヨーロッパ人たちは、生肉を食べるのをきらったために、壊血病に苦しめられました。生肉を受け付けないヨーロッパ人にとって、壊血病の問題は、なかなか解決できませんでした。生の肉を食べるのは、北極というきびしい場所で生きのびていくた
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めのイヌイットの知恵だったのです。
言葉の森長文作成委員会(κ)
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問題
ke-01-4 問題1
問1 読解マラソン集4番「世界の食べ物」の長文を読んで、次の問いに答えなさい。
トルティーヤは、何の粉で作りますか。
正しい方を一つ選んで番号で答えなさい。
1 小麦
2 トウモロコシ
解答1
ke-01-4 問題2
問2 読解マラソン集3番「昆虫の擬態」の長文を読んで、次の問いに答えなさい。
擬態の目的にあてはまらないものはどれでしょうか。
正しい方を一つ選んで番号で答えなさい。
1 他の動物から身を守ること。
2 自分にいちばんにあうすがたを探すこと。
解答2
ke-01-4 問題3
問3 読解マラソン集4番「世界の食べ物」の長文を読んで、次の問いに答えなさい。
世界三大穀物とは、小麦、とうもろこし、と何でしょう。
正しい方を一つ選んで番号で答えなさい。
1 米 2 肉
解答3
ke-01-4 問題4
問4 読解マラソン集4番「世界の食べ物」の長文を読んで、次の問いに答えなさい。
昔のイヌイットのようにアザラシなどの生肉を食べると、どんな栄養素がじゅうぶんにとれるのでしょう。
正しい方を一つ選んで番号で答えなさい。
1 カルシウム 2 ビタミンC
解答4
ke-01-4 問題5
問5 読解マラソン集3番「昆虫の擬態」の長文を読んで、次の問いに答えなさい。
シャクトリムシやナナフシはどのような擬態の方法をとっているのでしょう。
正しい方を一つ選んで番号で答えなさい。
1 周りにいる危険な虫などに似せて、敵を寄せつけないようにする方法。
2 周りの植物などに似せて、敵に見つからないようにする方法。
解答5
ke-01-4 問題6
問6 読解マラソン集3番「昆虫の擬態」の長文を読んで、次の問いに答えなさい。
昆虫はなぜいつも危険にさらされているのでしょうか。
正しい方を一つ選んで番号で答えなさい。
1 いつも敵にねらわれているから。
2 いつも敵の目をくらましているから。
解答6
ke-01-4 問題7
問7 読解マラソン集4番「世界の食べ物」の長文を読んで、次の問いに答えなさい。
北極を探険したヨーロッパ人たちは、なぜ壊血病に苦しめられたのですか。
正しい方を一つ選んで番号で答えなさい。
1 生肉を食べるのをきらったため。
2 作物を栽培できなかったため。
解答7
ke-01-4 問題8
問8 読解マラソン集4番「世界の食べ物」の長文を読んで、次の問いに答えなさい。
パンやスパゲッティの原料は何ですか。
正しい方を一つ選んで番号で答えなさい。
1 米 2 小麦
解答8