長文集  9月2週  ○そのときでした(感)  i-09-2
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/06/10 17:43:29
 【1】そのときでした。
「こらっ、おまえなんかに、水
をのまれてたまるもんか。きた
ならしい。むこうへいってしま
え。」
 【2】きんじょの男がたけの
ぼうで、こじきをおいはらいま
した。
 ガンジーは、もう、がまんが
できませんでした。
【3】「おじいさん、まって。
ぼくが、くんであげるよ。」
 ガンジーは、いそいで水をく
みあげると、こじきをやさしく
つれもどしてきました。

【4】「ぼっちゃん、ありがと
うございま  す。」
 年よりのこじきは、ぽろぽろ
なみだをこぼしながらも、さも
おいしそうに水をのみました。
【5】やせた犬も、ぺちゃぺち
ゃ水をのむと、さもうれしそう
にガンジーの顔を見あげるので
した。
 ガンジーは、みんながじぶん
を見ているのに気がつくと、ま
っかになって、家へかけこみま
した。

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 【6】ゆうごはんのあとで、
ガンジーは、おとうさんにきょ
うのはなしをくわしくしまし 
た。ガンジーのおとうさんは、
インドで高いくらいについてい
るやくにんでした。【7】その
おとうさんは、にこにこすると

「おお、おまえは、よいことを
してくれた。かわいそうな人を
たすけるのは、人間のつとめな
んだ。よいことをするのに、し
りごみしていてはいけない。【
8】よくやったね。きょうのお
こないは、ゆうきがあって、り
っぱなものだ。おまえは、よわ
むしでもなければ、いくじなし
でもないのだ。大きくなっても
、ただしいことをするそのゆう
きをなくしてはいけない。」

 【9】いつも、じぶんをいく
じなしだとばかり思っていたガ
ンジーは、はじめてそうでない
ことがわかりました。そして、
むねが、すーっとあかるくなる
のでした。【0】

(二反長半(にたんおさなかば
)編 白木茂著 「美しい話・
いじんの心」より)