キリンといったら何を想像するだろうか。
私はもちろん、冷えたビールだ。

友人と二人で地元の花火大会を見に行ったことがある。
地元のスーパーの屋上から眺める花火は、一生涯忘れないほど綺麗だった。

次から次へと色が変わり、徐々に輝きを増しながら、見る人々を魅了する七色の光。それを、少しでも長く眺めようとする、ひたむきな後ろ姿。ひときわ大きい花火が上るときの嬉しげな歓声の数々。

ふと、この景色を見ながら、ビールを飲めたら最高だろうなと私は思った。
終わらない花火を眺めているうちに、河川敷で花火を打ち上げてる人々のことをいつの間にか考えていた。

帰り道に友人が、この近隣には森林やビルがないので、市外から見ても爽快な花火が見られるのだと言った。花火に満足だったのか、嬉しげな表情に、口調が柔らかかった。

私はほんの少し嬉しくなり、帰り道、電車の外を最寄り駅までずっと眺めながら帰った。