総合 57 点(上位1%以内)

字数 2022 字 【文体】
 ○文の流れが自然です。
 △文章の中心がよくしぼられていますが、もう少し話題を広げてもいいでしょう。
 △文の長さの平均がやや短めです。
【語彙バランス】
 説明に比べて、素材がやや多い文章です。(-9点)
 概念的な言葉よりも、描写的な言葉がやや多い文章です。(-9点)
思考力 40 点
知識力 58 点
表現力 71 点
規定の字数(1200字)よりも短い文章は低めに評価されます。小論文として採点しているため語彙間のバランスも評価に入れています。

 【本文】
「呪いってあると思うか」同僚の龍一が俺にそう聞く。
 俺は苦笑しながら「呪いなんてある訳無いだろ、信じてる奴はただの思い込みだ」そう俺は言い手元にある酒を一口飲んだ。龍一はこの発言を予想していたかの様に「だよな」と言いながら何故か俺から目を逸らした。
 酒が飲み終わり、立ち上がって店を出ようとした時また龍一が「なんで人を呪う奴って直接手を出さないんだろうな? 人を呪うわば穴二つって言うじゃん」不思議そうな顔で俺にそう言う。「呪うしか方法が無かったんだろ」俺は半ば鬱陶しそうにそう答えた。俺達は店を出て、そのまま別れて家に帰る事にした。
 帰り道は秋が近いからか少し肌寒い。俺は足早に家に帰った。家に無事帰宅し、風呂に入ってからベッドに腰を掛け様とする。腰を掛けた瞬間スマホの着信が鳴った。彼女からだ、俺は着信に出て彼女と談話を始める。
「今日さ龍一が呪いの話して来て、俺内心驚いちゃって。龍一がこう言う系の話するの結構意外でじゃない?」俺は今日あった事を彼女に話した。
「へぇ龍一君って怪談みたいな話しするんだね」と少し驚いた声で彼女がそう言う。驚くのも無理は無い、トラブルメーカーでいつも明るい奴が突然「呪い」と言ったんだ。
「莉子ちゃんは呪いとか信じる派?」俺は彼女にそう聞いた。「呪いは信じないかな! そんなの気にしてたら生きていけないしね」ハッキリとした声で彼女がそう言い、会話が終わった
 彼女との電話も終わり俺はベッドに横になる。今日は少し変わった事があったがいつもと変わり無い一日だったと思い、瞼が重くなるのを感じ俺は眠りについた。
 俺は今リビングのど真ん中に突っ立っている。異様に体が軽くこれは夢だと確信した、奇妙な感覚で見慣れた自宅のリビングを見渡しているとリビングのドアが音を立てながら開いた。入って来たのは紛れも無く自分だった。
 夢ならばあり得る事だが目の前の自分には少し違和感がある。瞬きをしていなくてずっと俺の目を見ている気がする、俺は目の前のそいつが左手に何か握り締めているのが見えゆっくりと左手に視線を寄せ、握っている物を確認した。
 それは包丁だった。俺は殺されるのではないかと思い再度そいつの目を見る、まだ瞬き一つし無い目で俺を凝視していた。俺もそいつが襲って来ない様にそいつを凝視した。
 数分間見つめ合っているとそいつが左腕をスッと上げそのまま微動だにしなくなった。(こいつは何がしたいんだ)そう思いながら俺はそいつの上がりっぱなしの左腕に視線を寄せた。
 その瞬間そいつの左腕が勢い良く振り下ろされ、目の前のそいつの左胸に包丁が突き刺さった。俺は何が起こったのかよく分からずにただ見ているだけで混乱していた。
 目の前の奴が倒れて下に敷いているカーペットに血がじわじわと滲む、胸に刃物を刺したら発狂する程の痛みを伴うはずなのにそいつは一言も発しない。死んでいるのか死んでいないのか確認する為にそいつの顔の真横にしゃがみ込んだ。
 目には正気が無く死んでるのか生きているのか分からない。そいつの体温を確認しようとした時、そいつが首だけを動かしてこちらに向き「死んじまえ」と自分でも発した事のない低い声でそう俺に言った。
 俺は目が覚め奇妙な夢を見たと思い気分が悪かった、カーテンを全開して気分を変えて会社に行く支度をした。家を出て徒歩で駅に向かう、今日はいつもより早く会社に着きそうで俺は余裕を持って歩いた。
 会社に着き自分のデスクに向かう、すると龍一も今日は早めに来ていた。「お前も早く来たのかよ!」と微笑しながら龍一がそう言う、俺は合わせて微笑し夢の事を話そうかと思ったが話さない事にした、昨晩の話を鵜呑みにしていると思われたく無かったからだ。立ち話が終わり、再びデスクへ向かう。俺はパソコンを開き、いつも通り仕事を進めた。
 時間が過ぎ、定時になった。俺は(今日はもう帰ろう)と思い立ち上がった。会社を出て帰り際俺は久しぶりに料理をしようと思い、足早に家に帰った。帰宅し俺は冷蔵庫から食材を出してある物だけで作ろうとした。野菜を手に取りまな板に置く。包丁を握った時、夢の事を思い出した。
俺はあの時の恐怖心を思い出し寒気がした。包丁を持っている右手は微かに震えている、俺は少しでも恐怖心を和らげる様に歌を歌った。誰かが見たら頭がおかしい奴に見えるが俺は恐怖心に支配されていた。
 飯も風呂も済ましてベッドに寝転がる、俺は彼女に電話をした。少しの間呼出音が部屋に響く。
「あっ莉子ちゃん今大丈夫?」
「大丈夫だよ! どうかしたの?」彼女が元気な声でそう言う。「ちょっと声聞きたくなっちゃってさ」そう俺が言うと彼女が照れながらこう言った「意外と甘えん坊な所あるんだね」俺は彼女と談話を始める。
 電話が終わり瞼を閉じ眠りにつこうとする。昨日の夢はたまたまだろう、きっとそうだと思い眠りについた。