暗唱の自習の仕方

1、10分間を計れるタイマーを用意しておくと便利です。
 タイマーがない場合は、約4行100字分の長文を30回読むことを目安にしてください。
 (幼長・小1・小2の長文は文字が大きいので約5行100字分です)
2、1日目は、長文を見ながら、約4行100字分を何度も音読します。(幼長・小1・小2は約5行100字分)
 句読点でもあまり区切らずに早口で音読した方が覚えやすくなります。大体15回(4?5分)で空で言えるようになります。
3、長文を見ないでも言えるようになったら、そのまま空で暗唱を続けます。
 大事なことは、長文を見てすらすら言えるようになるまでは、空で言おうとしないということです。
 つっかえたり考えたりしながら覚えようとすると、かえってすらすらとした読み方を覚えにくくなります。
4、空で暗唱しているときは、歯磨きをしたり、お風呂に入ったりと、ほかのことをしながら暗唱を続けることができます。
 ですから、長文を見ながら暗唱する正味の時間は最初の4?5分だけです。
5、長文を読み始めてから10分(30回)ぐらいで、すっかり暗唱できるようになります。
6、1日目に100字暗唱できるようになったら、それで1日目はおしまいです。
 2日目は新たに続きの100字を暗唱できるようにします。同様に、3日目も新たに続きの100字を暗唱します。
7、4日目からは、それまでの3日間で覚えた約12行300字分(幼長・小1・小2は約15行)を通して暗唱します。
 5日目、6日目、7日目も同様です。(300字10分間は回数にすると約10回分です)
8、短時間の勉強は、毎日決まった時間にやる方が続けやすいので、原則として毎日暗唱する時間をとるようにします。
 このようにして、毎日の暗唱を続けていくと、途中から自分でも頭がよくなっていく感じがつかめるようになります。
9、高速聴読のページでソフトによる音声を流しています。 http://www.mori7.com/nami/





暗唱の自習への質問に答えて

 「父母の広場」に、生徒の保護者の方から暗唱の自習に対する質問がありました。
 1月から新たに始めるようにした暗唱の自習は、かなりとまどわれた方も多かったと思います。
 暗唱をするという勉強の仕方は、親も子も通常やったことがないからです。(しかし、おじいちゃんおばあちゃんの世代の方はやったことがあると思います)
 ここに書かれた質問は、多くの人に共通すると思いますので、質問と回答を整理して紹介します。

質問:中学生で、学校の勉強に追われるので、10分間の暗唱という自習を新たに取り組ませることは難しい。

回答:中学生以上の生徒は、できない人が多いと思います。子供自身がそういう勉強に慣れていないからです。
 ですから、あまり無理をせずに、これまでどおり長文を読むということで続けていってください。
 その場合は、これまでと同じように穴埋め問題を出していきます。
 ただし、将来の展望として、暗唱を発展させる形での作文読解指導を考えていますので、今後は、そういう具体例を紹介して、生徒自身が意欲を持てるようにしていきたいと思っています。

質問:本当に、長文の最初の300字の暗唱がそれほどに効果があるのでしょうか。

回答:効果は絶対にあります。これは実際にやってみて確信を持って言えます。
 しかし、初めて暗唱の自習を取り組むときには心理的な摩擦がきわめて多いこともわかります。
 もし、ドリルをこなすような自習であったり、音読をするだけの自習であったりすれば、お母さんもお子さんもあまり負担を感じずに取り組めると思います。しかし、それでは実力がつかない、又は、実力がつくのが遅いということがわかってきたので、敢えてこの負担の大きい暗唱という自習を開始したのです。

質問:古文などの素読はわかりますが、特に良質かどうか不明な長文の冒頭300字の暗唱は意味があるのでしょうか。

回答:暗唱する長文の質は、比較的良質です。今後、更に良質のものをそろえていきたいと思います。
 しかし、言葉の森の自習は、有名な文章を覚えることを目的とした勉強ではなく、暗唱の仕方を身につけることを目的とした勉強です。ですから、この自習で冒頭300字の暗唱のコツをつかんだ子は、今後自分の好きな文章を同じように暗唱していけます。これがいちばん大事なことになると思います。

質問:学校で毎日教科書を5回音読する宿題がある上に、暗唱の自習をさせるのは難しい。

回答:暗唱の自習が、学校の教科書音読5回の勉強と重なると、子供さんにとっては負担が大きくなります。その場合、言葉の森の自習は朝のうちにやって、学校の宿題は夕方にやるというように、一日のうちで時間の間隔を空けておくといいと思います。我が家でも(森川林)、学校の音読の宿題があったときはそういうやり方をしていました。

質問:暗唱の仕方が、実感として今ひとつつかめません。

回答:実際の暗唱の仕方については、ビデオをごらんいただくとわかりやすいと思います。
http://www.mori7.com/mori/mori/20081230.php
 また、言葉の森の通学教室の生徒が、低学年の子から高学年の子まで、先生の前ですらすら暗唱している様子もビデオに撮りました。しかし、後ろ姿の撮影でもプライバシーの問題があるので公開はしていません。もし、お子さんに、「こんなふうにできるんだよ」と説明したいからそのビデオを見たいという方がいらっしゃいましたらご連絡ください(生徒限定)。

質問:低学年なので、暗唱は、音読よりも難しいように思ってなかなかできません。

回答:低学年であればあるほど、暗唱の自習はすぐにできるようになります。そして、暗唱10分の方が、これまで音読よりも面白いと思うはずです。ぜひ、やってみてください。
 そして、できれば、お母さんも一緒にやってください。暗唱の自習が面白いことと、暗唱が頭にいいことが実感としてわかってきます。
 



暗唱カウンター

 家庭で長文を暗唱するときに、タイマーを使うことが多いと思います。
 しかし、タイマーだと人数が多いときにかえって不便です。また、自分が今どれくらいまで読んでいるかわかりにくいということもあります。
 そこで、紙で簡単に作れるカウンターを紹介します。
 このカウンターで100字の文章を30回読むと、10分間読んだことと同じになります。カウンターを使うと、読んだ回数が目に見える形で残るので励みにもなります。
 暗唱は、覚えることが目的ではありません。同じ文章を繰り返して読むことによって読みの吸収力をつけることが目的です。毎日30回を目標に長文の暗唱をしていきましょう。(ただし、300字の場合は1日10回が目標になります)
1、A4ぐらいの大きさの紙を用意します。新聞のチラシなどでも可。2、物差などで4分の1ぐらいに切ります。これで4人分又は4日分作れます。
3、縦に二つ折りにします。4、裏返して1センチぐらに折りたたんでいきます。5、どんどん折りたたみます。
6、15回ぐらい折ると完成です。7、暗唱を1回読んだら1回開きます。手に持っていても机の上に置いておいてもいいです。8、全部開くと15回読んだことになります。
9、開いたのをまた折りたたむと往復で30回になります。10、時間のかかるものは途中に回数を記録しておいてもいいです。11、往復の場合も途中に回数を書いておくことができます。

 暗唱カウンターを使った暗唱の仕方のビデオをごらんください。
http://www.mori7.com/mori/mori/annsyou.php