題名 | 国語の勉強法 61 |
名前 | 森川林 |
時刻 | 2005-03-11 10:48:55 |
「国語の力をつけるためにはどうすればいいのですか」という質問をよく受けます。
私は、これまでずっと、そういうことは国語の専門の塾で対応しているのだと思っていました。しかし、いろいろな人の話を聞くと、国語専門の学習塾というのはないようです。 また、これは、学習塾関係者の話ですが、英語や数学は成績を上げることができるが、国語は成績を上げることができない。せいぜい、漢字の力をつけるぐらいだが、塾という看板の手前、国語も一応教えることにしているということでした。 国語の力をつけることは、実は難しくありません。しかし、学習塾などで授業として行うような形の勉強には向いていません。国語は主として家庭学習の中で力をつけていくものです。言葉の森も、国語の勉強を直接教えるわけではありません。しかし、勉強の方向は自習という形でアドバイスをしています。このアドバイスを実行した子は確実に力がついてきます。 これまで聞いた話では、小6のときに教科の中でいちばん苦手だった国語が、中学3年生になるころにはいちばんの得意科目になっていたという生徒がいます。また、どうしても国語の成績が伸びなかった小6の生徒が、アドバイスのとおりに勉強をすると、受験の後半で国語の成績だけが伸びたという話がありました。また、高校生で国語の成績がいちばん悪かった生徒がアドバイスのとおりに勉強をしたら、一挙にトップクラスの成績になったという話がありました。もともと国語の好きだった高校3年生の生徒は、大学入試でも国語だけは常にほぼ満点近い成績を取れるので、勉強全体に余裕がありました。 では、それはどういうアドバイスかというと、まず第一は、難しい文章を繰り返し読むことです。 この反対の勉強法が、易しい文章を読むこと、問題を解くこと、です。 ついでに言うと、最も悪い勉強法が、易しい文章を繰り返し読むことです。その典型的な例が漫画やテレビを繰り返し読んだり見たりとです。(笑)漫画やテレビそのものが悪いのではありません。よくないのは、それを繰り返し読んだり見たりすることで、その一方で漫画やテレビ以外にまともに読んでいるものがないことです。 難しい文章を繰り返し読む際の教材でいちばんよいものが、過去の入試問題です。学習塾によっては、過去問を受験直前にやって実力の判定に使うというところがあります。受験生や親自身も、過去問はそういう使い方をするものだと勘違いしている人がかなりいます。しかし、それは過去問のいちばんもったいない使い方です。過去問は受験勉強のスタートのときから、勉強の中心の教材として使うものです。特に、国語という教科は学年の差がないので、いつからでも使うことができます。 市販の問題集よりも過去問の方がいいのは、作られている問題の質が違うからです。国語の問題は、解釈によって正解と不正解の幅があります。だから、入試問題の場合は正解が一つに限定されるように、細部まで緻密に作られます。その結果、理詰めで考えることのできる問題が多くなるのです。 問題という形式を見ると、すぐに問題を解こうとする人がいます。しかし、国語の問題はいくら解いても力はつきません。解けた問題は、やらなくても解けていたはずの問題ですし、解けなかった問題は、たとえ答えを見ても、次回からそれで解けるようにはなりません。国語の問題は、解けても解けなくても、どちらも実力にはならないのです。しかも、問題を解くというのは、もっと大きなマイナスがあります。それは、一つは時間がかかりすぎることです。もう一つは、結局1冊の問題集を1回しかやらないという結果になることです。更に、問題を解く形の勉強は、構える勉強になるので、気軽に続けられないというマイナスもあります。 問題を1ページ解いている時間があったら、同じ問題集の問題文だけを5ページから10ページは読めるはずです。したがって、1冊の問題集を全部解いている時間があったら、同じ問題集の問題文だけを5回から10回は繰り返し読めるはずです。それも、電車の中でもベッドの中でも、どこでもできる気軽な勉強として続けられるのです。 子供が小学生のころは、読むだけの勉強というスタイルは、親が見ていて不安になるようで、つい問題を出したり、わからない言葉を調べさせたりする勉強を追加したくなるようです。しかし、こういう一見勉強的なやり方は、多くの場合、マイナスにしかなりません。その理由は、面倒で複雑なことをすると気軽に長続きする勉強にはならなくなるからです。同じ文章を何度も読んでいると、子供自身から、わからない言葉や意味について自然に質問をしてきます。そのときに、親が辞書がわりに簡単に答えてあげればいいのです。辞書で調べる勉強は、調べる勉強として独自にやるものです。読む勉強と調べる勉強を一緒に行おうとすれば、どちらも中途半端になるだけです。 国語の力をつけるための第二の重要なアドバイスは、模試を分析することです。(つづく) |