長文 10.2週
1. 宮崎みやざきけんにある幸島こうじまは小さな無人島むじんとうです。このしまには百ぴき余りあま さる生息せいそくしています。ある日のこと、イネという名の若いわか メスざるが川の水でイモを洗っあら 食べた ました。すると、ほかのさるたちも次々つぎつぎとイモを洗っあら 食べるた  ようになりました。これまでは、すななどのよごれのついたイモをそのまま食べた ていたさるたちは、「イネのまねをして食べるた  とおいしいね。」と思っおも たことでしょう。しばらくして、イネは、川の水ではなくうみの水でイモを洗うあら ことを思いつきおも   ます。うみの水で洗うあら と、塩味しおあじがついてもっとおいしくなるのです。それを見ていたほかのさるたちも、イモを海水かいすい洗うあら のはいいものだと、イネと同じおな ように海水かいすいでイモを洗うあら ようになりました。 
2. 幸島こうじまさるたちがみなイモを洗っあら 食べるた  ようになると、不思議ふしぎなことに、大分おおいたけん高崎山たかさきやまさるたちもイモを洗いあら 始めはじ ました。高崎山たかさきやまさるばかりではありません。遠くとお 離れはな 土地とちしまにすむさるたちもイモを洗っあら 食べるた  ようになったのです。もちろん、これらのさるたちは、幸島こうじまさるたちがイモを洗うあら ところを実際じっさいに見たわけではありません。しかし、いろいろな場所ばしょにすむさるたちが申し合わせもう あ  たかのようにイモを洗いあら 始めはじ たのです。これは、イモを洗うあら さる一定いっていかず達するたっ  と、その行動こうどう距離きょりをこえて、ほかの集団しゅうだんにも伝染でんせんしたためではないかと言わい れています。
3. これと現象げんしょうは、人間にんげん社会しゃかいにもあります。なに新しいあたら  発明はつめいをした人がいると、ちょうど同じおな ころ世界せかいのほかの場所ばしょでも同じおな 発明はつめいをしている人がいたということがよくあります。

4. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(Λ)