長文 2.4週
1. やく六千五百万年前に恐竜きょうりゅう絶滅ぜつめつすると、哺乳類ほにゅうるい急速きゅうそく繁栄はんえいしはじめました。最初さいしょ哺乳類ほにゅうるいは、今のネズミにていました。哺乳類ほにゅうるいは、体温たいおん一定いってい保つたも しくみを体の中に持っも ていたので、いろいろな環境かんきょう暮らすく  ことができ、多くの種類しゅるいに分かれていきました。
2. アフリカでは、サルの仲間なかまである霊長れいちょうるいが、さまざまな進化しんかをしていきました。その中でも、森の中で暮らしく  ていた霊長れいちょうるいが、わたしたち人類じんるい祖先そせんだと言われています。彼らかれ は、果物くだものなどを食べて、一日のほとんどを木の上で過ごしす  ていました。木の上は食料しょくりょうがたくさんあり、猛獣もうじゅうから守るまも のにも都合つごうがよく、暮らしく  やすい場所ばしょだったと考えられます。
3. 森の木の上に住んす でいた霊長れいちょうるいが、どのようにして人類じんるい祖先そせん進化しんかしたのでしょう。これについては、つぎのようなせつがあります。
4. ちょうどこのころ、火山が活発かっぱつ活動かつどうし、大きな地震じしん起こりお  、アフリカ大陸たいりくを南北に貫くつらぬ 「アフリカ大地溝ちこうたい」が形成けいせいされました。富士山ふじさんよりも標高ひょうこうの高い、長い山脈さんみゃくができたことによって、その東側ひがしがわはだんだん乾燥かんそうし、もともとジャングルだった場所ばしょが草原に変わっか  ていきました。
5. 草原で生きていくために、霊長れいちょうるいは木から下りなくてはなりませんでした。豊かゆた な森と比べるくら  と、草原は食料しょくりょうが少ない上、猛獣もうじゅうにも見つかりやすく、おそわれる危険きけんがありました。獲物えものをつかまえたり、てきをいち早く見つけて逃げるに  ためには、より遠くを見渡すみわた 必要ひつようがあったのでしょう。草原で生活を始めはじ 霊長れいちょうるいは、二本足で立って歩き始めはじ ました。これが人類じんるい祖先そせんです。
6. 直立二足歩行を始めはじ たことで、人類じんるい祖先そせんは、ほかのサルとは明らかに違うちが 道を歩み始めはじ ました。彼らかれ は、自由じゆうになった前足を∵手として使うつか ことができるようになりました。今から三百万年前の猿人えんじん、アウストラロピテクスは、石器せっき使っつか ていました。これが道具どうぐ始まりはじ  です。また、やく五十万年前の原人は、火を使っつか て生活していたことがわかっています。その後に出現しゅつげんしたきゅう人のネアンデルタール人は、死者ししゃ埋葬まいそうする習慣しゅうかんがありました。
7. やく四万年前に生活していた新人のクロマニヨン人は、現在げんざい人類じんるいとほとんど変わらか  ない姿すがたをしていました。彼らかれ はすでに言葉ことばを話し、協力きょうりょくして狩りか りょうをして暮らしく  ていたのです。クロマニヨン人は、ナイフ、刀などの石器せっきや、美しくうつく  彫刻ちょうこくされた骨角こっかくを作り、やりや弓矢を発明はつめいして集団しゅうだん狩りか を行なっていました。わなをしかけることで、マンモスやシカなどの巨大きょだい獲物えものもつかまえることができました。彼らかれ 暮らしく  ていた洞くつどう  には、今も、狩りか 成功せいこう祈っいの 描いえが たと思われる動物どうぶつの絵が残っのこ ています。
8. このように、アフリカ大地溝ちこうたい東側ひがしがわ厳しいきび  環境かんきょうが、人類じんるい祖先そせんを生み出しましたが、西側にしがわではどうだったのでしょうか。食料しょくりょう豊富ほうふなジャングルの中で暮らしく  てきた霊長れいちょうるいは、現在げんざいまであまり変わらか  ない姿すがた保ったも てきました。これが、ゴリラ、チンパンジー、ボノボなどの、人類じんるい最ももっと 似かよっに   生物せいぶつとされている類人猿るいじんえんです。
9. 人間は木から下りることによって、サルと分かれました。しかし、今でもむかし時代じだい懐かしくなつ   なることがあります。公園の木を見るとふと登りのぼ たくなったり、木の上でキャッキャッと叫んさけ でみたくなったりするのはそのためです。

10. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(κ)