りりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりベランダから虫の声が聞こえてきます。 （108字）

　

りりりりりり りりりりりりりり りりりりりり りりりり りりり りりり りりり りりり りりりり りりりりりり りりりりり りりりりり りりりり りりり りりりり りりりりり りりりりり りりりりり りりりりり りりり ベランダから虫の声が聞こえてきます。僕は、お父さんに見つからないようにこっそり夜に起きてベランダで虫の音を聴いています。夜は静かなので、たくさんの虫がいっぺんに鳴いていて、まるでオーケストラのようでした。スズムシの音、涼むし（スズムシ）、音色（ネイロ）を聞いて寝入ろう（ネイロう）。
　虫の音色は朝も昼も夜も聞こえてきます。虫の音を聴こうとベランダの方に行くと 洗濯物の竿に赤とんぼが止まっていました。僕は急いで、静かにそっとお母さんに
「 お母さん、虫取あみ取ってきて。」
と伝えると、お母さんは
「分かった。」
と言って網を取りに行きました。そのあいだに赤トンボは、飛んでいなくなりました。僕は、
「 ああ」
と言いました。
　他にもお母さんは、秋の虫の音を聞くと、なくなったおじいちゃんのことを思い出すそうです。おじいちゃんは、すい臓がんで 6年前の 9月 21日 に亡くなりました。 おじいちゃんの誕生日が9月13日で 63歳の誕生日を迎えた後、数日で亡くなったそうです。 その時、夜だったので夏の虫の鳴き声がたくさん聞こえて言ったそうです。
　お父さんの実家は、山梨にあります。木や草が多いので、虫もたくさんいます。お父さんとお母さんは、虫の音がよくこえる自然の多い場所に住みたいそうです。でも家事をしないといけないので、会社から近い都会に住んでいます。
　僕は都会でも虫の音はよく聴こえると思います。すずしくなってきたので、ホットミルクを飲みながら虫の音を聴いて、いよいよ秋が来るのだと心の中で思いました。