長文 9.2週
1. 【1】そのときでした。
2.「こらっ、おまえなんかに、みずをのまれてたまるもんか。きたならしい。むこうへいってしまえ。」
3. 【2】きんじょのおとこがたけのぼうで、こじきをおいはらいました。
4. ガンジーは、もう、がまんができませんでした。
5.【3】「おじいさん、まって。ぼくが、くんであげるよ。」
6. ガンジーは、いそいでみずをくみあげると、こじきをやさしくつれもどしてきました。

7.【4】「ぼっちゃん、ありがとうございます。」
8. としよりのこじきは、ぽろぽろなみだをこぼしながらも、さもおいしそうにみずをのみました。【5】やせたいぬも、ぺちゃぺちゃみずをのむと、さもうれしそうにガンジーのかおあげるのでした。
9. ガンジーは、みんながじぶんをているのに気がつくき   と、まっかになって、いえへかけこみました。

10. 【6】ゆうごはんのあとで、ガンジーは、おとうさんにきょうのはなしをくわしくしました。ガンジーのおとうさんは、インドで高いたか くらいについているやくにんでした。【7】そのおとうさんは、にこにこすると、
11.「おお、おまえは、よいことをしてくれた。かわいそうなひとをたすけるのは、人間にんげんのつとめなんだ。よいことをするのに、しりごみしていてはいけない。【8】よくやったね。きょうのおこないは、ゆうきがあって、りっぱなものだ。おまえは、よわむしでもなければ、いくじなしでもないのだ。大きくおお  なっても、ただしいことをするそのゆうきをなくしてはいけない。」

12. 【9】いつも、じぶんをいくじなしだとばかり思っおも ていたガンジーは、はじめてそうでないことがわかりました。そして、むねが、すーっとあかるくなるのでした。【0】

13.(二反長半にたんおさなかばへん 白木しらきしげるちょ 「美しいうつく  はなし・いじんのこころ」より)