母に、 「全部食べたけれど、空のお弁当箱を陽の当たる机の上に置いたままにしたらカビが生えてしまい、お弁当箱を捨てた。」 と言うと、 「あー、もう。」 と、母は呆れていた。 （85字）

　

　この話を読んで私がいちばん驚いたことは、酸素を必要とする生物と、そうでない生物がいることだ。なぜなら、すべての生物には酸素が必要だと確信を持っていたからだ。
　数年前、祖母の葬儀で式場の係りの方が、ブロック状のドライアイスを取り替えに来た。祖母の体の周りには、大量のドライアイスが置かれていた。亡くなっているとはいえ、想像以上の大量のドライアイスで冷やされている祖母を見て、かわいそうに思った。同時に、生きていると腐らないのに、亡くなるとこんなにも大量のドライアイスが必要になるのかと疑問を抱いた。人は生きていると体温が三十六度以上あっても腐ることはないが、亡くなると一気に冷やさなければならない。人の死とは、すべての生物の終わりを意味している訳ではない。ドライアイスで冷やしたおかげで祖母の肌の色はきれいなままで、表情は、まるで楽しい夢でも見ているかのような笑みを浮かべて眠っていた。
　食品に関するデータでは、食品ロスがある。家庭から出される食品廃棄は全体の半数を占めている、とMOTTAINAIのホームページで示されている。二〇〇五年、ケニア出身のワンガリ・マータイさんらがMOTTAINAIキャンペーンを始めた。私は、学生時代は母にお弁当を作ってもらっていた。ある日、食べ終わったお弁当箱を洗わずに机の上に放置し、カビを生やしてしまったことがある。カビが生えたお弁当箱の蓋を開けると、強烈な悪臭を放っていた。母に、
「全部食べたけれど、空のお弁当箱を陽の当たる机の上に置いたままにしたらカビが生えてしまい、お弁当箱を捨てた。」
と言うと、
「あー、もう。」
と、母は呆れていた。わざわざ母に作ってもらったのに、申し訳ない事をしてしまったと反省した。
　もし私が料理を作るようになったら、食品ロスが出ないように気をつけたい。始めは食材を使い切れないなど失敗があるかもしれないが、そのような時はフードバンクに提供するなどして、無駄の無いようにしたい。