長文集  10月2週  宮崎県にある幸島は  tu-10-2
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/04 17:02:42
 宮崎県にある幸島は小さな無人島です。こ
の島には百匹(ぴき)余りの猿が生息してい
ます。ある日のこと、イネという名の若いメ
ス猿(ざる)が川の水でイモを洗って食べま
した。すると、ほかの猿たちも次々とイモを
洗って食べるようになりました。これまで 
は、砂などのよごれのついたイモをそのまま
食べていた猿たちは、「イネのまねをして食
べるとおいしいね。」と思ったことでしょ 
う。しばらくして、イネは、川の水ではなく
海の水でイモを洗うことを思いつきます。海
の水で洗うと、塩味がついてもっとおいしく
なるのです。それを見ていたほかの猿たちも
、イモを海水で洗うのはいいものだと、イネ
と同じように海水でイモを洗うようになりま
した。 
 幸島の猿たちがみなイモを洗って食べるよ
うになると、不思議なことに、大分県高崎山
の猿たちもイモを洗い始めました。高崎山の
猿ばかりではありません。遠く離れた他の土
地や島にすむ猿たちもイモを洗って食べるよ
うになったのです。もちろん、これらの猿た
ちは、幸島の猿たちがイモを洗うところを実
際に見たわけではありません。しかし、いろ
いろな場所にすむ猿たちが申し合わせたかの
ようにイモを洗い始めたのです。これは、イ
モを洗う猿が一定の数に達すると、その行動
が距離をこえて、ほかの集団にも伝染したた
めではないかと言われています。
 これと似た現象は、人間社会にもあります
。何か新しい発明をした人がいると、ちょう
ど同じころ世界のほかの場所でも同じ発明を
している人がいたということがよくあります


 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(
Λ)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38