クリ の山 11 月 1 週
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★じゆうなだいめい
○いたずらをしたこと
◎びょういんにいったこと、どうぶつえん
○あたたかいゆきのいえ
一位になったリレー
【1】「リレーの選手は、そろそろ入場門に行きましょう。」
 大内先生の大きな声が聞こえました。その声を聞いたぼくは、急に心臓がどきどきしてきました。ぼくは今年、リレー選手になれたのです。そわそわしながら入場門まで全速力で走りました。
 【2】入場門に着くと、六年生の太一君(くん)からゼッケンを渡されました。ぼくのグループは、青いゼッケンです。太一君(くん)にゼッケンをつけてもらっていると、いつのまにかお母さんが隣に来ていました。
「ゼッケンつけると、さすがにリレー選手って感じがするね。がんばって。」
と言いました。【3】ぼくは少し照れくさくなりました。
 いよいよ入場です。入場の音楽が流れてきたら、不思議なことに緊張はどこかへ飛んでいってしまいました。体も軽く、いつもより速く走れそうな気がしてきます。
 ピストルの音で一年生がスタートしました。【4】トラックを一周します。ぼくは身を乗り出して一年生を応援しました。練習のときは、いつも二位でバトンをもらっていました。今日はどうだろうと気になって仕方ありません。
 今度は、いつものように二位だけれど、一位の子とあまり差がないようです。【5】ぼくは、絶対に一位になりたいと思い、バトンを受け取りました。
 赤のゼッケンは、すぐ目の前にいます。すぐにでも追い越せそうな気がしました。ぼくの周りを歓声が包んでいます。ぼくは、走るのに夢中で、応援団の声もお母さんたちの声も、はっきりと聞こえませんでした。【6】直線でぼくは一気に赤を抜きました。あっという間の出来事でした。∵
「やった! 抜かしたぞ!」
 心の中で叫びました。目の前を誰も走っていないのは、なんて気持ちがいいのだろうと思いました。【7】そのまま一位でバトンを渡しました。太一君(くん)がぼくに飛びついてきて、
「やったな、やったな」
と頭をくるくるとなでました。ぼくは、まるでホームランを打った野球選手のようだと思いました。
 【8】ぼくたちのグループは、そのあと二位になったり一位になったりを繰り返していましたが、アンカーの太一君(くん)には、三位でバトンが渡りました。太一君(くん)は、バトンを受け取ると、ひゅうっと風を切るように走り出しました。【9】すぐに白を抜いて二位です。ぼくは必死で応援しました。最後のコーナーで、ついに赤も抜きました。一位でゴールに入ってきた太一君(くん)は、とてもかっこうよくて、ぼくは太一君(くん)みたいになりたいと思いました。【0】

(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 ω)