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題名 桃太郎 152
名前 森川林
時刻 2007-05-16 06:04:06
【元の本】(約1200字)
 昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。そこは緑の山と青い川に囲まれた美しい村でしたが、同時にとても貧しい村でした。毎年のように鬼が作物を取っていくので、いつまでも貧しさから抜け出せなかったのです。
 ある日、いつものように、おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯にいきました。
 おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が、ドンブラコッコ、ドンブラコッコと流れてくるではありませんか。おばあさんは驚いて、その桃をすくうとすぐに家に持って帰りました。
 夕方、おじいさんが柴を背負って山から帰ってきました。そこで、おばあさんは桃を取り出して二つに切ろうとしました。ところが、突然桃がぽかっと割れて、中から玉のような男の子が出てきたのです。
 さあ、もう桃を食べるどころではありません。おじいさんとおばあさんは驚くとともにとても喜び、桃から生まれたその子を桃太郎と名づけました。
 おじいさんとおばあさんは、それから毎日、自分の食べる分を少なくして桃太郎にたくさん食べさせました。桃太郎は、一杯食べると一杯分、二杯食べると二杯分、ぐんぐん大きくなっていきました。
 桃太郎は、ただたくさん食べては寝るだけで何もしようとはしませんでしたが、ある日突然、むっくり起き上がり、こう言いました。
「おじいさん、おばあさん、キビ団子を作ってください。鬼が島へ鬼を退治に行ってきます」
 おじいさんとおばあさんは大いに驚きましたが、桃太郎に言われたとおり大きいキビ団子を三つ作りました。桃太郎は、そのキビ団子を持つと、鬼が島へ鬼を退治に出かけました。
 桃太郎が歩いていると、犬が一匹現れました。
「桃太郎さん、桃太郎さん、キビ団子を一つ下さい。私も、お供しましょう」
 桃太郎がキビ団子を分けると、犬は桃太郎についてきました。
 桃太郎と犬が歩いていると、今度は猿が一匹現れました。
「桃太郎さん、桃太郎さん、キビ団子を一つください。私も、お供しましょう」
 桃太郎がキビ団子を分けると、今度は猿も桃太郎についてきました。
 桃太郎と犬と猿が歩いていると、今度はキジが一羽現れました。
「桃太郎さん、桃太郎さん、キビ団子を一つ下さい。私も、お供しましょう」
 こうして、桃太郎と犬と猿とキジは鬼が島を目指して進んでいきました。
 さて、鬼が島に着くと、そこは鉄の門がしっかり閉まっています。しかし、キジは羽があるので軽々と門を飛び越えると、中から門を開け広げました。
 桃太郎と犬と猿とキジがどっと中に入ると、鬼たちがわらわらとかかってきました。犬は鬼に噛み付きました。猿は鬼を引っかきました。キジは鬼の目を突っつきました。桃太郎は鬼どもを次々と投げ飛ばした。とうとう鬼の大将は降参してこう言いました。
「どうか許してください。これからはもう悪いことはしません。ここにある宝物は全部お返しします」
 桃太郎は鬼たちを許してやると、宝物を持って意気揚々と村に帰りました。村人たちは大喜びで桃太郎たちを出迎え、それから村中でお祝いをしたのでした。めでたし、めでたし。

【解説1日目】
 さあ、みなさんのよく知っている「桃太郎」で、感想文を書く練習です。こんな幼稚な本で、本当に感想文が書けるかなあと思っているかもしれませんが、心配はいりません。感想文は、どんな本でも書けるのです。
 まず一日目は、この本の最初の方からどこか一ヶ所を選び、「本の引用→似た話→感想」という流れで感想文の1枚目をを書いていきます。

【感想文1日目】(約500字)
 おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃がドンブラコッコ、ドンブラコッコと流れてきました。
 ぼくは、一年生のころ、お父さんとお母さんと弟でキャンプに行きました。キャンプ場には、きれいな川があり、その川の近くでぼくたちはバーベキューをしました。食べたあとのお皿を洗うと、川の流れがすぐに汚れを運んでくれます。ぼくは、昔の人はこんなふうに川で洗濯をしたのかなあと思いました。
 しかし、今ではもちろん川で洗濯をする人はいません。それは電気洗濯機という便利なものができたからですが、それよりも、川で洗濯をしたら環境破壊になってしまうからだと思います。桃太郎のいたころの日本では、まだ洗剤などは発明されていなかったし人口も少なかったので、川で洗濯をしても何も問題はなかったのでしょう。
 さて、その川でのいちばんの思い出は、冷やしておいたスイカがいつの間にか流されてしまったことです。夜冷やしておいて、次の日に食べようと思っていたスイカが、朝起きてみるとありませんでした。一緒に冷やしておいたお父さんのビールはそのまま残っていたので、たぶん夜のうちに川に流れていってしまったのでしょう。
 ぼくは、ふと、桃太郎の生まれた桃も、上流でだれかが冷やしておいたのではないかという気がしてきました。

【解説2日目】
 一日目の感想文は、よく書けました。
 五年生以上の人は、学校の教科書も約半分が常体になっていますから、その常体に慣れるように書いていくといいでしょう。
 また、「お父さん」「お母さん」は、「父」「母」と書いた方が上級生らしくなります。
 もし入れられれば、途中に「たとえ」を入れてみましょう。たとえは、「まるで……よう」という形で書くと書きやすいでしょう。
 大人の感覚で考えてみると、キャンプでスイカを冷やした話というのは、桃太郎の主題にはあまり関係がないように見えると思います。しかし、主題に沿って似た話を見つけるというのは大人でもなかなかできません。ここはあまり深く考えずに、単純に似た話で書いていくと考えていってください。
 最後の感想がうまく書ければ、それまでの話もすべてうまく収まります。
 さて二日目は、この本の中間でどこか一ヶ所を選び、また「本の引用→似た話→感想」と書いていきます。

【感想文2日目】(約500字。常体に直して書いた)
 桃太郎は、一杯食べると一杯分、二杯食べると二杯分大きくなった。しかし、桃太郎はいつまでも食べては寝るだけで何もしようとしなかった。
 ぼくの小さかったころの話を、父と母に聞いたことがある。最初三千グラムぐらいで生まれたぼくは、一年たつころにはもうその三倍の十キログラム近くになっていたそうだ。ぼくの今の体重は三十五キログラムなので、生まれたときの約十倍になっている。そんなに大きくなるまで何杯ご飯を食べたかはわからないが、たぶん最初のころは桃太郎と同じようにぐんぐん大きくなっていったのだろう。
 母に聞くと、ぼくは小さいころ、自分から言葉をしゃべろうとせず、いつもにこにこ人の話を聞いているだけだったそうだ。母は、そのことを少し心配していたらしい。たぶん、そのときの母の気持ちは、この桃太郎がただ食べては寝るだけのときに、おじいさんやおばあさんが感じた気持ちと同じではなかったかという気がする。
 しかし、あるとき、急に僕はしゃべりだすようになり、それからはおしゃべりでみんなからうるさがられるぐらいになったらしい。父に聞くと、人間の成長というのは、そのように突然始まることがあるということだった。

【解説3日目】
 2日目もよく書けました。
 お父さんやお母さんに取材した話を入れたので、話題に広がりが出てきました。取材した内容には、正確なデータを入れておくと説得力が増します。その点で数字で正確に表そうとしたことはいいことです。
 お父さんやお母さんの話は、説明風に書いてもいいのですが、味のある会話があれば、その部分はその会話を直接書いてもいいでしょう。
 例えば、「父は、小さいときのぼくのことを、『何も言わずによく食べていたから、今考えると、もぐもぐ太郎という名前がよかったかなあ』と言った」などという書き方です。
 三日目は、この本の終わりの方から一ヶ所を選び、「本の引用→似た話→感想」と書いていきます。ただし、この最後の感想は、全体をまとめるような大きい感想になります。
 全体をまとめる感想とは、ひとことで言うと、「この本を読んで考えがこう変わった」「この本を読んでこんなことが分かった」「この本によって、人間は……だと思った」という書き方です。

【感想文3日目】(約380字)
 桃太郎は、犬や猿やキジたちと一緒に鬼と戦った。犬は噛み付き、猿は引っかき、キジは目を突っつき、桃太郎は鬼を投げ飛ばした。
 ぼくは、この戦いぶりを見て、ふとぼくたちのサッカーチームを思い出した。サッカーには、もちろん、噛み付きや引っかきはない。まして目を突っついたりしたらすぐに退場だ。しかし、足の速い次郎君、シュート力のある和田君、ピンチのときでもみんなを笑わせるケンちゃんなど、ぼくたちのチームは、それぞれの得意なところを生かす点で桃太郎のチームと似ているのではないかと思った。
 このことを父に話すと、父は、こんなことを言った。
「桃太郎がいなかったら、鬼には勝てなかったけど、桃太郎が四人いても、やはり鬼には勝てなかっただろうなあ」
 ぼくは最初、桃太郎だけが主人公で犬や猿やキジは脇役だと思っていたが、次第に全員がそれぞれの役割で主人公なのだと思うようになった。

【解説4日目】
 3日目の似た話は、「チームワーク」という大きい話題を取り入れています。最後に自分の考えが変わったことを書いているので、感想文全体のまとめとしてよく書けています。
 しかし、最後の感想は、もう少し長くしたいところです。大きく一般化した話をもう少し書き加えてみましょう。
 また、全体を通して、最初に書き出しの工夫を入れ、最後に書き出しの言葉に対応した言葉を入れると、全体のまとまりがよくなります。
 また、結びに、自分たちのこれからの行動に結びつけられることがあれば書いていきましょう。
 全体の構成を考えることや、結びに一般化した感想を入れることは、小学校の高学年ではまだ精神年齢的に難しいところがあります。お父さんやお母さんが、一般化した話でいくつかの候補を話してあげると、子供は自分の理解力の範囲でそれを自分なりに消化して書くことができます。つまり、何もないところから自分の力だけで一般化した感想を書くことはできないが、そういう感想を理解する力はあるというのが小学校高学年から中学生にかけての発達段階です。
 しかし、小学4年生以下では、まだこの理解力も育っていないのが普通です。したがって、4年生以下の子供が感想文を書く意義はあまりありません。むしろ、4年生以下のころは、ただ楽しくたくさんの本を読むということを重点にしていってください。

【感想文4日目】
(1日目の文章の書き出しに次の文を加え、1日目の文章全体を常体に直す)
 青い山と緑の川、桃太郎はこんな自然の豊かな村に生まれた。

(3日目の文章の結びに次の文章を加える)
 鬼を退治し、宝物を持って村に帰った桃太郎は、それからどうしただろうか。きっと、もう鬼の来ない平和な村で、豊かな自然に囲まれて楽しく過ごしたにちがいない。おばさんが洗濯をしているきれいな川の横で、犬や猿やキジと水遊びをしている桃太郎の姿が思い浮かぶ。
 いま、ぼくたちの街に、桃太郎が戦ったような鬼はいない。しかし、ぼくたちの街には、桃太郎が暮らしていた緑の山や青い川もない。もし、桃太郎がいまここにいたら、戦う相手は鬼ではなく、きれいな自然を取り戻すことになるかもしれない。そして、その桃太郎とは、たぶんぼくたちのことなのだ。
 
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