総合 71 点(上位1%以内)

字数 1247 字 【文体】
 ○文の流れが自然です。
 ○文章の中心がよくしぼられています。
 △文の長さの平均がやや短めです。
【語彙バランス】
 説明に比べて、素材がやや多い文章です。(-6点)
 概念的な言葉よりも、描写的な言葉がやや多い文章です。(-6点)
思考力 47 点
知識力 48 点
表現力 59 点
規定の字数(1200字)よりも短い文章は低めに評価されます。小論文として採点しているため語彙間のバランスも評価に入れています。

 【本文】
僕は貧乏な学生だ。
いつも同じ生活を送っているが、やっぱりいつも同じでは飽きるだろう?だから僕はスリルを求めた。
でもやっぱり世界は貧乏に厳しくて、スリルとは程遠い生活を送っていた。
だがそんなある日、僕にもついに幸運が訪れた!そう、彼女ができたんだ!
でも、僕には不釣り合いで、彼女は容姿も完璧で、料理も上手で、勉強もできる。
反対に僕は、容姿も中の下、料理なんてもの、僕には無縁で、勉強なんて全くできやしない。
そんな僕が、彼女の隣を歩いていいのだろうか、胸を張ってこの子の彼氏と名乗ってもいいのだろうか…
そんな不安が、常々僕を襲っていた。
だって考えてみろよ!僕は貧乏で、自信もなくて、ひねくれてるんだぞ!?
そんな僕と彼女が隣を歩いていたら、きっと彼女も笑われてしまう…僕はそれが嫌なんだ
でも彼女は優しいから、そんなこと気にも留めちゃいない。でも、そこが彼女のいいところなんだ。
彼女が気にしていなければ、周囲の人間も気にしなくなる。
だから、僕のこともみんな気にしなくなると思ってた。でも違った
彼女と歩いているだけで、周囲から陰口を言われたり、勇気がある奴は真正面から言ってきたりした。
僕は…僕はもう限界だった
だから、明日になったら彼女に別れ話を出そうと思う。そうすれば彼女も楽になるだろう。

そうしてあれから一日がたった。
勇気を絞り出して彼女に言う。
「あのさ…僕たち別れない?」
「え、どうして急にそんなことを…」
「僕は限界なんだ。君が完璧すぎるせいで僕の駄目さが目立ってしまう」
「そうだったの…ごめんなさい。じゃあ、もう関わらないようにするよ…」

そう言って、彼女は行ってしまった。
やはり僕は人と関わらない方がいい。僕なんて、一人ひっそりと暮らしていればいいんだ。人様の目につかないところで

そうしてまた翌日から僕の堕落した生活は始まった。
学校にも通わず、髪の毛も手入れしないで、風呂なんて3日ぐらい入っていない
移動したとしても、トイレとキッチンにしか行っていない。
でも考えることは放棄していなく、このまま孤独に死ぬんだろうな、と一人勝手に思っている。
でも、僕みたいな人間にはそれがいい。それが似合っているんだ。
僕に釣り合う人間なんていない。
だからこそ、彼女は運が悪かった。
きっと彼女も、こんな奴と別れられて清々しているに違いない。
だって僕はこんなにも惨めだから。
確か、どこかの文豪の小説で、読んだことはないけど人間失格という本があったような気がする。僕の人生にぴったりな名前だ。
もう考えても仕方ないと思い、ベッドに潜る。
僕を包むベッドは冷たくて、寒くて、身も心も氷のように冷たくなった。
そうして凍えながら目をつぶり、夢の世界に羽ばたく。きっと次に目覚めたときは、キラキラした華やかな人生が待っているだろうからさ。
きっと…きっと今までの出来事は悪い悪夢だったんだ。僕の横を通り過ぎる真冬の冷たい風は、肯定を表すような突風だった。