1. 【1】あくる
年の
春に、なたねはきいろいきれいな
花をさかせました。
花がちって、みがなりました。
2. 【2】そのみをあつめて、きんじろうはあぶらやさんへもっていきました。
3.「あぶらやさん。このなたねのみを、あぶらととりかえっこしてくれませんか。」
4.と、たのみました。【3】すると、あぶらやさんは、
5.「おお、きんじろうさんのつくったなたねのみだね。よしよし。」
6.と、しんせつに、あぶらととりかえてくれました。
7.【4】「こんどは、もうじぶんのあぶらだもの。おじさんだってしからないだろう。」
8. きんじろうは、よるのくるのが、まちどおしくてなりません。あんどんにあぶらをいれて、あかりをつけて
本を
読みました。
9. 【5】ところが、おじさんは、やっぱりこわい
顔して、
10.「きんじろうや。おまえはいったい、なにになるつもりじゃ。ひゃくしょうになるのに、べんきょうはいらないんだよ。あしたはあさはやくから、のらへいくのだ。はやくねなさい。」
11.【6】「はい。」
12.と、きんじろうは、またあかりをけさなければなりません。やっぱりきんじろうは、べんきょうができませんでした。
13.【7】「ああ、ひゃくしょうは、どうして、べんきょうをしてはいけないのだろう。そんなことはない。」
14.と
思いました。
15. 【8】けれども、おじさんにめいわくをかけてはいけません。
16.「そうだ。
山へいく
道や、たんぼへいく
道で、
本を
読もう。」
17. 【9】くわをかつぎながら、また、しばをかつぎながら、きんじろうは
本を
読みました。【0】
18.(
二反長半編 白木茂著 「
美しい話・いじんの
心」より)