1.
約六千五百万年前に
恐竜が
絶滅すると、
哺乳類が
急速に
繁栄しはじめました。
最初の
哺乳類は、今のネズミに
似ていました。
哺乳類は、
体温を
一定に
保つしくみを体の中に
持っていたので、いろいろな
環境で
暮らすことができ、多くの
種類に分かれていきました。
2. アフリカでは、サルの
仲間である
霊長類が、さまざまな
進化をしていきました。その中でも、森の中で
暮らしていた
霊長類が、
私たち
人類の
祖先だと言われています。
彼らは、
果物などを食べて、一日のほとんどを木の上で
過ごしていました。木の上は
食料がたくさんあり、
猛獣から
身を
守るのにも
都合がよく、
暮らしやすい
場所だったと考えられます。
3. 森の木の上に
住んでいた
霊長類が、どのようにして
人類の
祖先に
進化したのでしょう。これについては、
次のような
説があります。
4. ちょうどこのころ、火山が
活発に
活動し、大きな
地震が
起こり、アフリカ
大陸を南北に
貫く「アフリカ大
地溝帯」が
形成されました。
富士山よりも
標高の高い、長い
山脈ができたことによって、その
東側はだんだん
乾燥し、もともとジャングルだった
場所が草原に
変わっていきました。
5. 草原で生きていくために、
霊長類は木から下りなくてはなりませんでした。
豊かな森と
比べると、草原は
食料が少ない上、
猛獣にも見つかりやすく、おそわれる
危険がありました。
獲物をつかまえたり、
敵をいち早く見つけて
逃げるためには、より遠くを
見渡す必要があったのでしょう。草原で生活を
始めた
霊長類は、二本足で立って歩き
始めました。これが
人類の
祖先です。
6. 直立二足歩行を
始めたことで、
人類の
祖先は、ほかのサルとは明らかに
違う道を歩み
始めました。
彼らは、
自由になった前足を∵手として
使うことができるようになりました。今から三百万年前の
猿人、アウストラロピテクスは、
石器を
使っていました。これが
道具の
始まりです。また、
約五十万年前の原人は、火を
使って生活していたことがわかっています。その後に
出現した
旧人のネアンデルタール人は、
死者を
埋葬する
習慣がありました。
7.
約四万年前に生活していた新人のクロマニヨン人は、
現在の
人類とほとんど
変わらない
姿をしていました。
彼らはすでに
言葉を話し、
協力して
狩りや
漁をして
暮らしていたのです。クロマニヨン人は、ナイフ、刀などの
石器や、
美しく彫刻された
骨角器を作り、
槍や弓矢を
発明して
集団で
狩りを行なっていました。わなをしかけることで、マンモスやシカなどの
巨大な
獲物もつかまえることができました。
彼らの
暮らしていた
洞くつには、今も、
狩りの
成功を
祈って
描いたと思われる
動物の絵が
残っています。
8. このように、アフリカ大
地溝帯の
東側の
厳しい環境が、
人類の
祖先を生み出しましたが、
西側ではどうだったのでしょうか。
食料が
豊富なジャングルの中で
暮らしてきた
霊長類は、
現在まであまり
変わらない
姿を
保ってきました。これが、ゴリラ、チンパンジー、ボノボなどの、
人類と
最も似かよった
生物とされている
類人猿です。
9. 人間は木から下りることによって、サルと分かれました。しかし、今でも
昔の
時代が
懐かしくなることがあります。公園の木を見るとふと
登りたくなったり、木の上でキャッキャッと
叫んでみたくなったりするのはそのためです。
10.
言葉の森
長文作成委員会(κ)