けれど、母はぼくや妹のおかげで小さな生き物に興味をもち、いっしょに育てたり、本を読んだりして過ごすので、生き物のすごさを知ったという。 （67字）

　

　モグラについて、図鑑で調べてみた。モグラの体は、前足のみ特別に発達し、シャベルそっくりで、実にたくみにすばやくトンネルを掘ることができる。
　ぼくには、この話に出てくるモグラの「シャベル」に似た話を知っている。テレビを見ていたら、オリンピックで使われている水着は、サメの皮膚にならぶ極小のうろこを参考にして産みだされたものだった。その時、水泳をやっていてタイムを上げたいと思っていた。なので、母に新しい水着を買ってもらった。だが、そんなにタイムは変わらない。それで、母に聞くと、これは安い水着なのでサメ肌水着ではないと言われた。まさに目からウロコだった。ここでぼくは、サメ肌に触ると、皮膚が切れると聞いたことがあることを思い出した。それで、ぼくは魚公園でチョウザメに触ったのに痛くなかったことを不思議に思った。なので、母と一緒に調べてみると、サメではなくシーラカンスと同じ古代魚の一種で、サメという名が付いたのは、形がサメのようだったからだ。それに、ぼくはずっと水槽に手を入れていたので、
「チョウザメ～」
とガタガタふるえながら手を拭いた。ここで話は、いったん戻り、ぼくたちの身の回りには、多くのものに色々な生き物の能力が使われている。これを、バイオミメティクスという。たとえば、オナモミはマジックテープに、フクロウの羽は新幹線のパンタグラフに使われているのだ。
　母に、ぼくはバイオミメティクスで研究できそうなものはないか聞いた。すると母は、アリが匂いをつけていくと迷わないから、持ち運べる道がわかる小型装置はどうかと言った。だがその後、母はこんなアイディアは、もうとっくにアリそうだと寒いダジャレを言った。子供のころは、好奇心旺盛で、遊びの中に必ず小さな生き物が存在すると話す。大人になると、虫がかわいいとか面白いとか思う人が減ってしまう。それに都会だと虫がなかなかいないので、それも原因なのかなと言う。けれど、母はぼくや妹のおかげで小さな生き物に興味をもち、いっしょに育てたり、本を読んだりして過ごすので、生き物のすごさを知ったという。
　ぼくは、将来設計士になりたいと思っている。なので、とても頑丈なハニカム構造をいかした家を作りたいと思っている。どうしてかというと、日本が地震国だからみんなを安心させるためだ。そのハニカム構造は、ハチの巣の構造で、厚さ０．四ミリでも四千個あれば、二キロも蜜を貯められるほどだ。この構造は、音を吸収したり、断熱もできたりと応用が多彩で、大きな可能性を秘めている。
　動物には、人間にないような脳力がある。そして、それを利用して人は手でいろいろなものを作りだした。まねぶという言葉のように生き物の良いところを真似て学べばすばらしいものができることがわかった。