イバラ の山 7 月 4 週
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○じゆうなだいめい

★清書(せいしょ)

○働き者の砂糖
 チョコレート、キャンディー、ケーキなど、甘いお菓子を思い浮かべるだけで幸せな気分になれる人は多いでしょう。それらのお菓子を作るのに大切なのが砂糖です。しかし、砂糖にはほかにもいろいろな働きがあります。

 その働きのひとつに、カビや微生物が増殖するのを防ぐというものがあります。カビや微生物は湿ったところ、つまり、水分のあるところが好きです。砂糖は、食べ物の水分の周りをおおって、微生物やカビの働きをにぶらせます。ジャムや果物の缶詰などがその例です。果物はほうっておくと傷んだり腐ったりしますが、砂糖とともに調理することで長期間保存することができます。

 水分を抱え込む砂糖の性質は、生クリームや卵白の泡立てにも一役買っています。クリームや卵のたんぱく質の水分を砂糖が抱え込むことによって、泡がくずれるのを防ぎ、また泡同士がくっつくのををおさえてくれます。ふわふわのクリームを作るのには、砂糖が欠かせないのです。
 肉を煮込むときにも、その働きが発揮されます。調理する前の下準備の肉に砂糖をすりこんでおくと、軟らかく煮ることができます。それは、砂糖が肉のたんぱく質の持つ水分を肉の中にとどめておくからです。

 甘さを作り出す調味料というイメージの強い砂糖ですが、実際には水分と結びつきやすい性質が私たちの生活の中でいろいろな役割をはたしているのです。
 働き者の砂糖は、縁の下の力持ちなので、決して「えっへん!」といばっているわけではありません。しかし、ダイエットをさけぶ人たちからは、かたき扱いされています。「えっ? 変? 一生懸命働いているのに……。」砂糖からそんな声が聞こえてきそうです。

「カビ君は、どうして砂糖が苦手なの。」
「だって、砂糖ってサ、トウっても甘いんだもん。」

  言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(σ)