題名 | 国語の勉強法(その2) 62 |
名前 | 森川林 |
時刻 | 2005-04-04 14:41:19 |
……国語の力をつけるための第二の重要なアドバイスは、次回に。(つづく)
3.3週号の続きです。 第二のアドバイスは、点数に一喜一憂するのではなく、実際にお母さんやお父さんが子供と一緒に、できなかった問題を解いてみるということです。これは、小学生のうちだけでなく、中学生や高校生になっても有効です。 しかし、その場合、問題は、模擬試験や過去の入学試験のようにじっくり練られたものであることが必要です。模試や入試の問題は、受験生の実力を見るために時間をかけて作成されています。そのため、理詰めで考えて解いていくことができるのです。 子供と一緒に問題を解いてみると、意外なことがわかると思います。よくあるいくつかの例を挙げてみましょう。 小学生で多いケースは、問題文を読むスピードが遅いので、あてずっぽうで答えて×になるという例です。時間をかけて考えればできるのに、試験ではできないというのは、大抵このケースです。これは、実は思ったよりも重大な国語力不足で、短期間で成績を上げることはできません。読むための基礎的なが不足しているからです。速読力は、読書量に比例しています。小学校中学年のころまでに、好きな本をたっぷり読んだ子は、自然に速読力がついています。しかし、この場合の読書は、学習漫画や図鑑のように文の長さが短いものではあってはなりません。学習漫画は決して悪いものではなく、歴史の漫画などは、全体像を把握し、歴史に親しみを持つことには大いに役立ちます。しかし、漫画の吹き出しのような文章ばかりを読んでいると、長い文章を読む力が低下してしまうのです。小学校中学年までは、勉強する時間よりも読書をする時間を優先するぐらいの方が、高学年になってから本当の実力がついてきます。 しかし、読む力が遅いということが問題になるのは、小学校の高学年のころまでです。その後、中学、高校と年齢が上がるにつれて、読むスピードは自然に上がってきます。それは、単純に、年齢に応じて読む量が増えていくからです。どんなに本を読まない子でも、学校の授業で教科書を読む時間は必ずあります。それが歴史の教科書や生物の教科書であっても、学校生活で活字を読まないということはまずありません。読む量が増えれば、読むスピードは自然に速くなっていきます。 したがって、速読力のない子の場合は、受験が間近であっても、読む練習をすることから国語の勉強を始めなければなりません。読む勉強をするときの最も手っ取り早い教材は国語の問題集です。しかし、問題集には読書に没頭するような面白さがありません。受験が終わったら、国語の勉強も一段落とするのではなく、今度は本当に読書をする習慣をつけていきましょう。この読む力がないままに、いくら国語の問題を解いたり解説を聞いたりしても力はつきません。 第二のケースは、逆に、読む力のある子に見られる例です。問題に対する答えを、文章全体から考えて自分の体験に照らし合わせながら答えてしまうのです。例えば、「このとき、浦島太郎がカメを助けた気持ちはどんなだったでしょう」などという問題で、その問題文の前後の文脈から答えを探すのではなく、自分の体験から想像して答えてしまうのです。「そういえば、この前、ミドリガメを買ったときは、こんな気持ちだったなあ」という答え方です。 国語の問題の答えは、設問で指示されている部分の前後5行ぐらいの中にあるのがほとんどです。普通の易しい問題では前の5行の中に、やや難しい問題では後の5行の中に答えが隠されています。もし、それ以外のところに答えが隠されているようならば、それは悪問です。できなくても仕方がないと考えておくとよいでしょう。 読む力があるのに×が多いという子には、「答えは文中にある」ということを教えてあげると、それだけで成績が大きく変わることがあります。 第三のケースは、中学生などによく見られます。自分の知らない難しい言葉があると、それを正解に選んでしまうというケースです。このこと自体はそれほど大きく点数に響くものではありませんが、こういう答え方をするその発想に実は大きな問題があります。 テストというものは、いい点数を取るためにあるのではありません。もちろん、入試のようにいい点数を取って合格することが目的になるテストもあります。しかし、ほとんどのテストは、自分の実力を評価し、その後の勉強に生かすためにあるのです。それが学校の定期試験でも塾の席順を決める試験でも同じです。ですから、わからない問題があったときに、勘で答えて○になってしまうと、その問題ができなかったことがわからなくなってしまいます。つまり、点数はよくなっても実力は変わらないか、かえって下がるのです。 子供はどうしても目先の点数だけに目が行きます。人生経験の長い大人は、長期的な視野を持って、わからない問題は、適当に答えを入れるのではなく、わからないままに残しておくことが大切なのだと教えてあげてください。 さて、最も重要な間違いのケースは、合っていそうな答えを選んで×になる例です。国語の問題の答え方は、合っていそうなものを選ぶのではなく、必ずしも合っていそうでないものを選ばないというやり方です。これを消去法と言います。 もし、国語の答えが、合っていそうなものを選ぶだけで作られるとしたら、学年が上がるにつれて問題作成はどんどん困難になります。高校3年生の生徒に、普通の日本語の文章を読ませて、そこから正解を問うような選択式の読解問題を作るのは至難の技です。そのために、国語の問題は、問題文自体を難解な悪文にしたり、読む量を増やしたり、これから説明する消去法で解くような歪んだ方向に向かってしまうのです。この歪んだ国語問題をなくすには、選択問題を減らし、記述問題、特に小論文を増やすことが必要です。 さて、次回は、消去法で答える例を、実際の大学入試センター試験から取り上げてみましょう。(またつづく) |