1. 【1】キンコーンカンコーン、キンコーンカーンコーン。
2. チャイムがなるのと
同時に、ぼくは
教室のドアを
飛び出しました。
今日の中休みは、
校庭で
鬼ごっこをすることにしていました。
少しでも
長い時間遊びたかったので、
一番乗りで
校庭にかけつけるつもりでした。
3. 【2】ぼくの
教室は三
階です。ドアを
飛び出し右へ
曲がり、
階段まで
全速力で
走ります。
階段の
前で
急ブレーキをかけると、キキキキーと
上履きが
廊下にこすれる音がしました。まるで
自分が車になったような
気分です。
4. 【3】ここまではぼくが
一番です。うしろに、ヒロトとフミヤが
続きます。これは
負けていられないぞ。ぼくは、
心の中で
思いました。
5. ぼくは、
階段を二
段抜かしで
降りることにしました。二
階までは
順調に
飛ばしました。【4】ところが、二
階から一
階へ
降りる途中で、
階段を
踏み外してしまいました。
一瞬、
何が
起きたのかわからないまま、ぼくは
踊り場まで
転がりました。
6.「いてえ。」
7. ぼくは
腰を
押さえながら
起き上がりました。【5】ヒロトとフミヤは
心配そうにぼくの
顔を
のぞき込みながら、
8.「
大丈夫?
血が出てるよ。」
9.と
言います。ずきずき
痛い足をふと見てみると
膝から
血が出ていました。
10.「あーあ、これじゃ、
保健室行きだな。ちょっと
行ってくるよ。」
11.【6】ぼくはそう
言って、一
階にある
保健室に
向かいました。ぼく一人で
行こうと
思ったのに、ヒロトとフミヤもついてきました。
12.「あら、どうしたの?
怪我?」
13.
保健室の田上先生は、ぼくとすっかり
仲良しです。【7】どうしてかというと、ぼくはしょっちゅう
怪我をして
保健室に
行くからです。∵
14.「
階段でこけちゃった。」
15.ぼくは
恥ずかしそうに
言いました。
16.「気をつけないと、ほんとうに
危ないのよ。
階段は
走らないこと。
顔を
怪我しなくてよかったね。【8】かっこいい
顔が
台無しになっちゃうわよ。」
17.と、先生は
優しく注意しました。
怪我を
消毒するときは、とてもしみて、
悲鳴をあげそうになりました。でも、
格好が
悪いので
我慢しました。【9】
怪我をしたのはぼくなのに、ヒロトとフミヤも、なんだか
痛そうな
顔になっていました。
18.「ごめんな。
遊べなくなっちゃったな。」
19.と
言うと、二人とも、
20.「いいよ。また、
明日やろう。」
21.と
言ってくれました。
明日は
転ばないように、
もう一度階段をかけおりるぞとぼくは
思いました。【0】
22.(
言葉の森
長文作成委員会 ω)