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題名 子供との対話 82
名前 森川林
時刻 2005-09-06 04:32:57
 3年前、上の子が大学生になり、下の子が高校生になりました。
 いずれも家から2時間以上もかかる学校になってしまったので、子供たちは、学校の近くにマンションを借りてそこから通うようになりました。その結果、しばらく子供と離れて暮らす日が続きました。
 私も自分が大学生になったとき、親元から離れて学生寮に入り自由を満喫した思い出があるので、子供が親から離れるのはいいことだと考えていました。しかし、家の近くから出る電車のダイヤが改正になり、自宅から通うことがそれほど大変ではなくなったので、最近また子供と一緒に生活することになりました。
 しかし、一緒に暮らすのもあと1、2年です。せっかく、一緒にいるのだから、話をする時間を作ろうと思い、毎週水木金の3日の夜を話し合いの時間としました。
 親の世代の考えは古いとは言っても、それだけ年季があります。親が若かったときにした試行錯誤を子供に伝えることは、たぶんプラスになるだろうと思いました。そこで、テーマは、「親は過去を語る。子供は未来を語る」です。これなら話のネタに困ることはありません(笑)。もちろん、親の過去の話に、子供が対等に話を合わせられるわけがありません。だから、話し合いというよりも、お互いに相手の言うことを聞いているだけでいいというルールです。
 1回1回の時間は短くてもいいので、なるべく回数を多くするようにしました。話し合いというのは、質よりも量です。なぜかというと、話し合いには必ず行き違いがあるからです。話が噛みあわなくて、口げんかのようになったときも、翌日にすぐ話をする機会があれば解消は簡単です。それが1週間後に続きを話すとなると、その1週間誤解を引きずったまま暮らさなければなりません。すぐに顔を合わせられる親子という関係の長所はここにあります。
 私の母は、よく、「こんなことは、親だから言えるんだよ」と言いながら、言いにくいことをたくさん言ってくれました。中身は、ほとんど忘れてしまいましたが。(^^ゞ 頻繁に話せることと、多少の行き違いはご破算にできるというのが親子の長所です。これが他人だと、行き違いがそのまま決定的な仲たがいになってしまうこともあるからです。
 ときどき、生徒のお母さんから、「親の言うことは聞かないので、先生から『もっと本を読むように』と言ってください」などと頼まれることがありますが、私の答えはいつもこうです。「親のできないことを、他人ができるわけがありません」。親は、どんなことでも、決死の覚悟で言うことができます。他人には、そういうことはできません。
 また、親は子供のことをいちばんよく知っています。これもよく、生徒のお母さんから、「先生に『ここが悪い』と言われた」「医者にLD(学習障害)だと言われた」「テストの成績が悪かった」などと相談を受けることがあります。私の答えはこうです。「親が見て問題があれば問題がありますが、そうでないなら他人の評価を気にすることはありません」。テストの成績などは特にそうです。実は、点数に一喜一憂するお母さんは驚くほど多いです。ほとんどすべての人ではないかと思うくらいです。親は、点数ではなく、テストの中身に目を向けなければなりません。
 私のうちの子供も、小中学生のころ、ときどきひどい点数を取ってきたことがあります。また、先生にひどく叱られたようなこともあります。そういうとき、子供はやはりしょげて帰ってきます。しかし、ほとんどの場合、私は、テストの中身を見て、「点数は悪いけど、できているからいいよ」と言うか、子供の話を聞いて、「それは先生が間違っているんだからいいよ」と言うかしてきました。子供のことは、親がいちばんよくわかっています。他人の評価を気にする必要はありません。
 さて、親子の話し合いをするようにしたのには、もう一つ目的があります。それは、親子で話をするような家庭の文化を作るということです。子供のときに経験したことは、大人になっても自然にできるようになります。今、私が、大学生と高校生になった子供と話をすることを続けていけば、たぶん子供たちが親になったときにも同じように、その子供たちと話を続けやすくなると思います。
 日本人は、敗戦によって文化の大きな断絶を被りました。私の父母は、祖父母から躾や生き方に関する多くの家庭教育を受けたはずですが、私は、父母からはそういう教育をほとんど受けませんでした。当時は世相も混乱していたので家庭教育どころではなかったという事情もありますが、やはりそこには、家庭教育排除の政策がマスメディアを動員して行われていたという歴史的な背景があったと思います。
 子供が親に反発したり自己主張したりするのはもちろんよいことですが、今の社会の風潮には、親を軽視するのが格好いいと思わせるようなものがあります。私は、もし子供が親に、「うるせえなあ」などと言おうものなら、もちろんその場でぶっとばします(笑)。これは、子供の方が体力的に強くなろうとどうなろうと、親が子供に対して果たさなければならない責任のようなものだと思います。
 先日、高校3年生の子供が、友達を5人ほど連れてきて泊まったことがあります。みんな、明るく礼儀正しい、いい子たちばかりでした。しかし、私は、みんなの名前も知りませんし、話をしたこともありません。そこで、みんなが遊んでいる途中に、「じゃあ、それぞれ自己紹介でもしようか」と声をかけました。ところが、驚いたことに、みんな迷惑そうな顔をして遊び続けるだけで生返事しかしないのです(笑)。たぶん、泊まった家の人からそういうことを言われるのは初めてだったのでしょう。更に、わが家のほかの家族も迷惑そうな顔をしています。しかし、全員が反対する中で敢えて実行するのが父親です。無理矢理みんなを席につかせ、順に自己紹介をしました。もともと素直な子供たちなので、どの子もしっかり話をしました。
 人間が、だれかの家に行って、食事をして遊んで泊まって帰るというときに、その家の家族と話もしないし名前も知らないというのでは、犬や猫の集まりと同じです。ところが、そういう文化が今の日本にはないのです。文化の不在に比例して、人間は動物に近づいていきます。
 現代の親は、伝承すべき家庭の文化がなくなった中で子供の教育をしなければならない初めての世代です。だからこそ、自分の力で家庭の文化を作るつもりで子供たちの教育に取り組まなければならないのです。文化という視点がなければ、結局、成績や学歴でしか子供を育てることができません。そのように育った子供たちはやがて同じように、収入や肩書きでしか人を見られなくなるでしょう。
 日本の社会をよくする一歩は、おおげさなようですが、家庭の中から生まれるのだと思います。
 
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