長文集  2月1週  宇宙のひろがり  e-02-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2016/12/15 04:14:50
 【一番めの長文は幼長の一~三月のものを
再掲しています。】
【1】いまから五千年くらい昔のことです。
文明がさかえはじめたころの人々は、夜空を
見上げて、宇宙というのは、自分たちの住ん
でいるこの地球だけだと思っていました。【
2】きらめく星は、空という高い天井にはり
ついているもので、太陽も月も、空にはりつ
いて動いて行き、しずむと地面の下を通って
また東にいくと考えていたのです。
 ギリシャ時代になって、宇宙のしくみが考
えられるようになりました。【3】二世紀頃
(ごろ)に活躍した天文学者プトレマイオス
は、天動説という考えを唱えました。それは
、地球が宇宙の中心にあって、そのまわりを
太陽や月や惑星がぐるぐる回り、いちばん外
側に恒星があるという考え方です。【4】ま
だ、望遠鏡も発明されていない時代のこの考
え方は、その後千年もの間人々に信じられま
した。
 十六世紀になって、地球が宇宙の中心とい
う考え方に異議を唱えたのは、ポーランドの
天文学者コペルニクスでした。【5】コペル
ニクスの考え方は、宇宙の中心は太陽で、地
球と惑星は太陽のまわりを円形の軌道にそっ
て回っているというものでした。地球の方が
動いていると考えられたことから、地動説と
呼ばれています。
 【6】はじめて望遠鏡を使って星を見たの
は十七世紀、イタリアのガリレオ・ガリレイ
でした。ガリレオは望遠鏡によって、月のク
レーターや太陽の黒点などをつぎつぎと発見
しました。
 ニュートンが「万有引力の法則」を発見す
ると、惑星の動きはもっと正確にわかるよう
になりました。【7】万有引力の法則では、
すべてのものはたがいに引き合っていると考
えられました。そこ で、月と地球、地球と
太陽もたがいに引かれ合っていて、まわりを
回ることができるとしたのです。しかし、そ
の時もまだ、宇宙の中心は太陽で、宇宙とは
太陽系のことでした。∵
 【8】十八世紀になり、イギリスの天文学
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者ハーシェルによっ て、宇宙は恒星の世界
までひろがり、銀河系というものがわかるよ
うになってきました。私たちの地球の位置が
、銀河系の中のひとつになったのです。
 【9】二十世紀に入ると、すぐれた技術の
望遠鏡が次々と開発され、恒星までの距離を
測ることができるほど高性能になりました。
この観測のおかげで、銀河系の大きさも、銀
河系の中のさまざまな天体のことも、そして
銀河系以外の銀河、さらに宇宙全体のすがた
までもがわかるようになってきたのです。
 【0】人間の見る世界は、どんどん広がっ
ていきます。やがて宇宙の大きさも超えて広
がっていくのかもしれません。 

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(
μ)∵
 【1】二月三日(みっか)は節分です。ぼ
くたちは豆まきをしました。 
「鬼は外、福は内。」 
と、元気よく大声をあげました。パラパラと
豆が散らばります。おもしろくてどんどん投
げました。ベランダから外に投げるときは、
ちょっとだけ声を小さくしました。【2】ど
うしてかというと、夜なので大声をあげると
近所迷惑になるからです。 
「豆の片付けはチップにやらせるからじゃん
じゃんまいていい  よ。」 
と、お母さんが笑いながら言いました。チッ
プというのはぼくの家の犬です。【3】まい
た豆は食いしんぼうのチップがきれいに食べ
てしまいます。 
 豆まきのあと、ぼくがお父さんとお母さん
に年(とし)の数だけ豆を配りました。 
「お父さんは三十一歳だから三十一()個ね
。はい。」 
そう言ってお父さんの前に豆を置きました。
【4】お母さんには、 
「はい、お母さんは三十四個ね。」 
と、三十四個数えました。 
「いいなあ、こんなにいっぱい。」 
と、ぼくがうらやましそうに言うと、
「いいでしょう。」 
と、お母さんはにっこりしました。【5】お
母さんが、 
「年(とし)の数だけとって食べるんだよ。
」 
と言うので、ぼくと弟たちは自分で豆を取り
ました。ぼくは六個でリョウタは五個。キョ
ウタは四個のはずでした。でも、ぼくはキョ
ウタが四個以上口に入れているのを見てしま
いました。【6】キョウタのやつ、それじゃ
あぼくより年上じゃないかと思いました。リ
ョウタはちゃんと五個だけ食べていました。
ぼくも六個だけ食べました。ぼくとリョウタ
は真面目だなと思いました。∵ 
 みんなに配ってからもまだ豆は残りました
。【7】残った豆はぼくが作った紙の箱に入
れてテーブルの上に置いておきました。その
豆を、お父さんが食べていました。次から次
へと豆を口に放り込んでいます。まるで豆の
方からお父さんの口にふっ飛んでくるみたい
です。【8】おもしろそうなのでぼくも真似
してばくばくと食べてしまいました。だから
ぼくも年(とし)の数よりも食べてしまいま
した。どうして年(とし)の数だけ食べるの
かなあと不思議に思いました。豆がきらいな
人はどうするのかなと心配になります。【9
】年(とし)の数だけ食べるのじゃなくて、
はじめから好きなだけ食べることにしたらい
いと思います。
 ふと、おじいちゃんとおばあちゃんの顔を
思い出しました。 
「じいとばあは六十個も豆を食べたのかな。
」 
と、お母さんに聞いてみました。【0】お母
さんは、
「さあ、どうかな。今度、電話で聞いてみた
らいいんじゃない。」 
と言って笑いました。 

(原作 しゅんのすけ 編集 言葉の森長文
(ちょうぶん)作成委員会 ω)