長文 9.3週
1.【1】「おや。」
2. ファーブルは、びっくりして立ちどまりた    ました。とりのすが、あったのです。【2】すのなかには、青空あおぞらのようないろをした、うつくしいたまごが六つ、おぎょうぎよくならんでいました。
3.「すばらしいなあ。」
4. ファーブルは、むねがわくわくしました。

5. 【3】すのなかから一つとりあげると、そっとポケットへいれました。うれしくてうれしくてたまりません。そのまま、いけのほうへいちもくさんにかけだしました。
6. 【4】けれど、それからしばらくたつとファーブルは、ふーふーいきをきって、また、すのところへはしってかえりました。【5】そして、さっきのたまごを、だいじそうにポケットからとりだしたのです。
7.「ごめんね。」
8. ファーブルは、たまごをそっと、もとのところへならべてやりました。

9.【6】「ごめんね。おまえは、ノビタキってまえのとりなんだってね。そして、はたけのわるいむしをたいじして、おひゃくしょうさんをたすける、いいとりなんだってね。【7】ぼく、いまいけのそばで、きょうかいのぼくしさんにそれをおそわったの。ちっともしらなかったんだもの。ごめんね。」
10. 【8】ファーブルはそういうと、ぴょこんと、とりのすにあたまをさげるのでした。
11. ピーチク、ピーチク……。
12. 【9】たまごのように、まっ青  さお大空おおぞらでは、ひばりがしきりにないていました。【0】

13.(二反長半にたんおさなかばへん 白木しらきしげるちょ 「美しいうつく  はなし・いじんのこころ」より)