長文集  4月3週  ★他の痛みは(感)  ma2-04-3
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2012/06/15 08:09:22
 【1】他の痛みは自分と「関係ない」とい
う心は、逆に、自分の痛みは痛がって、それ
を友や、親や、先生や、社会など、他の責任
にして八つあたりする心と、共存しているよ
うな気がします。【2】同じことでも、解釈
によって、自分の心を励ますこととできるの
に、いつも、悪く悪く解釈して、逆うらみや
、ねたみや、敵意でこわばってしまうのでは
、自分で自分の人間としての成長をはばんで
いるようなものです。【3】「それで、あな
たは幸福ですか。」そういう声が聞こえます
。「人のために何かする」という「何か」 
は、もとより「よいこと、役に立つこと」「
よろこびとなること」をさしています。【4
】どんな人の心の中にも、「人をよろこばせ
て自分もよろこぶ」人間らしいうれしい心が
あります。これは、「そんな気持ち、ちっと
もないよ。」なんて、悪ぶっていばってもだ
めです。【5】必ず、自分の気づかない心の
底に、宝物のように輝く美しい心が横たわっ
ています。
 (中略)
 【6】もし、まだそんな気持ちを味わった
ことがないとお思いなら、ぜひ、自分の中に
眠っている、すこし鈍感で怠け者の宝ごころ
を掘り起こしてください。揺りさましてくだ
さい。【7】「あ、こんな気持ちがあったの
か。」「ちょっとうれしいなあ。」
 お金もほしい。物もほしい。異性の関心も
ほしい。親の庇護や、先生の真心もほしい。
【8】けれど、そういうものより、何より、
もっともっとうれしいのが、この「自分発掘
の幸福感」、いいかえてみると、「自分の悪
意とたたかって、自分を優しく気持ちのいい
存在にきたえてゆくうれしさ」だと思います

 【9】でも、この人間だけが味わえる、本
能以上のよろこびは、不断の努力のあげくに
、ふっと感じられるもの。このわずかな瞬間
の、深い感動が味わいたくて、人は自分を訓
練するのでしょう。【0】

 (岡部伊都子の文章による)
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