長文集  7月1週  踏み外した階段  i-07-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/06/09 09:26:01
 【1】キンコーンカンコーン
、キンコーンカーンコーン。
 チャイムがなるのと同時に、
ぼくは教室のドアを飛び出しま
した。今日の中休みは、校庭で
鬼ごっこをすることにしていま
した。少しでも長い時間遊びた
かったので、一番乗りで校庭に
かけつけるつもりでした。
 【2】ぼくの教室は三階です
。ドアを飛び出し右へ曲がり、
階段まで全速力で走ります。階
段の前で急ブレーキをかけると
、キキキキーと上履きが廊下に
こすれる音がしました。まるで
自分が車になったような気分で
す。
 【3】ここまではぼくが一番
です。うしろ に、ヒロトとフ
ミヤが続きます。これは負けて
いられないぞ。ぼくは、心の中
で思いました。
 ぼくは、階段を二段抜かしで
降りることにしました。二階ま
では順調に飛ばしました。【4
】ところが、二階から一階へ降
りる途中で、階段を踏み外して
しまいました。一瞬、何が起き
たのかわからないまま、ぼくは
踊り場まで転がりました。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
「いてえ。」
 ぼくは腰を押さえながら起き
上がりました。【5】ヒロトと
フミヤは心配そうにぼくの顔を
のぞき込みながら、
「大丈夫? 血が出てるよ。」
と言います。ずきずき痛い足を
ふと見てみると膝から血が出て
いました。
「あーあ、これじゃ、保健室行
きだな。ちょっと行ってくるよ
。」
【6】ぼくはそう言って、一階
にある保健室に向かいました。
ぼく一人で行こうと思ったの 
に、ヒロトとフミヤもついてき
ました。
「あら、どうしたの? 怪我?

保健室の田上先生は、ぼくとす
っかり仲良しです。【7】どう
してかというと、ぼくはしょっ
ちゅう怪我をして保健室に行く
からです。∵
「階段でこけちゃった。」
ぼくは恥ずかしそうに言いまし
た。
「気をつけないと、ほんとうに
危ないのよ。階段は走らないこ
と。顔を怪我しなくてよかった
ね。【8】かっこいい顔が台無
しになっちゃうわよ。」
と、先生は優しく注意しました
。怪我を消毒するときは、とて
もしみて、悲鳴をあげそうにな
りました。でも、格好が悪いの
で我慢しまし た。【9】怪我
をしたのはぼくなのに、ヒロト
とフミヤも、なんだか痛そうな
顔になっていました。
「ごめんな。遊べなくなっちゃ
ったな。」
と言うと、二人とも、
「いいよ。また、明日やろう。

と言ってくれました。明日は転
ばないように、もう一度階段を
かけおりるぞとぼくは思いまし
た。【0】

(言葉の森長文(ちょうぶん)
作成委員会  ω)