キンモクセイ の山 8 月 1 週
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★じゆうなだいめい
○星空を見たこと
○セミをつかまえたこと、おもわずにっこり
○虫をつかまえたこと
夏祭り
【1】「早く夜にならないかなあ。」
ぼくは、そうつぶやきました。
「また言ってる。これで何回目?」
お母さんは、おかしくてたまらないという顔をして笑いました。今日の夜は夏祭りなのです。ぼくは、カレンダーに赤のペンで丸をつけて楽しみにしていました。【2】綿あめにかき氷、たこ焼きにチョコバナナなど、いろいろなものを食べられるのです。
 ついに待ちに待った夜です。お母さんがくれた五百円をお財布に入れて、ぼくは校門に急ぎました。【3】校門に着くと、コウジとユウキが待っていて、ぼくを見つけると、
「おう、早く行こうぜ。」
と僕をひっぱりました。たくさんのちょうちんがぶら下がっていて、いつもの校庭ではないみたいです。まるでおばあちゃんの家の近くの商店街みたいだなと思いました。
 【4】何を食べようかときょろきょろしていると、ソースのこげるにおいが漂ってきました。ぼくたち三人は、
「いいにおいだなあ。焼きそば食べよう。」
と、鼻をクンクンさせながら列に並びました。ぼくとユウキが先に買って、コウジの順番になりました。【5】コウジは、お店のおじさんに、
「いっぱい入っているのをください。」
とお願いしたので、ぼくとユウキは、思わず顔を見合わせて笑ってしまいました。コウジは、クラスの中でも食いしん坊で有名なのです。【6】おじさんは、重なった焼きそばの中からひとつひっぱりだして、
「これはたくさん入ってるだろ。」
と言いました。ぼくは、うらやましいなあと心の中で思いまし∵た。もしぼくがコウジだったら、あんなふうに大人にお願いできません。【7】なんだか恥ずかしいからです。お母さんにもよく、ぼくは引っ込み思案だと言われているのです。
 焼きそばは、家で食べるよりも味が濃くて、お祭りの焼きそばの味がしました。お母さんの作る焼きそばもおいしいけれど、ぼくはこういう焼きそばも好きです。【8】多分、お父さんも屋台の焼きそばの方が好きだと思います。どうしてかというと、濃い味が好きだからです。
 そのあとは、カキ氷(ごおり)とチョコバナナを食べました。チョコバナナを買うときのことです。ぼくは、大きいのが食べたいなあと思いました。【9】ぼくは、思い切って、
「ちょっと大きめなのをください。」
と言ってみました。胸がドキドキしました。お店のおばさんは、
「じゃあ、大きそうなのを選んでいいよ。どれがいい?」
と、ぼくに選ばせてくれました。ぼくは飛び上がるほど嬉しくて、一番長いと思うものを指差しました。【0】おばさんから受け取るとき、いつもよりずっと大きい声で
「ありがとうございます。」
と言えました。少しお兄さんになった気がしました。そのチョコバナナは、いつものチョコバナナよりもずっとおいしかったです。

(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 ω)