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題名 教育の力(2) 78
名前 森川林
時刻 2005-08-18 19:41:53
 教育の大きな役割は、人類の破壊性の克服と創造性の開発にあります。
 創造とは、無から有を作り出すことです。
 もし人類がもっと完全であったら、つまり神のような存在に近かったら、創造性もまた枯渇していたでしょう。満ち足りたものには、創造への意欲もまた欠けているからです。神の定義を万物の創造主のように言う人がいますが、その創造は過去形のものです。確かに神は万物を創造したかもしれません。しかし、今、神様は昼寝をしています。(笑)なぜかというと、神様はもう完全になってしまったので、創造する気が起きないからです。
 人間は違います。まだどこもかしこも不完全なので、生きることと創造することが不可分なのです。
 人間の不完全さの典型は、科学と言語に見られます。人間は、内燃機関を発明し、揚力を計算し、工業技術を駆使してやっと飛行機を作りました。神はそんな発明など一つも必要とせず、最初から空を飛んでいます(見たことはありませんが)。人間が発明したエンジンは、排気ガスや騒音や事故をもたらします。神は最初からそんな心配はしていません。どちらが完全でどちらが不完全かは一目瞭然です。しかし、どちらが創造的でしょうか。間違いなく不完全な人間の科学の方が創造的なのです。
 言語も同様です。人間は何万言もの言葉を費やし、しかも誤解し合って生きています。神は、一言の言葉も使わずに心と心を通い合わせて完璧なコミュニケーションを実現します(したことはありませんが)。どちらが完全でどちらが不完全かはすぐにわかります。しかし、これもどちらが創造的でしょうか。絶えず誤解を生み出しながら、絶えず新しい理解に達しようと試みる人間の方がはるかに創造的だと私は思います。
 よく人間が神のように愛に満ちた存在になることが未来の理想だと説く人がいます。それは一つの魅力的な選択肢です。しかし、人間が今の不完全さゆえの創造性を失うことと引き換えに愛に満ちた存在になるのだとしたら、そのような世界はあまり楽しいものではないでしょう。その愛は、一種の麻薬のようなものです。みんなが穏やかに惰眠をむさぼるような平和と愛が、人間の目指す未来だとは到底思えません。
 人間的な愛は、創造と両立するものです。だから、その愛には怒りも含まれています。しかし、その怒りを他人にぶつけるのではなく、世界の矛盾に向けて発揮するところが単なる動物的なの怒りとは違うところです。
 神の説く愛は、創造とは両立しません。多くの人が創造だと思っているものの本質は、実はカンニングです。もっと穏やかに言えば、既にあるあっちのものをこっちに移しただけの操作を、ほとんどの人は創造だと勘違いしています。だから、神の世界には矛盾もないかわりに進歩もありません(行ったことはありませんが)。
 人間的な創造と人間的な愛を支える大きな方法が言語、特に文字言語です。文字言語のない社会に暮らしていたところの人間は今よりももっと善良でした。それは、文字言語を持たない民族の文化を見るとわかります。文字がないころの言語は、人間の実体と言語が深く結びついていたので、嘘ということ自体が不可能に近いものでした。例えば、悲しい顔をしながら「うれしい」と言うことが難しいのと同様です。嘘が可能になったのは、人間の実体と言語が分離される文字言語が登場してからです。紙に書いた「うれしい」という文字は、書いた人が悲しいときもその文字のまま残ります。これが嘘の始まりです。実体に反する概念が独自に存在を主張するようになったのです。
 Y=aX+bなどという数式も広義の言語です。数式を持たないころの人類は、例えば、「2/3を1/2で割る」というような簡単なこともできませんでした。「3分の2」や「2分の1」は常にリンゴやミカンなどの物と結びついており、「割る」は常に自分自身の動作と結びついていたからです。実体や動作から概念を分離させ、概念だけを操作するようにできて初めて数学が可能になったのです。しかし、数学の場合は、概念相互に論理的な結びつきがあるので、嘘を単独で発展させていくことはできませんでした。
 これに対して、文字言語はもっと自由でした。それは、どのように荒唐無稽な概念の操作も、少なくとも形の上だけでは自由にできました。実体から遊離した概念は、嘘が可能であるとともに創造も可能でした。フランス革命の当時、「人は生まれながらに平等である」という人権の概念は、ほとんど実体のないものでした。しかし、その実体を伴わない概念が、実体に変更を迫る力を持ったのです。嘘と創造は紙一重だったと言ってよいでしょう。創造を単なる嘘から分けたものは、そこに実行への努力と愛があったということです。
 私たちが文章を書く原点もそこにあります。私たちは、愛と実行に向かって文章を書くのです。それが言語による創造です。その実践はまだ始まっていません。私たちが未来の教育の最も大きな柱の一つとしてこれから作っていくものなのです。
 
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