長文集  9月1週  ママの床屋さん  i-09-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/06/09 09:32:45
 【1】今日は、お母さんに髪
を切ってもらう日です。ぼくた
ち兄弟は、お母さんに髪を切っ
てもらうことを、ママ床屋と呼
んでいます。いつもママ床屋な
ので、ぼくは一度も床屋さんへ
行(い)ったことがありません

【2】「準備できたよ。ひとり
ずつおいで。」
 お風呂場(ふろば)からお母
さんの声が響きます。ママ床屋
は、お風呂場(ふろば)でお店
を開くのです。夏は暑いので裸
でちょうどいいけれど、冬のマ
マ床屋はぶるぶる震えてしまい
ます。
 【3】ぼくは急いで服を脱ぎ
、お風呂場(ふろば)へ飛んで
いきました。お母さんは右手に
バリカンを持ち、ぼくを見ると
にっこりしました。
「さあ、切ろうか。下を向かな
いで、ちゃんと前を見ててね。

 【4】そう言いながら、バリ
カンのスイッチを入れました。
ウイーンウイーンと、バリカン
の音が耳の近くで聞こえます。
ときどき髪の毛が引っ張られる
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ので、ぼくは、
「いてっ。」
と、まるでカメのように首をす
くめます。【5】お母さんは、
「だめだめ。まっすぐにしてい
ないと、変なところを切っちゃ
うよ。」
と言います。バリカンに刈られ
た髪の毛が、パサリパサリとぼ
くの肩や背中にくっつきます。
そのうち、ちくちくと刺してき
ます。【6】体中かゆくてたま
りません。
「ああ、もう限界だあ。」
と、ぼくが我慢できなくなるこ
ろ、後ろの髪のカットが終わる
のです。
「できた、できた。じゃあ、今
度は前髪。さ、こっち向いて。

 ぼくは、くるりと振り向きま
した。【7】目をつぶり、動か
ないように息を止めます。∵
「はい、終わり。頑張ったね。

 ぼくは目を開けました。お母
さんは、少し離れてぼくを眺め
ています。ぼくが動いたから変
なところを切ってしまったので
はないかと心配になります。
【8】「うん。いいんじゃない
。床屋さんじゃないのに、なか
なかうまいよね。」
と、お母さんが言いました。ぼ
くはほっとしました。
 シャワーで洗い流すと、ちく
ちくしたのが取れてすっきりし
ました。【9】くもった鏡をご
しごしと手で拭いて、ぼくの顔
を映してみました。いつもと違
うぼくの顔です。自分でもなか
なか格好いいなと思いました。
【0】

(言葉の森長文(ちょうぶん)
作成委員会  ω)