2009年9月8日
港南台教室 保護者 各位
Online作文教室 言葉の森

9月から自習指導を更に充実させていきます

拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
 これまで、作文教室の自習として「付箋読書」「10分間長文暗唱」を行ってまいりました。
 これを9月から更に力を入れて取り組んで参りたいと思います。
 下記の内容をごらんいただき、ご協力くださいますようお願い申し上げます。           敬具
                        記
 自習の内容は、
(1)毎週1冊の付箋読書(かかる時間は1冊10?20分。時間をかけて普通に読んでもかまいません)
(2)毎週300字の長文暗唱(かかる時間は毎日10分程度)
で、やっていただくことはこれまでと変わりません。
 ただし、暗唱については1ヶ月で900字を通して暗唱できるようにします。

■自習用紙を使った900字暗唱の仕方(9.2週に説明予定)

 900字の暗唱といっても記憶術を使う方法ですので、これまで1週間で300字の暗唱ができていた子はそのまま1ヶ月で900字の暗唱もできるようになります。
 ただし、暗唱の仕方を徹底した方がやりやすいので、生徒には自習用紙を使った暗唱の方法を説明します。できるだけこのやり方で続けていってください。

 自習に関する保護者の方の対応で大事なことは二つあります。
1、毎日決まった時間帯を確保すること
 ・朝ご飯の前、夕ご飯の前など、必ずできる時間帯を決めてください。
 ・日曜や祝日も同じように続けるのが基本です。
 ・事情によって10分間できないときも、回数を減らしてやっていってください。
2、読み方について注意をしたりからかったりせず必ず褒めてあげること
 ・子供部屋などでなく、家族のいるとこころで暗唱させるようにしてください。
 ・読み方が下手だったり間違えていたりしても、注意をしたりからかったりしないようにしてください。
 ・読み終えたあとは、いつも「上手に読めたね」と褒めてあげてください。

【自習用紙】


【自習用紙を使った900字暗唱の仕方】
 
 毎日、長文を1ページ音読しよう。
 その週の課題を中心にするが、自分の好きなところでもよい。
 さらにできる人は、自分の好きな長文を暗唱しよう。
 1週間で300字暗唱する方法。
 1日目に読むのは4行100字ぐらい(小2までは5行ぐらい。以下同じ)
 2日目は、次の4行100字ぐらいを読む。
 3日目は、その次の4行100字ぐらいを読む。
 4日目は、12行300字ぐらいを全部通して読む。
 5日目も、6日目も、7日目も、12行を通して読む。
 1週間で12行300字が暗唱できるようになっている。
 1ヶ月で36行900字を読む方法。
 1週間目で、12行300字ぐらいを読む(小2までは15行300字ぐらい。以下同じ)。これはできそう。
 2週間目で、次の12行300字ぐらいを読む。これもできそう。
 3週間目で、その次の12行300字ぐらいを読む。これもできそう。
 4週間目で、36行900字ぐらいを通して読む。これはちょっと難しい。
 1ヶ月で900字を暗唱できたらすごい。
 4行100字ぐらいの区切りは、4行目に「。」があればそこまで。
 4行目に「。」がない場合は、前後の「。」で。
 4行目の前後に「。」がない場合は、「、」で区切ってもよい。
 暗唱する時間は、タイマーで10分間を計ってもよいが、
 
 暗唱の木を作って数える方法もある。
 暗唱の木の作り方は、まずA4ぐらいの紙を用意する(3枚は緑、1枚は赤だとなおきれい)。
 3枚の緑の紙をこのように切る。
 その切り方は、まず二つに紙を折る。
 折り目の線の入ったところを切る。
 4つに分かれた最後の1枚をまた二つに折る。
 それをまた4つに折る。
 折り目の線の入ったところで切る。
 300字の暗唱の切り方は、このような形に切れていれば、できあがり。
 自習用紙を使う場合は、切り取り線で切る。
 100字の暗唱用は、長い方の紙を縦に二つに折る。自習用紙の場合は、下から谷折りの線を目安に折る。
 山折りの方を表にして、1センチぐらいに折っていく。
 15回ぐらいで全部折りたためる。
 100字を1回読むたびに1回ずつ開いていく。
 全部開いたら15回読んだことになる。これで約5分。
 続けて読みながら、今度は折りたたんでいく。
 全部折りたたんだら、30回読んだことになる。これで約10分。これを大枝と呼ぶ。
 3日間3本の大枝をY字型に組み合わせて暗唱の木を作る。
 4日目からは、300字暗唱用の小さい方の紙を折る。
 山折りを表にして1センチぐらいに折っていく。
 
 5回ぐらいで全部折りたためる。
 300字を1回読むたびに1回ずつ開いていく。
 全部開いたら5回読んだことになる。これで約5分。
 続けて読みながら、今度は折りたたんでいく。
 全部折りたたんだら、300字を10回読んだことになる。これで約10分。これを小枝と呼ぶ。
 4日間4本の小枝を、大枝の先にY字型にさす。
 1週間で暗唱の木が1本できる。
 コップにさして、置いておこう。(水は入れなくてよい)
 2週間で2本できる。
 3週間で3本できる。
 次は、A4ぐらいの赤い紙を縦に3等分に切る。
 その3等分の長さの正方形を9つ作る。
 折り目を入れると作りやすい。まず縦に大体3分の1に折る。
 三角に折りたたむ。
 裏返して、その三角を折りたたむ。
 さらに裏返して、三角を折りたたんでいく。
 次々に折り続ける。
 それを開くと、切り取り用の折り目ができている。
 900字暗唱用の切り方。
 自習用紙の場合は、切り取り線と正方形となっているところで切り取る。
 
 900字の暗唱をしたら花を作る。まず、正方形を三角に折る。市販の折り紙を使ってもよい。
 もう1回三角に折る。
 三角をふくらませる。
 裏の三角もふくらませてひし形にする。900字を1回読んだら、このへんまで作る。
 ひし形を狭く折りたたむ。
 裏も折りたたむ。900字を2回読んだら、このへんまで折る。
 上を丸く、はさみで切る。
 花の途中に横の折り目を作る。
 開くと花ができる。900字を3回読んだらここまで作る。これで約10分。
 9日間読むと9個の花ができる。
 暗唱の木の枝と枝の間にさすとできあがり。
 1ヶ月30日で、花の咲いた暗唱の木が3本できる。
 残った長い紙を二つに折る。
 それをまた三つに折る。
 細い長方形ができる。
 1回結ぶ。
 2回結ぶ。
 結んだところに3本の木をさしこむ。
 1ヶ月で900字の暗唱の木が完成。
 1週間ほどかざったら、長文のコピーと一緒にしてクリアファイルで記念の押し花にしよう。

 花の部分は、ツルや風船にしてノリなどでつけておいてもよい。
 
 暗唱の木の見本(緑の紙だけで作ってある)。
 別の角度から見たところ。

 花の部分は、ツルや風船にしてノリなどでつけておいてもよい。


■暗唱チェックと記憶術(9.3週に説明予定)

 教室での暗唱チェックの仕方は、これまで先生が生徒の暗唱を全部聞く形で行っていました。
 しかし、これでは900字暗唱になると時間がかかるので、これからは、「○番目の文を読んでみて」という形で、先生が暗唱する文を指定します。
 したがって、記憶術を参考にして、文の順番も覚えてくるようにしてください。

【記憶術】
 50字の暗唱は、すぐにできます。100字の暗唱は、十数回でできます。早い人は数回できるでしょう。時間としては大体5分から10分です。
 300字になると、暗唱は急に難しくなります。しかし、それでも、2、30回で覚えられます。
 ところが900字になると、暗唱はさらに難しくなってきます。これも、本当は回数を反復して暗唱できるようにしたほうがいいのですが、あまり壁が高いと挫折してしまう人も多くなります。
 音読や暗唱の大切さは、シュリーマン、本多静六、湯川秀樹などの例を挙げて、多くの人によって紹介されています。しかし、ほとんどの人が実践できないのは、長い文章になると急に難しくなってくるためです。
 そこで、長文の暗唱に、記憶術を併用して覚える方法を提案することにしました。
 900字の暗唱でいちばん難しいのは、文の出だしです。先生が生徒の暗唱チェックをするときも、出だしの一、二語を言えば、すぐに続きが出てくる子が多くいます。そこで出だしの一語を記憶術で覚えるようにしてみます。
 まず第一に、身近なもの、例えば自分の身体などを使って順番を決めます。そのほかに、家の中の部屋、家から学校までの道筋なども使えます。
1、頭のてっぺん2、おでこ3、左目4、右目
5、鼻6、左耳7、右耳8、口
9、のど10、左肩11、左ひじ12、左手
13、右肩14、右ひじ15、右手16、左胸
17、右胸18、おへそ19、左のおしり20、左ひざ
21、左足22、右のおしり23、右ひざ24、右足

などと順番をつけていきます。
 900字の暗唱であれば右手ぐらいまでに終わるものがほとんどです。
 第二に、出だしの言葉を、最初に思いついた連想でイメージ化します。あれこれ考えずに最初の思いつきを生かすことが大事です。
 第三に、順番をつけた身体の部分に、そのイメージをできるだけオーバーに結びつけます。長い文のときは出だしの言葉のイメージと次のキーワードのイメージを結びつけてもいいでしょう。
 なお、900字の暗唱が終わり、新しい900字の長文を覚えるときは、古いイメージは外しておきます。その方が混乱しません。

 実例を元に説明してみましょう。
 次の文章を覚えるとします。長くなるので最初の300字だけにしますが、同じ要領で900字まで覚えられます。
====覚えようとする長文の例(ここから)====
 現代文明が、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料に依存し、化石燃料を利用して成り立っているのに対して、江戸文化は、太陽エネルギーだけを使って成り立っていた。具体的にいうなら、徹底的に植物に依存し、植物を利用した時代だった。
 もちろん、植物以外の資源を利用する漁業や、鉱物を加工して金属や陶磁器を作る産業も発達したが、中心になるのはさまざまな形での植物の利用だった。植物を育てる重要な作業にも、人力とわずかな家畜の力しか使わなかったが、考えてみると、人間は去年の太陽で育った穀物などを食べて動いているし、馬や牛も去年か今年の太陽で育った穀物やわら、草などで生きているから、結局は、産業も過去一、二年の太陽エネルギーだけを利用して成り立っていたことになる。
 今のように石油で暖めるハウス栽培をすれば、真冬でも胡瓜やトマトを出荷できるし、大きな船で遠洋漁業に出れば、日本では獲(と)れない魚を獲(と)って来ることもできる。ところが、太陽エネルギーだけを利用して植物栽培や漁業をやっていた当時は、それぞれの土地柄に合った作物を育て、季節の海産物を利用するほかなかった。
====(ここまで)====
 六つの文のそれぞれの出だしの言葉は、「現代文明が」「具体的に」「もちろん」「植物を」「今のように」「ところが」です。
 これらの言葉を最初の思いつきでイメージ化し、そのイメージをできるだけオーバーに、リアルに、感覚的に、実感をこめて身体に結びつけます。
 「現代文明が」→げ……→ゲンゴロウ→ゲンゴロウが頭のてっぺんをかじっている。「ガリガリ」。
 「具体的に」→ぐ……ラーメンの具のシナチク→シナチクがおでこにペタリとくっついた。「あちちち」。
 「もちろん」→もち……→おもち→おもちが左目にくっついた。「わあ、とれない」。
 「植物を」→植物……→そのまま植物で→ベランダにあるゼラニウムの植木鉢が右目にぶつかって、葉っぱが目に入った。「いたたた」。
 「今のように」→いま……→今川焼き→今川焼きが鼻の穴にささって、あんこがぐにゅっと出てきた。「ふがふが」。
 「ところが」→ところ……→トコロテン→トコロテンが左耳につるりと入ってきた。なんだか冷たくて気持ち悪い。

 このようにイメージを使って感覚的に覚えた記憶は、忘れようとしても簡単に忘れられません。
 そこで、新しい記憶を開始するときは、前の記憶を一つずつ外していきます。
 「頭のてっぺんのゲンゴロウが飛んでいった。やれやれ」「おでこのシナチクを取った。ああ、よかった」「左目のおもちも取った。これで安心」などというように、外すときもイメージを使っていきます。

 いったんこのやり方を覚えれば、勉強にも生活にも、いろいろなところに応用できます。


■暗唱フォン(9.4週に説明予定)

 教室で一斉に暗唱するときや、狭い家で兄弟一緒に暗唱するとき、大きい声は出せないが、自分の声はしっかり聴きたいということがよくあります。
 暗唱の仕方の中には、聴いて覚える方法もあります。高速聴読がその方法ですが、人によっては聴くだけでは覚えにくいということもあるようです。
 耳栓をして周囲の雑音が入らないようにしながら、内耳で聴く方法もあります。しかし、これも人によっては覚えにくいようです。
 一方、先人の例を見てみると、シュリーマン、本多静六、貝原益軒、湯川秀樹など、みんな声を出して暗唱する方法でした。人間は、いったん自分の声として出した言葉を、聴くときにも言葉として認識するようです。難しく言うと、表現が感受性を規定しているのです。
 そこで、昔、筆箱のふたで電話ごっこをしたのをヒントに暗唱フォンを作ってみました。将来はもっとスマートにヘッドセット型で自分の声が自分の耳に聴こえるような仕組みにしていていく予定ですが、とりあえずは紙で簡単に作る方法です。

 
A4の紙を2枚用意します。
1枚を二つに折ります。
二つに折った線を基準に三つに折ります。
裏返してまた三つに折ります。
片側の端を箱を作るように折り立ててホッチキスで止めます。
両側の端を同じように止めて長い箱を作ります。
箱の真ん中あたりを折って120度ぐらいの角度にしてホッチキスで止めます。
暗唱フォンのできあがり。
 
 
両耳用を作る場合は、箱の長さの中間あたりを折り曲げてホッチキスで止めます。
下半分の中間あたりともう一度折り曲げてホッチキスで止めます。
もう1枚の紙で同じものを作り合体させます。
これをつけて暗唱すると宇宙人みたいで格好いい(かなあ)。
これが両耳タイプの実物の見本。小さい声でも、とてもよく聴こえます。
 

 

■家庭でできる付箋の作り方(10.1週に説明予定)

 10月から付箋は有料になります。(10.1週にお渡しする仮止めのりの最初の1本は無料です))
 付箋読書に慣れてきたら、教室の貸出図書以外も付箋をつけて読んでいきましょう。普通の読み方よりも早くたくさん読めるようになります。
名称単位料金商品名・カタログ番号(製造元)
仮止めのり10g1本100円Rグルー(貼ってはがせるスティックのり)・RG?8(ヤマト)
付箋25ミリ100枚×10本200円タックメモ(付箋超ミニスリムタイプ)・メ?1097N(コクヨ)
付箋45ミリ100枚×40本1,000円はってはがせる粘着メモ・FB?5KP(ニチバン)

【付箋の作り方】 付箋読書に使うための手作り付箋の作り方です。仮止め用のスティックのりを使います。
 A4ぐらいの紙を用意する。
 四つぐらいに切る。
 横に二つに折る。上部を外側にそらしておくとあとではがしやすい。
 折ったところに仮止め用のスティックのりを1?2センチの幅でつける。
 のりをつけて折りたたんだ状態で二つぐらいに切る。
 のりのついていない側から切り込みを入れる(数枚まとめて切ると能率的)
 のりのついている側の折り目を1?2ミリの幅で切り落とす。
 出来上がり。A4の紙1枚から200?300の付箋ができる。
 こんなふうに手作りの付箋として使える。