テイカカズラ の山 2 月 1 週
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○自由な題名
○節分、マラソン
★ランニングをしたこと、楽しい夕食

お母さんのいない節分
 【1】ぼくは、学校では体も大きいほうだし、声も大きいからちょっといばっています。ドラえもんに出てくるジャイアンみたいだと悪口を言う子もいるくらいです。今はもう、四年生だから、最近はあまりしないけれど、低学年のころはしょっちゅうケンカをして、友達を泣かせていました。【2】それに大きい兄さんがニ人もいるので、みんなよりいろいろな遊びや情報も知っていて、そういう点でもクラスの中ではちょっとリーダー的な存在かもしれません。
 しかし、うちでは「末っ子の甘えん坊」と言われています。【3】兄さんニ人は年が近いのですが、ぼくは下の兄さんより八歳も下なのです。だから、もう十歳を過ぎたのにときどき赤ちゃん扱いされます。特に、お母さんは、
「ひろちゃんはまだ小さいから。」
と、口ぐせのように言います。【4】もうとっくに背はお母さんを追い越しているのにです。
 先月の終わりごろ、真ん中の兄さんが、
「ひろさあ、母さん病院だし、今年は節分やらなくてもいいよな。」
と、ぼそっと言いました。【5】お母さんは、年末に具合が悪くなって、緊急手術をし、今も入院しています。お医者さんから、病気の名前やどんな病気かを聞いたけれど、むずかしくてよくわかりませんでした。それより、病気になった理由が「働きすぎ」だったのではないかと気になっています。【6】もともとあまり体がじょうぶではなかったのに、三人も男の子を生んで育てているので、とても大変だったのだと思います。いつも、お母さん、もっと休めばいいのになあと思っていたのに、あまり休めないから、無理がいったのだと思います。
 【7】ぼくは心の中で、節分をやらないと幸せな一年が過ごせないかもしれないと思い、少し心配になりましたが、
「うん、そうだね。おれは学校でも豆まきあるからいいし。」
と、強がって言いました。すると兄さんは、うなずいてバイクででかけてしまいました。∵
 【8】それなのに三日の夜になって、突然バタバタと兄さんたちが帰ってきて、ぼくにマスに入った豆をもたせると、
「さあ、ひろ、かかってこい。」
と言うのです。マジックで雑に描いた鬼のおめんをつけています。【9】ぼくは、大きな声で、
「鬼は、外、福は、うち。」
と、兄さん鬼に豆をぶつけました。鬼は外、お母さん帰ってきて。心の中でそう叫ぶと、涙がぽろりとこぼれそうになり、ぼくはあわてて目をこすりました。【0】

(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 φ)