長文集  12月3週  ★日本の大地に(感)  tu-12-3
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2012/06/15 08:09:23
 【1】日本の大地に根をおろしたいねは、
たくさんのみのりをあげてくれました。たく
さんとれれば倉庫にたくわえ、保存すること
ができました。
 人口もふえていきました。【2】すこしば
かり異常気象がきて も、もう以前のように
、餓死するようなことは、すくなくなってい
ったからです。
 人口がふえれば、もっとおおぜいの力をあ
わせることができました。いままでよりも大
きな川から、水を引くことができました。【
3】もっとたくさん、水田をひらくことがで
きました。すると、もっとたくさんお米をつ
くることができました。
 倉庫のたくわえも、どんどんふえていきま
した。
 【4】こうして、十人の人をやしなうのに
、八人の労働でまにあうようになったとき、
あとのふたりは王や貴族になることができま
した。宗教家になり、芸術家になり、学者や
技術者や医者になり、商人になることができ
ました。
 【5】余分のお米があれば、よその村でつ
くったべつの品物と、こうかんすることもで
きました。米づくりのための道具、くわやす
きや、道具をつくるための鉄などと、こうか
んすることもできました。布や着物とこうか
んすることもできました。【6】神に祈りを
ささげるためのまが玉や、首かざりや、その
原料の石ともこうかんすることができました
。金、銀、銅などのたからものや、動物の毛
皮とも、こうかんすることができました。
 米を運ぶための船。その船ともこうかんす
ることができました。
 【7】食糧がたくさんとれるということは
、なんとすばらしいことでしょう。
 毎年毎年おなじように、つくれるというこ
とも、なんとありがたいことでしょう。
 そして、保存できるということも、なんと
たいせつなことでしょう。
 【8】文明というものは、このようにして
しだいしだいに発達していったのです。村々
も、しだいしだいに大きくなっていったので
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す。
 「農業は文明の母である。」といわれてい
ます。それは、このような意味からです。∵
 【9】さて、米づくりがさかんになるとた
くわえのある村とそうでない村との差ができ
るようになりました。たくわえのある大きな
村がまずしい小さな村をのみこんで、より大
きな村になっていきました。戦争です。
 【0】米づくりのための水。そのいのちの
水をもとめて、どれほどたくさんの水あらそ
いが、くりひろげられたことでしょう。ゆた
かな水源を手にいれた村は、よりゆたかに、
より大きくなることができました。
 佐賀県の吉野ヶ里(よしのがり)遺跡から
は、矢の刺さった人骨や、頭のない人の骨な
どが出土しています。水をもとめて、きっと
はげしい戦争がくりかえされたにちがいあり
ません。
 こうして、力の強い大きな村が力の弱い小
さな村をのみこんで、より大きな村になって
いきました。大きな村々がやがてひとつにな
って小さな王国になっていきました。
 六世紀ごろまでに日本のあちこちに、そん
な小王国がいくつもできるようになり、それ
はやがてひとつに統一されて、「日本」とい
う国がつくられていくのです。

 (富山和子著「お米は生きている」より)