長文集  3月1週  カブトムシ  e-03-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2016/12/15 04:15:26
【一番めの長文は幼長の一~三月のものを再
掲しています。】
 【1】夏休みの友といえばやはりカブトム
シです。昆虫の王様と呼ぶにふさわしいその
姿は、子どもたちの視線をとらえてはなしま
せん。ペットショップのカブトムシコーナー
は、毎年黒山の人だかりができていますし、
採集ツアーも登場するほどです。
 【2】いかにも丈夫そうな姿のカブトムシ
ですが、その命はそれほど長いものではあり
ません。卵からかえり、冬を越した幼虫は、
蛹へと姿を変え、夏になると成虫、つまりカ
ブトムシへと変身しますが、成虫になってか
らの命はおよそ一か月ほどといわれていま 
す。【3】ですから、夏休みが終わるころは
、ちょうどカブトムシの命もつきる時期にあ
たるのです。クワガタムシも、カブトムシと
並んで人気があります。カブトムシがひと夏
の命なのに対して、クワガタムシの場合、種
類によっては越冬できるものもあります。え
っとうれしくなってしまうでしょう。
 【4】大切に育てていたカブトムシの死は
悲しいものですが、死んでしまったからとい
ってすぐに飼育ケースを処分してはいけませ
ん。ケースの中の腐葉土をそっとのぞいてみ
ましょう。もしかしたら、小さな卵が見つか
るかもしれません。【5】直径三ミリ程度の
白くて丸い卵です。孵化直前の卵は大きさは
五ミリ程度になり、色も黄色味(み)を帯び
てきます。この卵をじょうずに育てることが
できたら、大切にしていたカブトムシの二世
と対面できる日がやってくるのです。
 【6】卵からかえった幼虫は、おもに腐葉
土を食べて大きくなります。幼虫時代に摂取
した栄養が、成虫のカブトムシの大きさを決
定付(づ)けます。いったん成虫になってし
まったら、どんなに樹液を吸ったところでそ
れ以上大きくはなりません。∵【7】立派な
大きさのカブトムシは、幼虫時代に十分な栄
養を取っていたので す。もしも人間がカブ
トムシと同じ性質だったらどうでしょう。成
人したらいくら食べても太らないわけですか
ら、ダイエットに励んでいる大人にとっては
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なんともうらやましい話です。
 【8】通常、一匹(ぴき)の幼虫が蛹にな
るまでに食べる腐葉土の量は、洗面器に山盛
り一杯分にもなるそうです。カブトムシは、
そんな大量の腐葉土をかぶっとむしゃむしゃ
食べてしまうのです。さすがに昆虫の王者、
驚いてしまいます。
 【9】友達に自慢できるくらいの大きなカ
ブトムシを育てるためには、良質な腐葉土を
絶えず補充してあげることが大切です。ま 
た、飼育ケースの中のフンを取り除いたり、
掃除をしたり、根気よく世話を続けることが
必要です。
 【0】では、カブトムシとクワガタムシで
は、どちらが強いでしょうか。カブトムシの
得意技は、カブト割りでしょう。クワガタム
シの得意技は、もちろんクワ固めです。結果
は、カブトもクワガタも、お互いをムシして
引き分けになりました。

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(
ω)∵
 【1】先週の日曜日に、お父さんと神奈川
スケートリンクへ行きました。私はこの日を
とても楽しみにしていました。テレビでフィ
ギュアスケートを見て、すっかりスケートの
ファンになりました。フィギュアスケートは
絶対に見逃しません。【2】お母さんは、 
「どうしてあんなことができるのだろうね。
」 
と不思議そうです。私も不思議に思うけれど
、練習したらできるかも知れないと思ってい
ます。だから、一度でいいからスケートをや
ってみたかったのです。 
 【3】お父さんは、学生のころにアイスホ
ッケーをしていたそうです。私がスケートに
行きたいと言ったら、 
「お父さんが教えてあげるよ。」 
と、得意そうに言いました。そして、来月の
日曜に行こうと約束してくれました。 
 【4】スケート場に着くと、すぐにスケー
ト靴(ぐつ)を借りました。白い靴です。わ
くわくしながら履いてみると、思っていたよ
りも重くて窮屈でした。まるでペンギンのよ
うな歩き方でスケートリンクまで歩きました
。 
【5】「よし、滑ってみようか。ゆっくりお
いで。」 
と、お父さんが氷の上で待っています。おそ
るおそる氷の上に乗ってみました。お父さん
の手を握るよりも先につるんと尻もちをつい
てしまいました。ほんの一瞬の出来事です。
 
【6】「こんなに滑るんだ。ああ、びっくり
した。」 
と、照れながら言うと、お父さんは、 
「すぐに慣れるさ。お父さんと手をつないで
練習だ。」 
と、私を起こしてくれました。お父さんに引
っ張られながらなんとか一周しました。【7
】何度も転びそうになってドキッとしまし 
た。二周目では、少し余裕が出てきました。
右、左、右、左と∵順番に足を出すことも覚
えました。三周目になると、ちょっと楽しく
なってきました。 
「うまい、うまい。コツがわかってきたみた
いだね。」 
と、お父さんも褒めてくれました。【8】お
父さんと手をつないで何周か滑ったあとで、
思い切って一人(ひとり)だけで滑ってみる
ことにしました。深呼吸をして、 
「できる、できる、絶対できる。」 
と、自分に言い聞かせました。スーッと右足
を出して、次はスーッと左足。とてもゆっく
りだけど、私の体は進みました。 
【9】「すごいぞう。やったな。」 
お父さんの声が聞こえます。お父さんの顔を
見ようと顔を上げた瞬間、また尻もちをつい
てしまいました。でも、痛くありません。ど
うしてかというと滑れたことが嬉しくて痛さ
も吹っ飛んでしまったからです。【0】その
後も、何度も転びながら練習しました。時々
お父さんがひとりで滑りに行くこともありま
す。お父さんはまるでスケート選手のようで
す。私は、うっとりしながら眺めました。私
も早くあんなふうに滑れるようになりたいで
す。 

(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 
ω)