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読解マラソン集 1番 シーソーのひみつ e3
公園の遊具にシーソーがあります。二人そろえば、楽しく遊ぶことができます。シーソーは、ふつう長い板の真ん中に支柱があり、板の両方の端に、人が乗れるように取っ手がついています。地面を足でポンとけると体が浮かび、相手がけると地面に着陸します。そのたびに、おしりがはずんで、板は音でリズムを刻みます。「ギッタンバッタン」「ギッコンバッコン」。音を遊具の名前にして呼んでいるところもあります。
同じ年の、同じくらいの背格好のお友達と乗るときは、シーソーはうまく上下に交互に動きます。ところが、お父さんやお母さんと乗るときには、自分の方は上がったままになって困ることもあります。大人のほうが、体も大きく重いからです。そんなとき、お父さんやお母さんの方がぐっと進んで板の前の方、つまり支柱に近いところにすわってくれると、バランスがとれるようになります。これは、どうしてなのでしょう。
それは、てこの原理を使っているからなのです。例えば、自分の力ではびくともしないような大きな岩を動かしたいとき、ころあいの棒と小さ目の石があれば、わずかの力で動かせます。まず、棒を岩の下にすべりこませ、その棒と地面の間に小さ目の石を置きます。そして、棒の反対の長い方の端を下に押せば、重い岩も軽く動かせるようになります。
このてこの棒が、シーソーの板にあたります。小さめの石がシーソーの支柱で、大きな岩がお父さんというわけです。お父さんが、シーソーの支柱に近づいてすわったことで、てこのかたちができあがり、小さな自分の体重でも重たいお父さんを持ち上げることができたのです。
どうしても動かない人のことを「てこでも動かない」と言いますが、これはそうとうの意地をはっているか、信念のかたまりなのでしょう。あまり強情だと、変てこな信念だと思われるかもしれません。
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言葉の森長文作成委員会(μ)
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読解マラソン集 2番 ペンギン e3
ヨチヨチとおぼつかない足どりで歩くペンギン。小さく、短い足で支えられた体を右に左にゆすりながら歩く姿はまるで歩き始めたばかりの人間の赤ちゃんのようです。そんなペンギンですが、ひとたび水の中に入ると、今までの愛らしい姿は一変し、つばさをはばたかせ、魚のようなスピードで優雅に泳ぎます。まるで水の中を飛んでいる飛行機のようです。
空を飛ぶことのできる鳥とできない鳥のちがいは、骨と羽にあります。空を飛ぶことのできる鳥には、竜骨突起とよばれる大きな骨があり、その骨で翼を動かす大きな筋肉を支えています。一方、ダチョウのように飛べない鳥には、この骨はありません。しかし、空を飛ぶことのないペンギンには、竜骨突起があるのです。これはペンギンの祖先が昔、空を飛んでいたことを意味します。
では、なぜペンギンは空を飛ばなくなったのでしょう。大昔、空を飛べる鳥だったペンギンは、水面から食べ物を取っていましたが、やがて海中にもぐってオキアミ、イカ、イワシなどの魚を捕るようになり、今の姿に進化したと言われています。
また、空を飛ぶためには軽くて大きく、根元がまっすぐな羽根がたくさん必要ですが、水中の生活を選んだペンギンにとってじゃまになるだけなので、かたくて短く、羽根の根元が曲がって、体にぴったりそった一枚の板のような羽に変わったのです。ペンギンはこの羽を使って、オールでこぐように泳ぎます。
ペンギンの体には水の中で生活する工夫がたくさんあります。イルカのような体型は、水の抵抗を小さくし、高速で泳ぐことを可能にします。くちばしと舌には、のどのおくへ食べ物が流れるようにつきでたのこぎりのような部分があります。つかまえた魚などが口から逃げないようにするためです。耳は、高速で泳いだ後に作られるあわのはじける音が魚などにぶつかって出る反射音を
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聞いて、食べ物の位置が正確にわかるようにできています。羽毛は、水を通さないダイビングスーツの役目をするというからおどろきます。
けれども、このダイビングスーツの役目をするのは、いちばん上の羽毛だけです。いちばん上の羽毛が抜けると、そこから水が入り、体がぬれてしまいます。ですから、羽毛がはえかわる季節は、海に入ることができません。
「う、もう! 早く着替えが終わらないかしら。」
新しいダイビングスーツがはえそろうまで、がまんしているペンギンの声が聞こえてきそうです。
言葉の森長文作成委員会(Ω)
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読解マラソン集 3番 カンガルーの袋 e3
カンガルーは、オーストラリアとパプアニューギニアだけに住んでいます。カンガルーには長いしっぽがあり、これは後ろ足だけで立つときにバランスをとる役目もしています。
カンガルーのもう一つの大きな特徴は、雌のおなかにある袋です。この袋で、お母さんは赤ちゃんを育てるのですが、それには理由があります。たいていの動物の赤ちゃんは、自分の力でお母さんのお乳を飲めるようになってから生まれてきますが、カンガルーの生まれたての赤ちゃんは、たいへん小さく、マッチ棒ぐらいの大きさしかありません。小さくて弱い赤ちゃんは、袋の中に入れて守ってあげなくてはならないのです。赤ちゃんは、袋の外で生まれます。そのあと、お母さんがなめて作った道を一生懸命にたどって、袋の中に入ります。上手に袋に入ることができれば一安心です。
袋の中には、お母さんのおっぱいがあるので、中に入った赤ちゃんはさっそくすいついてお乳を飲みます。袋の内側には毛が生えていないので、ふんわりやわらかく、お母さんの体温のおかげで、いつもぽかぽか温かいのです。その上、お母さんがときどきなめて掃除をしてくれるので、袋の中はいつも清潔です。また、袋の入り口は、マジックテープのように閉じることもできます。赤ちゃんが入っていないときは、ぴったりとおなかにくっついて、ほこりや雨が入らないようになっています。
こんな気持ちのいい袋ですから、カンガルーの赤ちゃんは、ずいぶん長い間袋の中で過ごします。袋は伸び縮みするので、大きくなった赤ちゃんが入っても破れたりはしません。生まれて半年ぐらいたつと、ときどき外に出てとびはねる練習をしますが、何かにびっくりすると、大あわてで袋に戻ってきます。赤ちゃんがやっと袋を卒業するのは、生まれて一年ぐらいたってからです。
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カンガルーにとってのお母さんは、まさに「おふくろさん」なのです。
言葉の森長文作成委員会(κ)
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読解マラソン集 4番 脳は大食漢 e3
脳は、人間の体の中で最もエネルギーを必要とする器官です。脳の重さは、体全体の重さのおよそ二パーセントを占めると言われています。たとえば、体重が五十キログラムの人間の脳の重さは、一キログラムになるというわけです。それほどの重さを占めているわけではありませんが、この脳は大変な食いしん坊です。人間が必要とする全エネルギーのうち、二十パーセントもが脳に使われています。しかも、ただの大食漢ではありません。なかなかのグルメなのです。どうしてかというと、脳がエネルギー源として取り込むのは、ブドウ糖だけだからです。また、脳は余分なエネルギーを蓄えておくことができないので、絶えずブドウ糖を補給し続ける必要があります。
ご飯やパンなどの穀類、ジャガイモやサツマイモなどのイモ類など、炭水化物と呼ばれるものはブドウ糖のもとになります。体を動かすためや成長のためだけでなく、脳の働きを活発にするためにも、きちんと食事を取ることは大切だと言えます。眠りから覚め、栄養不足の脳にとって、とりわけ朝食は最高のご馳走です。
こんな実験結果があります。ラットを迷路に放り込むと、まず一目散に走り出します。しかし、人間のように高度な知能を持たないラットのことですから、すぐに道に迷い、あがき始めます。あがいているラットの脳内は、どんな状態になっているのでしょう。脳の中には様々な働きをする場所があり、それぞれが自分の役目を果たすために働いています。迷路は空間を認識する能力を必要とします。迷路に入れられたラットの脳内の空間記憶を司る部分のブドウ糖の値は、通常よりも大きく落ち込んでいたそうです。それだけ脳がエネルギーを使ったということになります。注射によってブドウ糖を補給してあげたところ、迷路抜けの成績が上がったという結果も得られました。疲れきった脳が、ブドウ糖というエネルギーを補給したおかげで見事に元気を取り戻したのです。
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歩く、走るという大きな動作を伴う体の動きと比べてみると、脳の仕事は、はっきりとは目に見えません。ですから、そんなにも多くのエネルギーを必要とするとは想像できないでしょう。しかし、多くのエネルギーが必要だということは、それだけ重要な働きをしているからにほかなりません。脳は大変な働き者です。私たちが眠っているあいだでさえひとときも休まずに働き続けます。脳の中は、神経細胞がぎっしりとつまっていて、体のすみずみまで命令を出しています。心臓の動きや呼吸でさえ、脳が命令を出しているおかげで一時も休まずに続けられているのです。
「Oh! No.(オー、ノー)少し休みたいよ。」
そう思うこともあるかも知れません。それでも、脳は働き続けます。
言葉の森長文作成委員会(ω)
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問題
e-01-4 問題1
問1 読解マラソン集1番の「シーソーのひみつ」という長文を読んで、次の問いに答えなさい。
シーソに重い人と軽い人が乗るとき、どちらの人が板の前の方にすわるとバランスがとれるでしょう。
1 重い人 2 軽い人
解答1
e-01-4 問題2
問2 読解マラソン集1番の「シーソーのひみつ」という長文を読んで、次の問いに答えなさい。
本文の内容に合うものはどれでしょう。
1 長い棒と大きな石があれば、重い岩でも軽く動かすことができる。 2 てこの原理にあてはめると、棒はシーソーの板にあたる。
解答2
e-01-4 問題3
問3 読解マラソン集2番の「ペンギン」という長文を読んで、次の問いに答えなさい。
空を飛ぶことのできる鳥とできない鳥のちがいは、どこにあるでしょう。
1 足と羽 2 骨と羽
解答3
e-01-4 問題4
問4 読解マラソン集2番の「ペンギン」という長文を読んで、次の問いに答えなさい。
本文の内容に合わないものはどれでしょう。
1 ペンギンは、魚のようなスピードで泳ぐことができる。
2 ダチョウには竜骨突起がない。
3 ペンギンの羽根は、根元がまっすぐになっている。
4 ペンギンは、羽毛がはえかわる季節は、海に入ることができない。
解答4
e-01-4 問題5
問5 読解マラソン集3番の「カンガルーの袋」という長文を読んで、次の問いに答えなさい。
本文の内容に合うものはどれでしょう。
1 カンガルーのしっぽは、前足だけで立つときにバランスをとる役目もしている。
2 カンガルーの生まれたての赤ちゃんは、マッチ棒の先ぐらいの大きさしかない。
3 カンガルーの赤ちゃんは、お母さんのおなかにある袋の外で生まれる。
4 カンガルーのお母さんにある袋の内側は、毛が生えていて温かい。
解答5
e-01-4 問題6
問6 読解マラソン集3番の「カンガルーの袋」という長文を読んで、次の問いに答えなさい。
本文の内容に合わないものはどれでしょう。
1 カンガルーのお母さんは、おなかの袋をなめて清潔にする。
2 カンガルーのお母さんのおなかにある袋の入り口は、ファスナーのように閉じることもできる。
3 カンガルーのお母さんのおなかにある袋は、ほこりや雨が入らないように工夫されている。
4 カンガルーのお母さんのおなかにある袋は、伸び縮みする。
解答6
e-01-4 問題7
問7 読解マラソン集4番の「脳は大食漢」という長文を読んで、次の問いに答えなさい。
本文の内容に合わないものはどれでしょう。
1 人間が必要とする全エネルギーの二十パーセントが脳に使われている。
2 脳のエネルギー源は、ブドウ糖がほとんどである。
3 脳は、私たちが眠っているあいだも働き続けている。
4 心臓が絶えず動いているのも脳が命令を出しているからである。
解答7
e-01-4 問題8
問8 読解マラソン集4番の「脳は大食漢」という長文を読んで、次の問いに答えなさい。
脳の中にぎっしりつまっているのは何の細胞でしょうか。
1 神経 2 ブドウ糖
解答8