言葉の森新聞 編集用
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  【重要】3月1週は次学期の進度の参考試験(再掲)
  【重要】3.1週の作文はファクスでも受付(再掲)
  3月20日(月)は休み宿題
  3月29日(水)、30日(木)、31日(金)は休み
  新「寺子屋オンライン企画」の概要
  小学校低中学年の読書は、ためになる本よりも、熱中できる本を中心に
   コメントより
  真の賢さを育てるのは、問題集を解く勉強ではなく、読書と作文と親子の対話
   コメントより
  テレビとインターネットを消して、読書と作文の時間の確保を
   コメントより
  明日の教育と今日の教育を両立させる勉強を――はせくらみゆきさんの「チェンジ・マネー」を読んで
  子育ての基本は、枝葉のことに目を奪われず、まず真の賢さを育てることから
  木切れを使ったレゴのような遊び――キギレゴ
   コメントより
  成績は短期間で上がるが学力は知的な家庭生活の中で徐々に上がる
   コメントより
 
言葉の森新聞 2017年3月1週号 通算第1457号

https://www.mori7.com/mori/

森新聞
【重要】3月1週は次学期の進度の参考試験(再掲)
 3.1週は、これまでの2ヶ月間の勉強の実力を見て、次の学期からの進度の参考にする実力試験として行います。
 ただし、今学期から受講を開始された方は、実力試験の結果にかかわらず原則として自動進級します。
【課題】 課題はその週の作文又は感想文の課題です。
【評価】 課題フォルダの構成・題材・表現・主題の★印と字数が全部できていることが評価の基準になります。(表現の項目などで二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。
 キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いてください。項目を入れたところには、項目マークを必ず書いておいてください。【時間】 時間制限はありませんが、参考のためにかかった時間を作文用紙に記録しておいてください。時間は、課題を見てから書き終えるまでの時間です。
【締切】 作文実力試験の提出締切は、8日ポスト投函までです。
【重要】3.1週の作文はファクスでも受付(再掲)
 作文の実力試験に限り、ファクスによる提出も受け付けます。ファクスでの提出期限も8日までです。
 ただし、ファクスで提出をする人は、事前にメールアドレスを登録しておいてください。
1、ファクスが正常に送信できているかどうかは、24時間以内にメールと検索の坂で連絡をします。正しく送信できたかどうかを必ずご確認ください。
2、連絡用のメールアドレスは、検索の坂の「ペンネーム 変更」というところで登録できます。既にメールアドレスが入っている場合は、そのアドレスが登録されています。
3、ファクスで送られた作文は、作文の丘にJPGでアップロードされます。作文の返却はありませんが、添削された作文は山のたよりに表示されます。
3月20日(月)は休み宿題
 3月20日の月曜日は、休み宿題です。
 先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時-午後7時50分。電話0120-22-3987)
 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 課題の説明の動画「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/
 オープン教育の掲示板「森の予習室」に学年別の予習のヒントが載っています。
 
3月29日(水)、30日(木)、31日(金)は休み
 3月29日(水)、30日(木)、31日(金)は、第5週のためお休みです。
 先生からの電話はありません。振替授業もお休みです。
新「寺子屋オンライン企画」の概要
 言葉の森では、これまでさまざまなオンエア企画を行ってきましたが、3月からそれらを「オンライン企画」という名称にし、次のような形で再開します。
■オンライン企画への参加は、言葉の森のホームページにあるリンクからお申込みください。
 なお、寺子屋オンラインの企画とは、Googleハングアウトのウェブ会議の仕組みを使って行う企画のことで、企画の参加に必要な機器は、スマホ又はタブレット又はパソコン(カメラ付き)のいずれかです。画面が大きい方が利用しやすいので、タブレット又はパソコンがおすすめです。
 Googleハングアウトの利用の仕方は、随時説明します。
 言葉の森でこれまで行ってきたオンライン企画は、「寺子屋オンエア」、「読書実験クラブ」、「思考国算講座」、「先行国数講座」、「学年別作文と勉強講座」などでした。
 この3月から、これらの個別に行ってきた企画を、新たに「寺子屋オンライン」という名称の大きな企画の枠でまとめ、その中の個別の企画として整理し再開することにしました。
 そのため、これまでの個別企画の名称が一部変わります。
 以下は、新「寺子屋オンライン企画」の中の個別企画です。
【1】新名称:自主学習クラス(略称:自学クラス)
◆旧名称:寺子屋オンエア
○目標:真の学力と自主性を育てる。
対象は小1~中3
用意していただくテキストは、小学生の場合は「ハイクラステスト国語読解力」(受験研究社。該当学年分)、中学生の場合は「ハイクラステスト国語長文」(受験研究社)
学習内容
・読書チェック
・国語問題集読書チェックと関連問題
・算数数学問題集チェック(希望者。算数数学のテキストは「これでわかる算数数学」(文英堂。該当学年分。先取りも可))
・スタディサプリチェック(希望者。)
・理科社会英語問題集チェック(希望者。テキストはいずれも「これでわかる」シリーズ(文英堂)。ほかに英語暗唱教材として「英会話・ぜったい・音読 入門編」(國弘正雄・講談社インターナショナル))
・毎日の長文音読チェック(希望者。skypeのビデオメッセージで)
(勉強に関する質問や相談は、保護者掲示板、又はオンライン懇談会で受け付けます。)
曜日時間
・月~金の17:30~20:50の間の1時間以内(最後の10分間に先生からの電話指導あり)
費用ほか
・月4回、月額2,160円
・言葉の森の生徒以外は3ヶ月前納制の振込。
・祝日は休み宿題、第5週目は休みで、いずれも言葉の森のカレンダーに準じます。
・振替は同じ日に限ります。講師の担当時間の空きがないと振替を受けられないこともあります。
【2】新名称:思考発表クラブ(学年別)(略称:思発クラブ)
◆旧名称:読書実験クラブ、思考国算講座、作文と勉強講座(学年別)
○目標:思考力と発表力を育てる。
対象は小1~小6(学年別)
用意していただくテキストは、「これでわかる算数」(文英堂。該当学年分。先取りも可)
学習内容
・読書発表5分(読んでいる本の紹介)
・作品発表10分(作文の構想図・算数数学の類似問題・家庭での実験や経験)
・次週の作文の予習解説10分
・算数数学の作問解説5分
・保護者懇談15分(希望者。ただし4週目は原則全員参加。保護者懇談と並行して子供たちは実習。)
曜日時間(学年はいずれも新学年)
・火18:00~18:45(新小1)
 火19:00~19:45(新小4)
・水18:00~18:45(新小2)
 水19:00~19:45(新小5)
・木18:00~18:45(新小3)
 木19:00~19:45(新小6)
・そのほかに同学年の希望者が4名以上参加できる時間帯
・4名未満の曜日時間は、希望者が集まるまで保留
定員
・定員6~7名の同学年の少人数制(最少4名~最多9名)
(定員を超える場合は、これまでやっていた生徒、言葉の森の生徒を優先します。)
費用
・月4回、月額2,160円
・言葉の森の生徒以外は3ヶ月前納制の振込。
・祝日は休み宿題、第5週目は休みで、いずれも言葉の森のカレンダーに準じます。
・振替はありません。その代わり授業の動画が見られます。
【3】新名称:オンライン作文コース(略称:オン作コース)
◆旧名称:オンエア作文
○目標:学習の場を先生や他の生徒と共有できる。
対象は言葉の森生徒なら誰でも
学習内容
・通常の作文の電話指導の際に、先生と話す画面を共有します。
・作文を書いている間、同じ時間に作文や他のコースを勉強している生徒とも画面を共有できます。
・開始時の電話説明はありますが、終了時の電話はありません。終了したら自主的に退出してください。
・代講や振替の場合は、通常の電話指導だけになります。講師によってはオンラインにまだ対応できない先生もいます。
費用
・言葉の森の受講料以外の追加費用は無料
【4】新名称:自然寺子屋合宿
◆旧名称: 〃
○目標:自然の経験と、友達の交流と、自主学習の方法を学ぶ。
対象は小1~小6(保護者、祖父母も参加できます)
場所
・那須高原(南ヶ丘牧場の近く)
期間
・7月22日~8月31日の間の2泊3日(2泊3日の連続参加も可)
(722-724、724-726、726-728、728-730、730-801、801-803、803-805、805-807、807-809、809-811、811-813、813-815、815-817、817-819、819-821、821-823、823-825、825-827、827-829、829-831)
合宿内容
・自然の中での経験
・友達との交流
・朝晩の読書と寺子屋オンライン学習(機器は現地で用意しています)
費用
・35,000円程度(2泊3日。東京集合。東京―那須塩原間の往復交通費含む。次の2泊3日も続ける場合は、プラス27,000円。何回でも継続可)
※詳細は4月ごろお知らせします。
【5】その他
 次の企画も寺子屋オンラインの企画としてGoogleハングアウトを使って行います。
・プレゼン作文発表会
・作文検定
・暗唱検定
・オンライン懇談会
小学校低中学年の読書は、ためになる本よりも、熱中できる本を中心に
 子供は、読書によって成長します。
 すると、親は、子供によい本を読ませようとして、ためになる本だけを読ませてしまうことがあります。
 しかし、そういうためになる本は、一般に子供にとってはあまりおもしろいものではありません。
 その結果、薬を飲むような義務感で本を読むようになると、読書に熱中するという経験ができなくなります。
 読書好きの子は、熱中する本に出合うと、夜寝るのも惜しいぐらい夢中になって読むものです。
 小学生のころにそういう熱中する本に出合った子は、読書の楽しさがわかるので、中学生になっても、高校生になっても、試験の前でも、本を読む生活は途切れることがありません。
 しかし、そういう熱中した読み方を味わっていない子は、読む必要がなくなると自然に読まなくなるのです。
 今、高校生でほとんど本を読まない生徒が増えていますが、それは小学校時代に熱中した読書の経験がなかったからではないかと思います。
 読書で大事なことは、読書の傾向を難しい本に進めていくことですが、それと同じぐらい大事なのは、本人が好きなおもしろい本をふんだんに読むということです。
 読書には、この両方が必要なのです。
 おもしろい本というのは、大人から見るとくだらない本に見えることがあります。
 しかし、そのくだらない本に熱中する一方で、難しい本のおもしろさもだんだんわかってくる、そういう読み方が読書の理想だと思います。
 そのためには、いつも何冊かの本を並行して読んでいくことです。
 人間の頭は、複数の本を同時に読んでもそれぞれの話を別のものとして理解できるようになっています。
 ためになる本や、難しい本は、ページ数がなかなかはかどりません。だから、そういう本を読むのと並行して、本人の好きなおもしろい本も読めるようにするのです。
 その並行読書に役立つのが付箋をつけて本を読む方法です。
 
コメントより
 小学校低学年のころは、勉強の中身よりも、自主的に勉強をするという勉強の姿勢の方が大事です。
 同じように、読書も、いい本を読むというよりも、夢中になって読むという読み方の方が大事なのです。
 読書に夢中になるためには、自分が本を読んでいることを意識しないぐらい読書に慣れている必要があります。
 よく、本に熱中しているときは、近くで呼んでも聞こえないという子がいます。
 そういう子は、息をするのと同じぐらいの感じで、自然な動作として本を読んでいます。
 そういう読み方ができるようになるためには、おもしろい本をたっぷり読む必要があるのです。
 そして、子供にとっておもしろい本は、大人から見ると往々にしてくだらない本であることが多いのです。
真の賢さを育てるのは、問題集を解く勉強ではなく、読書と作文と親子の対話
 子供の真の学力は、問題集を解くような勉強では身に付きません。
 問題集を解く勉強法は、同じく問題を解く形の入試の時期に合わせて短期間で集中的に取り組み、入試の成績を上げることに使うものです。
 入試の成績を上げることと、真の学力とは違うものなのです。
 しかも、近年の入試は、日本特有のガラパゴス化した問題になっています。
 入試で評価されるものは、本当の学力というよりも、そのガラパゴス化した問題に対する訓練度です。
 だから、家庭では、今の世間の勉強の風潮から一歩距離を置いて、子供の真の学力形成に役立つ勉強を進めていく必要があります。
 そして、入試の時期だけは、合格するための勉強と割り切って、入試問題を解く練習に集中すればいいのです。
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 問題を解くような形の勉強であれば、子供がある程度自主的に進めていけます。しかし、作文の場合は、そういう問題・解答形式の勉強ではありません。毎日、読書や音読などの読む自習を行い、毎週、自分で考えて作文を書くということで力がついていきます。
 作文は、親子の対話を楽しむ形で進めていく勉強です。これは、小学生には特に重要です。小学校1、2年生は自由な題名ですから、毎週授業の始まる前に、「今週はどんなこと書くの」と子供に聞き、親が子供と作文に書く内容について話をします。また、書いた作文が返却されたときも、その作文の内容について家族で対話をします。この際、決して欠点を指摘して直すようなことはしないでください。欠点は、読む力がつく中でほとんど自然に直ります。欠点を指摘すると、作文を書くことが億劫になります。対話は、いつも楽しい雰囲気で行ってください。この対話のときに大事なことは、お父さんやお母さんの子供時代の似た話などをたくさんしてあげることです。そのときに、子供には、少し難しい言葉で、少し長い文で、少し難しい内容の話をするようにします。この対話によって親子のコミュニケーションが豊かになるとともに、子供の頭がよくなります。
 小学校3、4年生の場合は課題が決まっているので、親子の対話は更にしやすくなります。次の週の課題を見て、お父さんやお母さんが似た話を子供に聞かせてあげてください。場合によっては、田舎のおじいちゃんやおばあちゃんに取材してもよいでしょう。また、作文が返却されたときも、親子でその作文を話題にして話をするようにしましょう。この場合、やはり大事なことは、欠点を指摘して直すようなことはしないということです。作文はできるだけよいところを見て励ますようにしてください。
 小学校中学年までに親子の対話の習慣を作っておくと、その親子の関係はあとまで続きますし、その対話によって子供の頭がよくなります。理解力や思考力は、問題を解くような形の勉強では身につきません。対話と読書によって最も確実に身につくのです。ですから、対話のときは、楽しい雰囲気で、少し難しい言葉で、少し長い文で、少し難しい内容の話をするように心がけてください。
 小学校高学年や中学生になると、子供が自分の作文を親に読まれるのを嫌がる面が出てきます。その場合は、作文ではなく、課題の長文をもとにして対話をしていきましょう。課題の長文は、ホームページでも読むことができますから、事前にお父さんやお母さんもその長文に目を通しておくとよいでしょう。
 課題の長文をもとにした対話は、次のような形で進めることができます。まず、子供に、次の週の課題がどういう内容か説明させます。そのためには、子供が事前に長文を読んでおかなければなりません。題名だけの課題の場合は、子供がどんなことを書くつもりか考えておかなければなりません。この子供に内容を説明させるということが、子供の思考力と表現力を育てる勉強になります。子供に説明させたあと、親がその課題についての関連する話をしてあげます。親の話を聞くと、子供が自分の経験を通して考えただけの作文よりも話題が広がり、感想も深まります。
 小学校高学年になると、普通の家庭ではどこでも親子の対話は少なくなります。特に、お父さんは子供との日常的な接点があまりないので、対話をするとしても勉強や成績のことばかりになりがちで、ますます対話が難しくなります。ところが、作文の勉強を通して話をすることによって、親子が毎週知的な対話を楽しむ習慣ができるのです。
「問題を解く勉強ではなく、読んで話して考えて書く勉強だから国語力がつく」
https://www.mori7.com/index.php?e=2096 
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コメントより
・人類の長い歴史から見ると、問題を解く勉強は最近になって生まれたものです。
 それは、入学試験が問題を解かせる形で出されることに対応して、同じような問題を解かせる勉強法として生まれたのです。
 では、それまでは、人間はどのような勉強をしていたかというと、日本の場合それは素読と筆写と対話でした。
 この素読と筆写と対話と、もう一つ算盤によって培われた理解力と思考力と表現力によって、日本は急速な近代化を成し遂げたのです。
 しかし、明治政府が欧米に追い付くために採用した教育法は、教科書をもとにした一斉授業と、その授業の理解度を評価するためのテストと入学試験でした。
 この言わば間に合わせ的に採用した欧米流の教育法が、その後もずっと引き継がれてきて、今制度疲労を起こしつつあるのです。
・今の日本の入試は、ガラパゴス化しています。
 日本だけに通用する学校の序列をもとに、入試だけに通用する難問が出されています。
 その難問を解く力は、思考力ではありません。難問の解法を知識として詰め込むことです。
 だから、子供の本当の成長を望むならば、入試向けの勉強は短期間に集中して取り組むことです。
 そして、その代わりそれまでの日常的な勉強は、読書と作文と親子の対話を中心にしていくといいのです。
テレビとインターネットを消して、読書と作文の時間の確保を
 作文の電話指導をしていると、たまに、電話のうしろでテレビがガンガン鳴っていて、家族の誰かがテレビを見ているという家庭に遭遇することがあります。
 そういう子は、電話指導のあとも、そのテレビの音声の中で作文を書くわけですから、まともに書けるはずがありません。
 人間がものを考えるときは、左脳の言語脳を使うので、人の話し声があるところでは文章を書くような高度な思考作業はできないのです。
 また、テレビをつけっぱなしにしているような家庭は、全体に子供の生活がルーズになっています。
 きちんとした家庭では、テレビを見る時間は、1週間で何時間というように決めていて、見たい番組を子供との相談の上で絞っているものです。
 テレビ、ゲーム、インターネット、スマホ、漫画などに共通するものは、惰性で見てしまうことがあるということです。
 しかし、これらを禁止することはよくありません。親の力で禁止してしまうと、子供に自分でコントロールする力がつかないからです。
 ある一定の制限を自分で決めて利用するというのは、口で言うほど簡単ではありませんが、そういう苦労を親子で一緒にすることで、子供に少しずつ自分で生活をコントロールする力がついてきます。
 そのためには、まず親が子供の生活環境を整えてやることです。
 その第一歩が、勉強中や食事中はテレビは消しておくということです。
 そして、第二歩が、毎日必ず本を読む時間を確保するということです。
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 日本人は、話し声も自然の音も左脳で処理します。だから、集中して考える勉強をするときは、音のないところでする必要があります。高学年の作文は、集中して考える勉強ですから、静かな環境でやる必要があります。
 しかし、小中学生のうちは、自分の部屋で勉強すると、勉強に身が入りません。リビングで、みんなのいる中で勉強した方が集中して取り組めるのです。
 ところが、リビングにテレビがあり、弟や妹がテレビを見ていると、やはり勉強には集中できません。そういうときは、テレビの音声が外に漏れないように、ヘッドホンで聞くようにするといいのです。今は、分岐ケーブルで複数のヘッドホンがつなげられますし、無線のヘッドホンもあります。
 このヘッドホンでテレビを見るというのは、赤ちゃんのいる家庭でも有効です。幼児期には、テレビのような機械の音声はできるだけ触れさせない方がいいので、テレビを見たい人だけがヘッドホンで聞きながらテレビを見るようにするといいのです。
 ヘッドホンの代わりに、勉強する人がイヤーマフをつけるという手もあります。イヤーマフと耳栓を組み合わせると、近くの話し声でもほとんど聞こえなくなります。
 音と集中力の関係は、子供本人にはよくわからないので、親が子供の勉強の環境を工夫してあげる必要があります。
「勉強は話し声のないところで、テレビはヘッドホンで」
https://www.mori7.com/index.php?e=2335
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コメントより
・毎日決まった時間に勉強をさせたいと思ったら、アラームをセットしておけばいいのです。
 小さい子供がいるときに見たいテレビ番組があったら、ヘッドホンをすればいいのです。
 そういうちょっとしたツールを利用するのが、現代文明の中で生きるコツです。
・テレビやゲームやインターネットやスマホが悪いわけではありません。
 それだけになってしまうところに問題があるのです。
 だから、読書の時間を必ず確保することです。そして、できれば作文の時間も。
 読書と作文の時間が確保できれば、それに応じてほかの時間も惰性に流されなくなります。
 これは、大人も同じです。
明日の教育と今日の教育を両立させる勉強を――はせくらみゆきさんの「チェンジ・マネー」を読んで
 1年ほど前、山内尚子さんの話を読んで感動したので、山内さんが代表となっている「きれい・ねっと」の会員になりました。会員と言っても、年間2000円の会費を払うだけですので大したことではありません。
 しかし、わずか2000円の会費なのに、文心という通信がときどき届き、いつも心が洗われるようなメッセージをいただきます。
 その通信の中に、「きれい・ねっとで出している本を1冊無料で送ります」という申し込みの紙が入っていたので、前から少し気になっていた「チェンジ・マネー」を注文しました。
 土曜日の夕方、その本と、長谷川慶太郎さんの「大転換」と、野口悠紀雄さんの「ブロックチェーン革命」と、月間「ザ・フナイ」が一緒にどさっとポストに届いていました。
 「チェンジ・マネー」は、船井勝仁さんとはせくらみゆきさんの共著です。
 ちょうど昨日、1月29日(日)は、朝10時から夕方5時半まで船井総研のセミナーがあったので、それに行く途中の電車の中で読むために、「大転換」と「チェンジ・マネー」と「ブロックチェーン革命」をリュックに入れました。
 行きの電車の中で、「大転換」を読み、帰りの電車の中で「チェンジ・マネー」を読むことができました。「ブロックチェーン革命」は読み切れないまま持って帰ってきました。ただ重かっただけです。
 それらの本のほかに、出かける前にポストに入っていた日経と朝小と毎小の新聞も読み、キンドルに入っていた日下公人さんと安保徹さんの本もちょっと読んだので、行き帰りの約1時間の電車の中は、なかなか有意義に過ごせました。
 もちろん、それ以上に、肝心の船井セミナーは更に有意義な時間でした。あとで数えてみたら、ノートに8枚もびっしりメモを書いていました。
 と、長い前書きのあとで(笑)
 その「チェンジ・マネー」を読んで考えたことです。
 はせくらさんは、ひとりの母親という立場から、子供たちに「お金」の本当の姿を伝えたいと考えたそうです。
 そして、お金のもともとの役割は、「感謝を伝える表現手段」だとわかったということでした。
 この話に、私は全面的に納得しました。
 世の中は、競争と勝敗の世界から、次第に共感と創造の世界に移っていきます。
 この世界に対する意識の変化に応じて、お金の役割も確かに変わっていくだろうと私も思います。
 多くの人は、そういうことを夢物語のように考えていると思いますが、私はかなり早くそういう時代が来ると思っています。
 そのひとつの大きなきっかけになるものがフリーエネルギーです。これも、夢物語のように言われていると思いますが。
 世の中にある物やサービスの値段は、結局エネルギーの値段に還元されるものですから、エネルギーがフリーになれば、物やサービスには、そのことに関わる人間の労働や人間の工夫以外の値段はなくなります。
 こういう世の中では、人は何のためにお金を使うかと言えば、感謝の気持ちを表す手段としてお金を払うということになるのです。
 そういう時代で、人が労働する動機は、お金を稼ぐためではありません。人に喜ばれることをしたいということが動機となって仕事が行われるようになります。そして、その労働への感謝としてお金が流通するのです。
 そして、本当に喜ばれることは、自分が犠牲になって人の嫌がることをすることではありません。そういう仕事も一部には一時的に残りますが、本質的な喜びは創造によってもたらされます。
 自分らしいものを創造することが、他の人の喜びになるような形で、世の中の産業とお金が回っていくようになるのです。
 近い未来に、こういう世の中が来るだろうことを、私は確信していますが、しかし同時に、まだこのような社会になっていない現在でも、人間は生きていかなければなりません。
 明日よりよく生きると同時に、今もよりよく生きるという両方の選択をするのが現代という過渡期の時代なのです。
 それは、具体的には、喜ばれるために仕事をすると同時に、勝つために仕事をするということです。
 子供の勉強に関して言えば、創造と共感の人間らしい生き方をするために勉強をすると同時に、当面の受験を頂点とする試験教育に勝つために勉強をする必要もあるということです。
 この二つの水と油のような教育を両立させることは、私は十分に可能なことだと思っています。
 そのひとつの例が、数学者の岡潔さんのような勉強法です。岡さんは、学生時代、普段は自分の好きな勉強を楽しむためにやっていましたが、定期試験の前だけは短期間でその試験の出題範囲を全部覚えて好成績を上げていたそうです。
 創造的な仕事をしている人に、こういう勉強法をしている人は多いと思います。
 この正反対の勉強法が、普段から自分のあまり興味の持てない勉強を、苦しいのを我慢しながら早めに取り組んで、試験のためだけの勉強を長時間続けることです。
 これは、今日の勉強のために、未来の勉強を犠牲にしていることと同じです。
 未来の勉強のために、今日の勉強を犠牲にすることもいいことではありませんが、今日のために未来を犠牲にすることはもっと決定的によくないことです。
 最近の学習塾で行っている英語教育の中には、小1から英語の学習を始めて小2か小3のころまでに英検2級を取るというようなスケジュールのコースがあるそうです。そのために、家庭での保護者の協力による宿題が大量に出るのです。
 子供が自分で選んだわけではもちろんありません。親がよかれと思ってやっていることですが、この子たちが数年後、肝心の日本語がうまく使えなくなっていることに気づくことはほぼ確実です。日本語だけでなく、肝心の自由な遊びの時間なども制限されるでしょう。
 こういう勉強が、今日のために明日を犠牲にしている勉強です。
 普通の賢い母親は、小学校低学年のうちから子供を勉強漬けにするようなことはしません。しかし、自由放任で遊び放題というのでもありません。
 低学年のうちは、いつも言っていることですが、読書と対話と遊びと、自主的な勉強習慣をつけることを目標にしていくことです。そして、勉強は決して長時間やらせたり、難しいものをやらせたりするのではなく、基礎的な1冊を反復するという形で進めていくことです。
 平凡なことですが、これが、未来と今日を両立させる勉強の仕方です。
 そして、これもいつも言っていることですが、そのために、作文を勉強の中心として、読書と対話と遊びと日々の勉強を回転させていくのです。言葉の森では、そういう勉強の仕方をしている人がかなりいると思っています。
子育ての基本は、枝葉のことに目を奪われず、まず真の賢さを育てることから
 明治維新を担った青年たちが、子供時代に主に学んでいたものは四書五経でした。
 しかし、その青年たちが、ヨーロッパの文化に触れると、それまで全く知らなかった外国語や数学や科学の知識を短期間で習得し、日本の近代化を成し遂げたのです。
 それは、それまでの日本文化の中で育った真の賢さがその青年たちにあったからです。
 これと同じことが、現代の子育てについても言えます。
 大事なことは、賢い子に育てておくことであって、それさえできていれば、あとのことは必要に応じてどうにでもなるのです。
 特に、これからは、人工知能の発達によって、従来の知識とは異なるものが要求されるようになります。
 どういう知識が必要となるかは、そのときになってみないとわかりません。
 しかし、賢ささえ身につけておけば、何が必要になってもそのときにその必要に応じて対応できます。
 今は、いろいろな教育サービスが提供されるようになっているので、子供はその目新しさにひかれて興味を持つことがあります。
 最近話題になっているのは、プログラミングや英語です。
 これは、もちろん子供の興味に応じてやっていっていいのです。
 ほかにも、速読とか論理の勉強とか、ユニークなものもあります。また、昔からの定番になっているスポーツや音楽もあります。
 それらは、いずれも子供の興味や関心に応じてやっていっていいのです。
 しかし、それは裏返せば、特にやらなくてもいいものなのです。
 確かに、人とは違った勉強を早めにやっておくと、それが得意になり、その分野で自信を持てるようになります。
 しかし、それは単なる気持ちの問題です。
 自信が持てるから更にがんばるのであって、早めの知識や技術の習得自体が役に立っているのではありません。
 例えば、小さいころから英語の勉強をしている子が、中学生になった最初のころは英語が得意なのですが、夏休みごろからだんだんとみんなが追いついてくるようになると、結局みんなと同じようなところに落ち着くと言われています。
 早めにやったかどうかということよりも、その時点で努力できているかどうかの方が大事なのです。
 枝葉の目新しさに目を奪われるのは子供の特徴です。
 人生経験のある大人は、そういうところではなく、本質的に大事なことに目を向けていくことです。それが、真の賢さを育てることです。
 真の賢さをそだてるというのは、平凡なことの積み重ねです。それは、読書と対話と自由な遊びです。
 そして、同じ読書でも、子供の楽しく読める範囲での難しい読書を心がけることです。
 対話も同じです。子供が楽しくできる範囲での難しい対話をしていくのです。
 そして、遊びも同じように、子供が楽しくできる範囲でのできるだけ創造的な遊びを工夫していくのです。
 こういう配慮が、大人の役割になると思います。
 更に言えば、こういう賢さを育てる勉強のきっかけとして、作文教育が役に立つのです。
 作文の勉強の準備として、課題の長文を読み、親子で対話し、いろいろな新しい経験をすることが子供の成長に役立っていくのです。

木切れを使ったレゴのような遊び――キギレゴ
 先日、ホームページに、子供の遊びのひとつとしてキギレゴというものを提案したことがあります。
 それは、子供たちの紹介してくれる遊びにレゴがとても多かったからです。
 レゴは、1箱2000円とか3000円とかするので、結構高額です。
 サンタさんがクリスマスプレゼントに持ってきてくれるぐらいの豪華なおもちゃです。
 そこで、考えたのが、木切れを使う方法です。
 ここに写真で表示した木切れは、いろいろなサイズのものが80ピースぐらい入って400円ちょっとです。もしこれを2000円分買ったら、かなりボリュームがあります。
△木材ブロックセット
http://amzn.asia/alYrjvC
 このふんだんに使える木切れを、両面テープを使ってくっつけるのです。
 最近は、片手で操作できる使いやすい両面テープが出ています。薄いテープなので、かなり長く使えます。
 下の写真にあるテープのりは、1個200円ぐらいで、27m分も使えると書いてありました。
 なぜ、こういうキギレゴのようなものを考えたかというと、答えがある遊びは最初は魅力的に見えても、飽きるのも早いからです。
 それに対して、答えがない遊びは、最初は魅力的には見えませんが、飽きずにずっと遊べることが多いのです。
 もちろん、どちらか一方があればいいというのではありません。
 勉強と同じで、答えのある勉強も、答えのない勉強もどちらも大切です。
 しかし、現代社会では、答えのない遊びや勉強の方に重点を置いた方が、ちょうどバランスがとれると思ったのです。
△テープのり(コクヨ、トンボ、プラスなどからいろいろな製品が出ています。写真はコクヨのドットライナープチ)
http://amzn.asia/3UTkzeO
△キギレゴの作り方
コメントより
・木切れを使った遊びのよいところは、材料がふんだんにあることです。
 そして、既成の遊びよりも、答えがないので、自由な発想ができることです。
 大人が手間や費用をかけない方が、よいものができることも多いのです。
・レゴで遊んでいる子がとても多かったので、木切れを使った遊びを考えてみました。
 これなら材料はふんだんにあります。
 しかも、遊びの自由度が高いので、想像力がふくらみます。
 いつか、キギレゴ作品発表会をやろうと思っています。
成績は短期間で上がるが学力は知的な家庭生活の中で徐々に上がる
 夏休み1ヶ月の猛特訓で秋から成績が急上昇、ということはあり得ます。
 しかし、同じ夏休み1ヶ月の猛特訓で、秋から作文が見違えるほど上手に、ということはありません。
 勉強の成績は知識として身につけるものなので短期間で上がりますが、作文のような学力に属するものは考える力を必要とするので上達に長い時間がかかるのです。
 勉強にももちろん考える要素があります。しかし、成績を上げるコツは、その考えて解く解き方を知識として覚えることです。だから、短期間で成績は上がります。
 一方、作文も、短期間で上手になることはあります。しかし、それは作文力が上達したからではなく、本人の作文を書く意欲が増したからです。
 だから、意欲的に書く回数が増やすことは大事ですが、作文力をつけることはそれとはまた別の長い時間が必要なのです。
 では、長い時間を必要とするその学力は、どこで育つのかと言えば、それは家庭での生活によってです。
 学校で国語の勉強を毎日1時間やっているとしたら、1年間でずいぶんたくさん勉強をしたように思えます。しかし、国語力は実際には、家庭での読書によって育ちます。
 読書好きな子が家で毎日1時間本を読み、読書嫌いな子が家ではほとんど本を読まないとしたら、1年間でついたその差を学校や塾の勉強だけで補うのはほぼ不可能です。こういう生活の差が学力の差になっているのです。
 「学力の経済学」という本では、就学前教育の大切さが書かれています。
 4歳の子に、毎日2.5時間読み書きを教え、週に1回90分の家庭訪問をしたところ、その子たちが社会人になったときに、そういう教育を受けなかった子供たちに比べて、仕事や収入の面で大きな差があったというのです。
 著者は、それを具体的な数字で、4歳のころの100円の投資が、65歳には6千円から3万円になっていたと書いています。
 この教育による影響力を、著者は、先生の教育力として述べていますが、私は、毎日の2.5時間の先生が教えた勉強よりも、週に1回90分の家庭訪問による家庭の変化の方が大きかったのではないかと思います。
 私立の小中高一貫校で、大学入試の結果を出すのは主に高校から入学した生徒だというのは、よく聞く話です。学校の教育力はもちろんありますが、その土台となっているのは家庭での生活の中における教育力です。
 そして、その家庭での教育力は、成績よりもむしろその子が成長したあとの社会生活の中に現れてくるものなのです。
コメントより
・ときどき、「偏差値が○○も上がった」などという話を聞きますが、それは成績が上がったのであって、学力が上がったのではありません。
 成績は主に知識によるものですから、短期間で上がることは十分にあります。
 受験期の勉強は、成績を上げることを重点にしていく必要があります。
 しかし、普段の勉強は成績よりも学力をつけることを重点にしていく方がいいのです。
・勉強の成績は、次の学期からすぐに上がるということはありますが、作文はそういうことはありません。
 作文は、忘れたころに上がるのです。天災みたいですが。
 
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