1. 時計が
動くには電池が
必要なように、
私たちが生きて
活動するためには、エネルギーが
必要です。そのエネルギーを、
私たちは
ご飯を食べることで体に
取り込んでいます。お米やパンの中に多く
含まれているデンプンは、
糖質と
呼ばれるものの
仲間で、人間の体の
大事な
栄養の
素です。
砂糖も、この
糖質の
仲間です。デンプンも
砂糖も、いちばん小さい
単糖類というのものに
分解されて体に
吸収され、
私たちのエネルギーになりますが、
脳や
神経は、
単糖類の
一種である
ブドウ糖だけしかエネルギーとして
利用できません。つまり、
脳や
神経を
働かせるために、
糖質はなくてはならないものなのです。
脳や
神経は、
砂糖のおかげで、さっと
動くことができるというわけです。
2.
最近では「太る」とか、「
糖尿病になる」とか、「
虫歯になる」などと言われて、ちょっと
悪者扱いの
砂糖ですが、じつは
私たちにとってはなくてはならない
調味料です。
昔のヨーロッパでは、
栄養豊富な
薬として
使われていたこともありました。
昔、
砂糖は、
現在の
石油のように
輸入しなければならない
高価な
食品だったのです。また、日本でも、
江戸時代ごろから
砂糖を
輸入し
始めましたが、
最初のころ、
砂糖はやはり
薬として高い
値段で
輸入されていました。
3. どうして
砂糖を
輸入しなければならなかったかというと、
砂糖は
最初、サトウキビから作られていたからです。サトウキビというのはイネ科の
植物で、
熱帯や
亜熱帯などの
暑い地方でしか
栽培できないので、ヨーロッパなどでは作ることができませんでした。日本では、
現在は
沖縄と
南西諸島で作られています。
4. サトウキビは、高さが人間の
背の
倍ぐらい、
茎の太さが手首ぐらいの、竹とススキを足して二で
割ったような
姿をしています。
5. サトウキビは
暑い地方でしかとれなかったので、ヨーロッパで力∵のあったスペインやポルトガル、イギリスやフランスなどは、そういう
暑い地方を自分たちの
植民地にしました。そして、その地方の人々や、アフリカから
奴隷として
連れてきた人たちを
働かせて、
砂糖を作らせたのです。
6. しかし、そういう
植民地を
持たない国は、サトウキビ
以外のものから
砂糖を作る
研究を
進めました。そして、今のドイツであるプロイセンの
研究者が、サトウダイコンにも
砂糖が
含まれていることを
発見しました。フランスのナポレオンがサトウダイコンの
栽培に力を入れると、
砂糖はヨーロッパ中に広まりました。
7. サトウダイコンは、テンサイやビートとも
呼ばれ、カブに
似た
植物で、この
根から
砂糖をとることができます。サトウキビと
違って、
涼しい気候でよく
育つので、日本では北海道で
栽培されています。ロシア
民話に出てくるカブは、たいていはこのサトウダイコンのことです。
8.
現在、
砂糖の
約七
割は、やはりサトウキビから作られています。
残りの三
割が、サトウダイコンから作られています。また、サトウカエデの
幹に
穴を
開け、そこから出てくる
液を
集めて
煮詰めたものがメープルシロップで、カナダのものが
有名です。
9. 「
宿題しなさい。」と言われて、「ちょっと
待って。おやつを食べてから。」というのは、
脳に
栄養を
与えてよく
働くようにするという
意味で正しいことです。「
腹が
減っては
戦はできぬ」と言いますが、それは
脳にとっても同じです。
10.
砂糖は今、サトウキビやサトウダイコンやサトウカエデから
取れますが、
将来、
品種改良が
進んで、ニンジンやゴボウやショウガからも
取れるようになるかもしれません。
11.「どうですか。ショウガさん。」
12.「さあ、どうでしょうが。」
13.
言葉の森
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