長文集  12月1週  ファイト! 朝練  tu-12-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/04 15:10:03
【1】「浅野たちのチームは今、燃えている
。」
 山口先生の声が教室に響き渡った。今日の
朝の会で、私たちDチームはみんなの前でほ
められた。私たちの学校では、四年生になる
と女子はミニバスケットのクラブ活動があり
、毎日放課後、体育館で練習をしているのだ

 【2】Dチームは、上から四番目のチーム
で、公式試合(じあ い)には出られない。
練習の時も、ゴール下はなかなか使えず、パ
ス練習が多い。Cチームを負かして、自分た
ちがCチームになれば試合に出られるのだが
その壁は厚かった。
 【3】チームの五人のうち、三人は
「どんなにがんばったって、試合になんか出
られないし。」
「先生もコーチも、A、Bチームばかり力を
入れているみたいだ し。しかたがないけど
。」
という感じで、なんとなくやる気が出ない様
子だった。
 【4】キャプテンである私と、副キャプテ
ンのみちるちゃんは、何とかがんばってCチ
ームに昇格したいと思っているけれど、チー
ムワークが今ひとつなので、うまくいかない
のだ。私たち二人しか来ない日もあって、E
チームに混じって練習試合(じあい)をした
くらいだ。【5】私も少しあきらめかけてい
た。
 ところが、先月のことだ。みちるちゃんが

「ねえ、このままじゃ、いつかEチームにも
抜かされてしまうか も。がんばって、朝練
しない?」
と言い出した。みんな一瞬、えーっという迷
惑そうな顔をした。
 【6】しかし、みちるちゃんはひるまず、
強い意志のこもった目でみんなを見つめ、
「私たちだって、試合に出たいよね?」
と問いかけた。私が思わず、大きくうなずく
と、他の三人もつられたように首をたてにふ
った。∵
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 次の日から、三十分の朝練が始まった。【
7】三十分早く来るのも実は大変だ。特に朝
が弱い私とふくちゃんは、朝ごはんもそこそ
こに、髪の毛がはねたまま走って登校するよ
うなあわただしさだった。
「朝練前にランニングしちゃうようなものだ
ね。」
 誰もいない早朝の体育館は、すべてが私た
ちのものだ。【8】シュート練習が思う存分
できるし、ドリブル練習も何本もできる。声
が響くのでいやでもテンションが上がってい
く。一日目にして、私は、これはいけるかも
しれないと思った。なんだか昨日までのDチ
ームではないみたいだ。
 【9】翌日からは、山口先生がのぞきに来
た。あいさつだけすると、体育館の入口で黙
って見ている。ふくちゃんのロングパスを取
りそこねた私に、先生は転がったボールを拾
うと、強めのチェストパスで渡してくれた。
【0】

(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 
φ)