長文集  1月4週  ○脳は大食漢  e-01-4
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/12/14 12:49:46
 脳は、人間の体の中で最もエネルギーを必
要とする器官です。脳の重さは、体全体の重
さのおよそ二パーセントを占めると言われて
います。たとえば、体重が五十キログラムの
人間の脳の重さは、一キログラムになるとい
うわけです。それほどの重さを占めているわ
けではありませんが、この脳は大変な食いし
ん坊です。人間が必要とする全エネルギーの
うち、二十パーセントもが脳に使われていま
す。しかも、ただの大食漢ではありません。
なかなかのグルメなのです。どうしてかとい
うと、脳がエネルギー源として取り込むの 
は、ブドウ糖だけだからです。また、脳は余
分なエネルギーを蓄えておくことができない
ので、絶えずブドウ糖を補給し続ける必要が
あります。
 ご飯やパンなどの穀類、ジャガイモやサツ
マイモなどのイモ類など、炭水化物と呼ばれ
るものはブドウ糖のもとになります。体を動
かすためや成長のためだけでなく、脳の働き
を活発にするために も、きちんと食事を取
ることは大切だと言えます。眠りから覚め、
栄養不足(ぶそく)の脳にとって、とりわけ
朝食は最高のご馳走です。
 こんな実験結果があります。ラットを迷路
に放り込むと、まず一目散に走り出します。
しかし、人間のように高度な知能を持たない
ラットのことですから、すぐに道に迷い、あ
がき始めます。あがいているラットの脳内は
、どんな状態になっているのでしょう。脳の
中には様々な働きをする場所があり、それぞ
れが自分の役目を果たすために働いています
。迷路は空間を認識する能力を必要としま 
す。迷路に入れられたラットの脳内の空間記
憶を司る部分のブドウ糖の値(あたい)は、
通常よりも大きく落ち込んでいたそうです。
それだけ脳がエネルギーを使ったということ
になります。注射によってブドウ糖を補給し
てあげたところ、迷路抜けの成績が上がった
という結果も得られました。疲れきった脳が
、ブドウ糖というエネルギーを補給したおか
げで見事に元気を取り戻したのです。∵
 歩く、走るという大きな動作を伴う体の動
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きと比べてみると、脳の仕事は、はっきりと
は目に見えません。ですから、そんなにも多
くのエネルギーを必要とするとは想像できな
いでしょう。しかし、多くのエネルギーが必
要だということは、それだけ重要な働きをし
ているからにほかなりません。脳は大変な働
き者です。私たちが眠っているあいだでさえ
ひとときも休まずに働き続けます。脳の中 
は、神経細胞がぎっしりとつまっていて、体
のすみずみまで命令を出しています。心臓の
動きや呼吸でさえ、脳が命令を出しているお
かげで一時(いっとき)も休まずに続けられ
ているのです。
「Oh! No.()(オー、ノー)少し休
みたいよ。」
 そう思うこともあるかも知れません。それ
でも、脳は働き続けます。

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(
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