1.【一番めの長文は幼長の一~三月のものを再掲しています。】
2. 【1】いまから五
千年くらい
昔のことです。
文明がさかえはじめたころの
人々は、
夜空を
見上げて、
宇宙というのは、
自分たちの
住んでいるこの
地球だけだと
思っていました。【2】きらめく
星は、
空という
高い天井にはりついているもので、
太陽も
月も、
空にはりついて
動いて
行き、しずむと
地面の
下を
通ってまた
東にいくと
考えていたのです。
3. ギリシャ
時代になって、
宇宙のしくみが
考えられるようになりました。【3】二
世紀頃に
活躍した
天文学者プトレマイオスは、
天動説という
考えを
唱えました。それは、
地球が
宇宙の
中心にあって、そのまわりを
太陽や
月や
惑星がぐるぐる
回り、いちばん
外側に
恒星があるという
考え方です。【4】まだ、
望遠鏡も
発明されていない
時代のこの
考え方は、
その後千年もの
間人々に
信じられました。
4. 十六
世紀になって、
地球が
宇宙の
中心という
考え方に
異議を
唱えたのは、ポーランドの
天文学者コペルニクスでした。【5】コペルニクスの
考え方は、
宇宙の
中心は
太陽で、
地球と
惑星は
太陽のまわりを
円形の
軌道にそって
回っているというものでした。
地球の
方が
動いていると
考えられたことから、
地動説と
呼ばれています。
5. 【6】はじめて
望遠鏡を
使って
星を
見たのは十七
世紀、イタリアのガリレオ・ガリレイでした。ガリレオは
望遠鏡によって、
月のクレーターや
太陽の
黒点などをつぎつぎと
発見しました。
6. ニュートンが「
万有引力の
法則」を
発見すると、
惑星の
動きはもっと
正確にわかるようになりました。【7】
万有引力の
法則では、すべてのものはたがいに
引き合っていると
考えられました。そこで、
月と
地球、
地球と
太陽もたがいに
引かれ
合っていて、まわりを
回ることができるとしたのです。しかし、その
時もまだ、
宇宙の
中心は
太陽で、
宇宙とは
太陽系のことでした。∵
7. 【8】十八
世紀になり、イギリスの
天文学者ハーシェルによって、
宇宙は
恒星の
世界までひろがり、
銀河系というものがわかるようになってきました。
私たちの
地球の
位置が、
銀河系の
中のひとつになったのです。
8. 【9】二十
世紀に
入ると、すぐれた
技術の
望遠鏡が
次々と
開発され、
恒星までの
距離を
測ることができるほど
高性能になりました。この
観測のおかげで、
銀河系の
大きさも、
銀河系の
中のさまざまな
天体のことも、そして
銀河系以外の
銀河、さらに
宇宙全体のすがたまでもがわかるようになってきたのです。
9. 【0】
人間の
見る世界は、どんどん
広がっていきます。やがて
宇宙の
大きさも
超えて
広がっていくのかもしれません。
10.
言葉の
森長文作成委員会(μ)∵
11. 【1】
二月三日は
節分です。ぼくたちは
豆まきをしました。
12.「
鬼は
外、
福は
内。」
13.と、
元気よく
大声をあげました。パラパラと
豆が
散らばります。おもしろくてどんどん
投げました。ベランダから
外に
投げるときは、ちょっとだけ
声を
小さくしました。【2】どうしてかというと、
夜なので
大声をあげると
近所迷惑になるからです。
14.「
豆の
片付けはチップにやらせるからじゃんじゃんまいていいよ。」
15.と、
お母さんが
笑いながら
言いました。チップというのはぼくの
家の
犬です。【3】まいた
豆は
食いしんぼうのチップがきれいに
食べてしまいます。
16.
豆まきのあと、ぼくが
お父さんと
お母さんに
年の
数だけ
豆を
配りました。
17.「
お父さんは三十一
歳だから三十
一個ね。はい。」
18.そう
言って
お父さんの
前に
豆を
置きました。【4】
お母さんには、
19.「はい、
お母さんは三十四
個ね。」
20.と、三十四
個数えました。
21.「いいなあ、こんなにいっぱい。」
22.と、ぼくがうらやましそうに
言うと、
23.「いいでしょう。」
24.と、
お母さんはにっこりしました。【5】
お母さんが、
25.「
年の
数だけとって
食べるんだよ。」
26.と
言うので、ぼくと
弟たちは
自分で
豆を
取りました。ぼくは六
個でリョウタは五
個。キョウタは四
個のはずでした。でも、ぼくはキョウタが四
個以上口に
入れているのを
見てしまいました。【6】キョウタのやつ、それじゃあぼくより
年上じゃないかと
思いました。リョウタはちゃんと五
個だけ
食べていました。ぼくも六
個だけ
食べました。ぼくとリョウタは
真面目だなと
思いました。∵
27. みんなに
配ってからもまだ
豆は
残りました。【7】
残った
豆はぼくが
作った
紙の
箱に
入れてテーブルの
上に
置いておきました。その
豆を、
お父さんが
食べていました。
次から
次へと
豆を
口に
放り込んでいます。まるで
豆の
方から
お父さんの
口に
ふっ飛んでくるみたいです。【8】おもしろそうなのでぼくも
真似してばくばくと
食べてしまいました。だからぼくも
年の
数よりも
食べてしまいました。どうして
年の
数だけ
食べるのかなあと
不思議に
思いました。
豆がきらいな
人はどうするのかなと
心配になります。【9】
年の
数だけ
食べるのじゃなくて、はじめから
好きなだけ
食べることにしたらいいと
思います。
28. ふと、おじいちゃんとおばあちゃんの
顔を
思い出しました。
29.「じいとばあは六十
個も
豆を
食べたのかな。」
30.と、
お母さんに
聞いてみました。【0】
お母さんは、
31.「さあ、どうかな。
今度、
電話で
聞いてみたらいいんじゃない。」
32.と
言って
笑いました。
33.(
原作 しゅんのすけ
編集 言葉の
森長文作成委員会 ω)