母は目くじらを立てて、 「テストは、分からないところを知るためなのに、それを無かったことにするだなんて、本末転倒です！」 とこてんぱに怒られた。 （72字）

　

　言い訳は、実際に責任転嫁に聞こえるだけで、何のききめもない。事実を認める一言がどうしてそんなに言いにくいのだろうか。それは、自分が悪かったという自己否定の言葉だからである。しかし、言いにくい言葉を正直に言えた人は
、人間の人実も開けて、ことばの響きもすがたもすっきりしてくるのである。
　私がこの文章を読んで、実に身につまされる内容に、深くうなずいてしまった。そして、こんなことを思い出した。学校のテストで悪い点数をとって隠していたら、母に見つかり怒られた。母は目くじらを立てて、
「テストは、分からないところを知るためなのに、それを無かったことにするだなんて、本末転倒です！」
とこてんぱに怒られた。その時思ったんだ。全部隠したり、嘘をついても見つかるのだから、意味が無いということを。
　他にもある。私のクラスメイトのＫ君は、とてもやんちゃでいつも先生に叱られている。ある日、他の男の子のズボンが無くなり大騒ぎで全員で探していた。そしたら、Ｋ君が間違って持っていて、
「ぼくが持っていました。ごめんなさい！」
と全員に謝ったのだ。そしたら、
「あいつ良い奴じゃん。」
と、みんなから信頼を得た。その時、私は思った。正直に言える勇気があれば、信頼を得たり見直されるということを。
　自分が本当は分かっているイヤな部分を、他人に指摘されると傷つくから、イヤなのだ。人は、自分の欠点や失敗を認めたくないので、まるで臭いものにふたをするように無かったことにするのかも知れない。でも、私はもう一歩踏み出して強くなろうと思った。そしたら、また世界が広がるということが分かったから。
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