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暗唱長文 5級 の1  雨ニモマケズ/小諸なる古城のほとり

あめニモマケズ
かぜニモマケズ
ゆきニモなつあつサニモマケヌ
丈夫じょうぶナカラダヲモチ
よくハナク
けっシテいかラズ
イツモシヅカニワラッテ
一日いちにち玄米げんまい四合よんごう
味噌みそすこシノ野菜やさいヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原のはらまつはやしかげ
ちいサナかやブキノ小屋こや
ひがし病気びょうきノコドモアレバ
ッテ看病かんびょうシテヤリ
西にしニツカレタははアレバ
ッテソノいねたば負ヒおい
みなみウナ人アレバ
ッテコガラナクテモイトイ
きたニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイ
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
ウイモノニ
ワタシハナリタイ
(「あめニモマケズ」 宮沢みやざわ賢治けんじ
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小諸こもろなる古城こじょうのほとり くもしろ遊子ゆうし悲しむかな  
みどりなすはこべは萌えも ず 若草わかくさくによしなし
しろがねのふすま岡辺おかべ 溶けと 淡雪あわゆき流るなが 

あたかきひかりはあれど つるかおり知らし 
浅くあさ のみはる霞みかす て むぎいろわづかにあお
旅人たびびとむれはいくつか 畠中はたなかみち急ぎいそ 

くれ行けゆ 浅間あさまえず うた哀しかな 佐久さく草笛くさぶえ
千曲川ちくまがわいざよなみの きし近きちか 宿やどにのぼりつ
濁りにご ざけ濁れにご みて 草枕くさまくらしばし慰むなぐさ 
(「小諸こもろなる古城こじょうのほとり」 島崎しまざき藤村とうそん


昨日きのうまたかくてありけり 今日きょうもまたかくてありな
このいのちなにを齷齪あくせく 明日あすをのみおもわづら

いくたびか栄枯えいこゆめの 消え残るき のこ たにくだりて
かわなみのいざよれば すなまじりみず巻きま 帰るかえ 

嗚呼ああ古城こじょうなにをか語りかた  きしなみなにをか答ふこたう
いに静かしず おも 百年ももとせもきののごとし

千曲川ちくまがわやなぎかすみて はる浅くあさ 流れなが たり
たゞただひとりいわをめぐりて このきしうれい繋ぐつな 
(「千曲川ちくまがわ旅情りょじょううた」 島崎しまざき藤村とうそん
 
暗唱長文 5級 の2  漢詩/大学

春眠しゅんみんあかつき覚えおぼ 
処処しょしょていちょう聞くき 
夜来やらい風雨ふううこえ
花落はなおつること知るし 多少たしょう
(「春暁しゅんぎょう」 孟浩然もうこうねん

くに破れやぶ 山河さんが在りあ  
しろはるにして草木そうもく深しふか  
とき感じかん てははなにもなみだそそぎ 
別れわか 恨んうら ではとりにもこころ驚かすおどろ   
烽火ほうか三月さんげつ連なりつら   
しょ万金ばんきんあたる 
白頭はくとう掻けか 更にさら 短くみじか  
すべしんに ざらんとほっす 
(「しゅんぼう」 

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 もの本末ほんまつあり、こと終始しゅうしあり。先後せんこうするところれば、すなわみちちかし。 

 いにしえ明徳めいとく天下てんかあきらかにせんとほっするものは、ずそのくにおさむ。そのくにおさめんとほっするものは、ずそのいえととのう。そのいえととのえんとほっするものは、ずそのおさむ。そのおさめんとほっするものは、ずそのこころただしくす。そのこころただしくせんとほっするものは、ずそのまことにす。そのまことにせんとほっするものは、ずそのいたす。いたすはものいたるにり。 

 ものいたってのちいたる。知至ちいたってのちまことなり。まことにしてのちこころただし。こころただしくしてのちおさまる。おさまってのち家斉いえととのう。家斉いえととのいてのちくにおさまる。くにおさまってのち天下てんかたいらかなり。 

 天子てんしよりもって庶人しょにんいたるまで、壱是いっしみな修身しゅうしんをもってもとす。そのもとみだれてすえおさまるものあらず。そのあつうするところものうすうして、そのうすうするところものあつきは、いまだこれらざるなり。
(「大学だいがく」)
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暗唱長文 5級 の3  春はあけぼの/学問のすすめ

 はるはあけぼの。やうやうよ よ 白くしろ なりゆく、やまぎは わ少しすこ あかりて、むらさきだちたるくも細くほそ たなびきたる。

 なつよるつきのころはさらなり。やみもな、ほたるの多くおお 飛びと ちがたる。また、ただひとふたつなど、ほのかにうち光りひか くもかし。あめなど降るふ かし。

 あき夕暮ゆうぐれ夕日ゆうひのさして山の端やま はいとちこうなりたるに、からすどころへ行くい とて、つ、ふたつなど飛びと いそぐされなり。まいてかりなどのつらねたるが、いと小さくちい  ゆるはいとかし。入りい はてて、風の音かぜ おとむしなど、はたいべきにあらず。

 ふゆはつとめて。ゆき降りふ たるはいべきにもあらず。しものいとしろきも、またさらでも、いと寒きさむ に、などいそぎおこして、すみもてわたるもいとつきづきし。ひるになりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶ひおけ白きしろ はいがちになりてわろし。
(「枕草子まくらのそうし」 清少納言せいしょうなごん

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 てんひとうえひとつくらずひとしたひとつくらず」とえり。さればてんよりひとしょうずるには、万人ばんにん万人ばんにんみなおなくらいにして、まれながら貴賤上下きせんじょうげ差別さべつなく、万物ばんぶつれいたるこころとのはたらきをもって天地てんちあいだにあるよろずのものり、もって衣食住いしょくじゅうようたっし、自由自在じゆうじざいたがいにひとさまたげをなさずしておのおの安楽あんらくにこのわたらしめたもうの趣意しゅいなり。されどもいまひろくこの人間世界にんげんせかい見渡みわたすに、かしこきひとあり、おろかなるひとあり、まずしきもあり、めるもあり、貴人きじんもあり、下人げにんもありて、その有様ありさまくもどろとの相違そういあるにたるはなんぞや。その次第しだいはなはだあきらかなり。『実語教じつごきょう』に、「ひとまなばざればなし、なきもの愚人ぐじんなり」とあり。されば賢人けんじん愚人ぐじんとのべつまなぶとまなばざるとによりてできるものなり。
(「学問がくもんノススメ」 福沢諭吉ふくざわゆきち
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●暗唱の手順 1日分

・1日目は、まず、の文章を30回音読します。最初の数回はゆっくり正確に「てにをは」などを間違えないように読みます。
 正確に読めるようになったら、ある程度早口で棒読みで、句読点などであまり息継ぎをせずに読んでいきます。
 イスにきちんと座って読むと読みにくい場合は、歩き回りながら読んでもかまいません。
 お母さんやお父さんは、読み方の注意などは一切せずにただ優しく褒めるだけにしてください。
 15回ぐらいでもう空で言えるようになることが多いと思いますが、できるだけ30回続けて読んでください。
 なぜ回数を決めて繰り返すかというと、「覚えられたらよい」という目標でやっていると、暗唱の教材が難しくなったときに、「難しいからできなくなった」ということになりがちだからです。「決まった回数を繰り返す」という目標でやっていると、難しい教材になっても同じように暗唱ができます。
 30回音読しても暗唱できない場合は、もう10回音読してください。
 これでそのの文章が暗唱できるようになります。
 それでもできない場合は、暗唱の自習はいったん終了してかまいません。また機会を見てやっていきましょう。

●暗唱が難しいときは

 暗唱のような短い時間の学習は、夕方にやろうとすると忘れてしまうことがあります。また、毎日同じようにやらないとできるようになりません。できるだけ、朝ご飯の前などに、家族のいる中でやるようにしましょう。
 そして、暗唱を毎日やるのが難しい場合は、暗唱の自習はせずに、読書の方に力を入れていってください。

●暗唱の手順 1週間分

・1日目に、の文章を暗唱できるようにします。
・2日目は、の文章だけを同じように30回音読し、暗唱できるようにしておきます。
・3日目は、の文章だけを同じように30回音読し、暗唱できるようにしておきます。
・4日めは、の全部通して、10回音読します。すぐに暗唱できなくてもかまいません。
・5日めも同じように、の全部通して、10回音読します。
・6日めも同じように、の全部通して、10回音読します。
・7日めも同じように、の全部通して、10回音読します。すると、からの全部の文章が暗唱できるようになります。

●暗唱の手順 1か月分

・1週目に、からの文章を暗唱できるようにします。
・2週目は、もうからはやらずに、今度はからの文章を暗唱します。
・3週目は、同じように、からの文章を暗唱します。
・4週目は、からの文章を全部通して、毎日4回ずつ音読します。
・すると、1か月でからの文章が暗唱できるようになります。