長文集  11月3週  ★第四に、お米は(感)  tu-11-3
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/11 09:22:29
 【1】第四に、お米はせまい土地でも、た
くさんつくることができました。そのうえ、
毎年毎年おなじように、つくることができま
した。
 土は生きものです。つかえば、そのぶんや
せていきます。
 【2】たとえばヨーロッパでは、小麦をつ
くります。でも、毎年毎年おなじ畑につくる
ことはできません。一年畑をつかったら、あ
との二年は牧草地にしたり、肥料になる作物
を植えたりして、土地を休ませます。そんな
ふうにして土の力を回復させてから、つぎの
年、また小麦を植えるのです。
 【3】ところが日本ではおなじ土地に、毎
年毎年、お米がつくれます。もう二千年も、
それ以上もの年月、そのようにして米づくり
がつづけられてきたのです。日本へきたヨー
ロッパの専門家たち は、「信じられない。
」と、びっくりするほどです。
 【4】そのひみつは水田の「水」にありま
す。水田に引かれる水には、川が山から運ん
できた森林のゆたかな土の養分がふくまれて
いて、たえず土をおぎなってくれたからでし
た。
 第五に、お米は、おいしかったのです。
 【5】お米そのものがおいしいから、おか
ずをあまり気にせずにすみました。梅干しや
、ほんのわずかのつけものなどがあれば、ご
はんを食べるだけで十分満足できました。
 こんなにもたくさんの、長所をもっている
お米。
 【6】ですからお米は、いまも、「世界の
あらゆる食糧の中で、もっとも理想的なもの
。」といわれています。
 そんなすばらしいいねが、やってきたので
す。
 縄文時代のおわりごろのことでした。
 いねは、海のむこうから、やってきたので
した。
 【7】お米には大きくわけて、ジャポニカ
とインディカという二つの種類があります。
まるくてねばりがあるのがジャポニカで、わ
たしたちの食べているお米です。これに対し
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て、長くてばさばさしているのがインディカ
で、日本以外の多くの人たちが、食べている
お米です。∵
 【8】そのジャポニカのふるさとは、中国
の長江(ちょうこう)(揚子江)の流域だと
みられています。
 中国の古都、紹興の近くに、河姆渡遺跡と
いう遺跡があります。【9】この遺跡からは
七千年もむかしのいねが発見されているので
す。ですから、このあたりでつくられていた
いねが東へ東へと伝えられ、人と技術といっ
しょに海をわたって、日本へやってきたのか
もしれません。【0】

 (富山和子著「お米は生きている」より)