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読解マラソン集 9番 タコとイカの秘密 e3
タコとイカ。どちらもすがたが似ていますが、いちばんわかりやすいちがいは足の数でしょう。タコの足は八本、イカの足は十本といわれています。ところで、わたしたちが足だと思っているのは本当に足なのでしょうか。実は足ではなく、正しくは腕なのです。これからタコとイカのひみつにせまってみましょう。
タコとイカの祖先は貝がらを持って海に住んでいました。イカの体の中から出てくる甲は貝がらのなごりだといわれています。タコやイカは、長い進化の中で自分の生活につごうのよい数の腕を残し、今のすがたになったのです。
では、タコとイカどちらも近い仲間でありながら、腕の数がちがうのはなぜなのでしょう。実は、タコもイカも腕の数はどちらも同じ八本です。けれども、イカは触腕とよばれる特別な腕を二本持っており、その二本でえものを取るのです。
イカの中には触腕を使わずにえものをとるイカもいます。深海に住むマッコウタコイカは、生まれたときは触腕がありますがすぐに取れてしまい、八本の腕でえものを取っています。わたしたちが足だと思っているものが、えものを取るために使うのだとすれば、足ではなく腕というのも納得できます。
また、タコとイカの体の部位は、他の動物たちと比べると少しちがったつきかたをしています。みなさんが、頭だと思っているところは胴体で、その下に頭が続き、腕へとつながっています。人間がさか立ちしたような状態を想像するといいかもしれません。タコを見ると、たくさんの脳みそがつまっていてかしこそうだなと思うかもしれませんが、あれは胴体なのです。
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タコとイカはスミをはいて敵から逃げることで有名ですが、スミの使い方がちがいます。タコのスミはねばり気が少なく、水中でけむりのように広がり、あたりを真っ暗にします。敵は周りが見えなくなってタコを見失います。その間に、タコはスタコラサッサと逃げるのです。
一方、イカのスミは粘り気があるので、水中であまり広がらず波の動きに合わせてただよいます。イカは、敵がこのスミに気を取られている間に逃げるのです。イカに逃げられた敵はイカリ狂いますが、もう後の祭りです。
スミをうまく使うタコやイカは、伊賀と甲賀の忍者も真っ青な海の忍術つかいのようです。タコもイカも、なかなか隅に置けませんね。
言葉の森長文作成委員会(Ω)
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読解マラソン集 10番 南極探検 e3
南極大陸は、そのほとんどが一年中厚い氷におおわれ、地球上で最も寒さの厳しい地域です。そのため、もともと南極にはだれも住んでいませんでした。南極の地形がどうなっているのかは、長い間なぞにつつまれていたのです。十八世紀に、イギリスのジェームズ・クックという人が初めて南極の探検に挑みました。クックは人類史上初めて、南極圏を航海しましたが、大陸を発見することはできませんでした。
その後、何人もの探検家によって南方への探検が行われ、十九世紀になってやっと南極大陸が発見されました。かつては、南方に巨大な大陸が広がっていると言い伝えられていましたが、この探検の結果、巨大な南方大陸は存在しないことがわかりました。実際の南極大陸は、伝説上の大陸よりもずっと小さなものだったのです。
二十世紀に入ると、南極探検はますますさかんになりました。探検家たちの関心は、地球の最も南の地点である南極点に、だれが一番先に到達するかということでした。多くの探検家が我こそはと南極点を目指しましたが、探検船が氷に閉じ込められて何か月も漂流したり、病気によって探検隊に死者が出るなど、探検は多くの難局に直面しました。それでも、さまざまな国が探検隊を派遣し、南極での越冬に成功して多くの経験を積み、人類は南極点に少しずつ近づいていきました。
ノルウェーのロアルド・アムンゼンと、イギリスのロバート・スコットは、南極点への一番乗りを、ぎりぎりまで競ったことで有名です。スコットの一行は、エンジンをつけたソリのような動力雪上車と、馬ソリ隊を率いていました。ところが、二台の動力雪上車はすぐに故障してしまい、大切な馬まで寒さと疲労で次々と倒れてしまったのです。そして、とうとう人力でソリをひかなくてはならなくなってしまいました。一方、アムンゼンの一行は犬ゾリとスキーで移動し、ついに人類として初めて南極点に立ちました。
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アムンゼンは、そこにノルウェーの国旗を立て、周辺を調査しました。
たいへんな苦難を乗り越えて、スコットも南極点にたどりつくことに成功しました。アムンゼンの南極点到達より一か月ほど後のことです。スコットたち一行は、ノルウェーの国旗が立てられているのを見て、たいへんがっかりしたと言います。南極点に立つことには成功しましたが、残念なことに一行は、帰る途中で遭難してしまいました。
アムンゼンとスコットの明暗を分けた原因の一つは、防寒服だったとも言われています。アムンゼンたちは、アザラシなどで作られた毛皮の防寒服を着ていました。スコットたちの服は、牛皮を重ねて作られたもので、重いことと水がしみこみやすいことが短所でした。汗などを吸い込んだ防寒服は、最後は保温の役目をほとんど果たしていなかったとも考えられています。南極の寒さは、スコットたちの想像を絶するものだったのかもしれません。
アメリカ合衆国が南極点付近に建設した観測基地は、南極点の一番乗りを競ったアムンゼンとスコットの二人の探検家に敬意を表して、「アムンゼン・スコット基地」と名づけられています。この二人の勇敢な探検家を、私たち人類は忘れることはないでしょう。
言葉の森長文作成委員会(κ)
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読解マラソン集 11番 シーラカンス e3
大昔、地球上で栄えていた恐竜は、今から六千五百万年ほど前に絶滅しています。シーラカンスも、恐竜と同じ時代に生きていた古代魚のなかまで、体長は人間ほどの大きさもありました。世界各地で化石が見つかっており、恐竜とともにほろびさった生物であると考えられてきました。
ところが、あるとき、南アフリカの東海岸で、漁師がつかまえた魚の中から奇妙な形のものが見つかりました。ぬるぬるした厚い大きなうろこにつつまれ、四本の足のようなひれを持つ魚でした。南アフリカの博物館員が調べたところ、それは、ほろびたはずのシーラカンスだったのです。その後、インド洋など、ほかの地域でもシーラカンスが発見されました。インドネシアでは、ほかの魚にまじって、何気なく魚市場に並べられていたこともありました。
シーラカンスがすんでいるのは、ほとんど光の届かない深い海です。そのため、人間の目にふれず、ひっそりと生き続けることができたのかもしれません。発見されたシーラカンスは、三億年以上も前の化石と、ほとんど同じ姿をしていました。
現在、シーラカンスが発見されているのは、南アフリカとインドネシアです。しかし、この二つの地域は、北海道から九州までの距離の約五倍も離れています。しかも、シーラカンスは深海に住んでいるため、泳ぎがうまくありません。どうしてこんな遠く離れたところに、同じようなシーラカンスがいたのでしょうか。
科学者がシーラカンスのミトコンドリアの細胞を調べた結果、二つの地域のシーラカンスは、大昔に分かれたことがわかりました。
昔、インド大陸がユーラシア大陸にぶつかって、インドがアジアと陸続きになったころ、その海にすんでいたシーラカンスがアフリカ側とアジア側に分かれてすむようになりました。シーラカンスの姿や形は、そのころからほとんど変わっていなかったのです。
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そこで、シーラカンスさんにインタビューしてみました。
「そんなこと、ちっともしーらなかったんす。」
言葉の森長文作成委員会(κ)
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読解マラソン集 12番 北極探検 e3
北極地方は、寒さがたいへん厳しく、海もほとんど氷でおおわれています。今では、北極に陸地がないことがわかっていますが、昔の地図の中には、北極点を中心に四つの大陸が描かれているものがあります。北極点が陸地か海かということさえ、長い間、なぞだったのです。
十六世紀に、船による北極探検が始まりました。北極海には、厚さが天井の高さほどもある氷が一面に浮かび、ゆっくりと移動しています。北極探検では、移動してきた氷に船が閉じ込められて遭難するなど、多くの命が失われました。
もう一つ、探検家たちに恐れられていたのは、壊血病という原因不明の病気です。これはなかなか解決できない問題で、この病気によって隊員たちが次々と倒れていきました。この病気の原因は、ビタミンCの不足でした。航海中には、野菜や果物などの新鮮な食べ物を食べることが難しいので、知らず知らずのうちにビタミンCが足りなくなっていたのです。
十九世紀の終わりごろから、探検家たちはさまざまなルートで北極圏に入り、地球の最も北である北極点をめざしました。ノルウェーのナンセンは、北極点のすぐ近くまで船で近づくことができました。しかし、すぐ近くと言ってもその距離は、東京と大阪ほども離れていました。また、南極探検で有名なアムンゼンは、大西洋からアメリカ大陸の北を通って太平洋にぬける北西航路を、初めて通過することに成功しました。
西洋人として北極点に最初に立ったのは、アメリカのロバート・ピアリーだと言われています。しかし、彼も簡単に北極点に到達できたわけではありませんでした。初めて北極点に挑んだ探検は大失敗に終わり、凍傷により足の指を八本も失ってしまったのです。普通だったらどうしようと途方に暮れてしまうところですが、それでもピアリーは負けませんでした。失敗した体験を生かし、長い
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時間をかけて計画を練り直し、再び新たな探検に出ました。この探検では、寒さに強い犬ぞりや、イグルーという氷で作った家をうまく使い、ついに北極点に到達することができました。十六世紀に北極地方への探検が始まってから、約三百年もの年月がたっていました。
西洋人にとっては、長い間、北極は未知の世界でしたが、北極圏には、もともと先住民族が住んでいました。彼らはイヌイットと呼ばれており、何世紀もの間、外部とほとんど接触をしないで暮らしてきました。海に住むアザラシやセイウチなどの狩りを中心に生活を営み、独自の文化を作っていたのです。イヌイットは、西洋人よりもはるかに北極のことをよく知っており、探検家たちが、彼らから学ぶべきことは多くありました。最後の探検のとき、ピアリーは、厳しい北極の環境に慣れた多くのイヌイットを連れていました。イヌイットの力を借りたことも、ピアリーを成功にみちびく大きな要因だったのでしょう。
言葉の森長文作成委員会(κ)
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問題
e-03-4 問題1
問1 読解マラソン集9番「タコとイカの秘密」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■イカには二本の触腕があるが、タコにはない。
1 ○ 2 ×
解答1
e-03-4 問題2
問2 読解マラソン集9番「タコとイカの秘密」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■タコの脳みそは、胴体の中にある。
1 ○ 2 ×
解答2
e-03-4 問題3
問3 読解マラソン集10番「南極探検」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■二十世紀に入ってから、南極点を目指した探険家は、最初のうちは南極での越冬に成功しなかった。
1 ○ 2 ×
解答3
e-03-4 問題4
問4 読解マラソン集10番「南極探検」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■スコットが着ていた防寒服は、重く、水がしみこみやすいものだった。
1 ○ 2 ×
解答4
e-03-4 問題5
問5 読解マラソン集11番「シーラカンス」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■南アフリカの東海岸で見つかったシーラカンスは、三億年前とちがって足が4本あった。
1 ○ 2 ×
解答5
e-03-4 問題6
問6 読解マラソン集11番「シーラカンス」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■シーラカンスは、夏はアジア側にすみ、冬はアフリカ側にすんでいる。
1 ○ 2 ×
解答6
e-03-4 問題7
問7 読解マラソン集12番「北極大陸」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■アメリカのピアリーは、最初の挑戦では北極点に到達することができなかった。。
1 ○ 2 ×
解答7
e-03-4 問題8
問8 読解マラソン集12番「北極大陸」を読んで次の問題に答えましょう。
次の文を読んで、○だったら1を、×だったら2を選び、その数字を書きなさい。
■北極圏には、陸地がないので、誰も住むことができなかった。
1 ○ 2 ×
解答8